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春の雪 (新潮文庫―豊饒の海)
 
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春の雪 (新潮文庫―豊饒の海) (文庫)

三島 由紀夫 (著)
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5つ星のうち 4.0 痛ましい程に美しい物語, 2005/12/29
作者の遺作「豊饒の海四部作」の第一部ですが、この作品で作者はデビュー当時の「日本浪漫派」風の作風に本家帰りしたのではないかと思いました。耽美的で、デビュー作「花ざかりの森」を思い起こさせます。
最近、これが映画になったそうですが、確かに「美しさ」という点だけに着目すれば、映像美としてこれを映画化しようという試みも理解できなくはありません。しかし、主人公である清顕の一途さは、その裏側に自意識の汚らしさや計算高さをあわせもった上で語られているからこそ深みがあるのであり、その「汚さと美しさ」の矛盾する両極端が一致する点に「美」を見出すところにこそ三島文学の骨頂があるとすれば、やはりこの作品の魅力は文学ならではのものであり、映画化するのはもともと不可能なのではないかと思いました。
映画を観て感動された方は、恐らくこの作品の片面の美しさをしか見ていません。三島文学にある「汚さと美しさ」の両面にしっかりと触れるのならやはりこの原作を読むべきだと思います。
それと、忘れてならないのはこの作品があの「三島事件」に向かう作者が半ば「遺書」のように書き始めた大作の第一部であるということ。あの「割腹自殺」のおぞましさと、この作品の美しさは、同じ一人の人間から生み出されたものだということです。あの自殺に感動する人はそんなにたくさんいないと思いますが、にも関わらずこの作品の美に感動させられてしまうのは何故なのか。そのあたりも考えあわせながら読んでみるのもまた面白いでしょう。
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31 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 最高の小説にめぐり合えました, 2005/10/3
 私も3年位前に「仮面の告白」「金閣寺」に挫折して以来、何となく三島由紀夫を避けてしまっていました。
 今回映画化されると聞き、少しは自分も成長しただろう…ということで購入しました。

 すばらしい、の一言しか出てきません。
 自分が普段使っている言葉と同じなのか?!と疑いたくなるような美しい日本語に魅了されました。
 ストーリーだけ聞くとありきたりな悲恋物と言われてしまいそうな気がしますが、
それを跳ね除けてしまう見事な表現力で、一気に読んでしまいました。
 仏教の輪廻転生と絡めているのもとても興味深く、背景をもっと勉強してもう一度さらに味わいたいと思います。

 映画は妻夫木聡・竹内結子が演じるそうですが…私も他の方々同様ちょっと無理を感じます。
 清顕の繊細さや優美さ、聡子の凛とした気品を持った俳優さんはなかなかいないでしょうね。
 ただのトレンディドラマの延長になっていないことを祈ります。

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20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 三島の腕に舞い降りた文学の神, 2005/10/1
これは、人間が書いた小説とは思えません。文学の神が舞い降りて三島の腕に
乗り移ってつむぎだした、奇跡の名作です…。
それ程までにうちのめされる美しい日本語の表現の数々。
三島自身がいかに繊細かつ人間洞察力に富んだ人物だったかが偲ばれる
不朽の名作。これを読まずして、「恋愛小説が好き」と言うのはナンセンス!
と言いたいほど、素晴らしい作品です。本当に読んでよかったです。

現代ではありえないお上への忠誠心とか、貴族の社交界とか優雅がちりばめられているのにうっとりする一方、人を恋する気持ちは今も昔も同じで、
主人公達の心情に共感しつつどんどん恋の深みにはまっていく二人の行く末が
まったく分からず、ドキドキしながら読みました。

無気力でプライドが高く、最初は聡子の自分への思いを煩わしく
思っているつもりでいる清顕が、聡子に恋している、と気付く自然な
流れや、雪の降る朝に2人でこっそり逢引をする場面の清らかさな風景、
甘やかな雰囲気など圧倒的な表現力で、鮮やかに描きだされているのに
感動します。特に私が好きなのがこの場面。
物語は基本的には清顕の視点で描かれているので、聡子の細かい心情までは
彼女の言動から想像するしかないのですが、お上との約束に背いて
罪を犯してしまった聡子、彼女が牢に入らないで済むように苦心する
侍女に対して、「私は牢に入りたいのです。」という聡子。
「女の囚人はどんな着物を着るのでせうか。さうなっても清様が好いてくれるかどうかを知りたいの。」大人しく、お嬢様育ちの聡子の情熱が一瞬きらめくようなこのセリフ。私は「このままつっぱしれー!!」と心の中で応援してしまいました。

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5つ星のうち 4.0 「あんまり好きだから、仕合せを通り過ぎてしまったのだ」
中盤になって主人公の清顕と聡子が結ばれたところから面白くなりはじめ、場面場面が耽美的かつ豪華で圧倒されました。どんな些細なところでも、美しいことが、すごいと思い... 続きを読む
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