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不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))
 
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不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40)) (文庫)

山崎 豊子 (著)
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5つ星のうち 5.0 行間を読むことの大切さを教えてくれる傑作、, 2009/5/19
By emir1969 - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
山崎豊子の豪快な作風が遺憾なく発揮された傑作、初期作品の情緒を愛するものには違う人が書いているのかと思わせるほどだが、本作のような題材を一気に読ませる作品に仕上げる娯楽作家の本領が発揮されています、いかんせん長編に免疫のない人には驚愕の大長編小説です、似た題材を描いた石川達三「金環食」や松本清張でウォーミング・アップしてもいいかもしれません、

私のような昭和の歴史好き読者の意見として次の点だけは多くの読者に知っておいてほしいと思います、

よく知られるように主人公壱岐正のモデルは戦前は大本営参謀として陸軍の作戦立案をおこない、戦後は伊藤忠商事で活躍した瀬島龍三(故人)です、これはあくまでもモデルであり本作は瀬島個人の人生のセミ・ドキュメンタリではありません、著者の調査による多くのデータから登場人物それぞれが再構成されたことだけは肝に銘じた上で読んでほしいとおもうのです、

本書では昭和20年8月15日の阿南陸軍大臣の自決後(映画「日本の一番ながい日」参照)に主人公が満州へ向かいますが、瀬島隆三が関東軍参謀の辞令を受け取り羽田を飛び立ったのは昭和20年7月10日(自伝「幾山河」による)、8月8日夜半ソ連軍が満州に進攻したあとに日本人居留民を守るという当然の義務を関東軍が放棄したまま終戦を向かえた結果、満州でどれほどの悪行をソ連軍がおこなったかは多くの記録が物語るとおりです、その責任の一端は大日本帝国陸軍中佐であり在満州・関東軍参謀瀬島龍三にあるのです、

8月15日の終戦後でさえソ連軍が軍事侵攻したと判断した千島・樺太の大日本帝国陸軍守備隊は果敢に戦いました、最近ではそれなりに有名になった占守島の戦闘では守備隊の適切な判断で島民は無事に北海道に帰還できたのです(中公文庫「最後の日ソ戦」参照)、

もし日本人が昭和20年の満州を描くのであれば関東軍軍人たちの武人としての誇りのなさを大きな声で描写すべきなのだ、という視点からは本作はやはり物足りないでしょう、

瀬島の自伝を読めば明らかですが瀬島は軍人ではあるがたった一度の戦闘も経験していない優秀な軍事事務官と評すべき人物(本書の壱岐正も同様な人物として描写されています)で、硫黄島で有名な栗林中将のような「軍人」と同類などと勘違いしてはいけません、 彼のようにまったく戦闘経験のない「幹部軍人」が大日本帝国陸海軍にはいて捨てるほど実在した事実(有名な山本五十六も同類)は、逮捕経験のない警察幹部・消火活動を経験していない消防幹部のような正体不明の印象を現在の私たちに与えます、

瀬島がほんとうにシベリアで苦労したのか? 昭和19年瀬島はソ連になぜ一人で出向きいったい何をしてきたのか? そして瀬島ほど華麗な軍歴を誇る人物が何ゆえに創業期の自衛隊に入隊しなかったのか(瀬島の胡散臭い背景に気付いた自衛隊側の拒否なのではないか、自伝でもこの経過は実にあいまいに記述されている、瀬島龍三=ソ連スパイ説からアメリカから自衛隊に圧力があったと指摘もする人もいる)? など瀬島龍三に関する疑問はつきない(旧ソ連の情報公開を待つ)というのが現実です、

瀬島の自伝で最も奇怪な部分が昭和19年に自らの目で極東ソ連軍の増強を確認しながらも大本営参謀として何一つ対策しないままに満州赴任に至る経過をまるで他人事であるかのように冷ややかに記述している箇所(つまり客観かつ冷静を装って何事かを隠蔽していること)で、以上の事実を知った上で読む本書の面白さは娯楽を超えたものだと保証します、

それにしても、壱岐正、つまり「意気正し」とはいつもながらの著者得意の安直な命名が面白く、21世紀の現在では不毛地帯とは戦争もしていないのに惨めに自滅してしまったソ連という情けない共産党政権国だったのだとも気付かされます、
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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 逆境に、どこまで耐えられるか?, 2009/7/16
第2次世界大戦敗戦後、主人公で、軍人である壱岐正は戦争俘虜としてシベリアに11年抑留されます。その間にはソ連軍の証人として東京裁判で証言をするという屈辱的な行為を強いられたり、不条理で一方的な裁判で戦犯として25年の強制労働の刑を言い渡され、シベリアの過酷な環境で、死刑にも等しい厳しい労働を課せられたりするのです。
彼の目を通して見えてくるものは、読んでいるだけでも胸が苦しくなるほど、過酷な体験です。そこから、一体どれほどの逆境に、人間は耐えられることができるのだろう?という素朴な疑問が浮かび上がってきます。
彼を支えているものは、家族や同僚、祖国への愛であり、自分の確固たる信条であることが伝わってきます。それを読者に伝えているのは、作者の入念な取材や調査を元にした物語構成の力量だと思います。
シベリアから帰還後、商社マンとして第2の人生を切り開く主人公ですが、第2の人生の土台となる体験を描いているのがこの第1巻です。
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14 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 あほな上司とどう向き合うべきか教えてくれたすばらしい本, 2009/9/27
ビジネスに役立つ一冊。
この本との出会いがなかったら、今の自分はないと思います。
参謀として部下や仲間を大事にする壱岐正の姿は1巻目から4巻まで変わらない。
精神的に極限を超えたシベリア抑留中でも正しい心を持ち続けた。
新設された自衛隊に幹部として戻らず、商社マンとしての道を選んだ彼の男としての道、
ビジネスマンとしての道すべて参考になります。
欲の皮が張った上司や、現場のことがわからない上司とどう向き合うべきか、
壱岐正に教えてもらいました。そのへんのビジネス書を読むより、勉強になりました。
すごい本でした。
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投稿日: 23日前 投稿者: RBM/MS

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投稿日: 1か月前 投稿者: Brewster★Baker

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