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二百十日・野分 (新潮文庫)
 
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二百十日・野分 (新潮文庫) (文庫)

夏目 漱石 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

阿蘇に旅した“豆腐屋主義”の権化圭さんと同行者の碌さんの会話を通して、金持が幅をきかす卑俗な世相を痛烈に批判し、非人情の世界から人情の世界への転機を示す『二百十日』。その理想主義のために中学教師の生活に失敗し、東京で文筆家としての苦難の道を歩む白井道也と、大学で同窓の高柳と中野の三人の考え方・生き方を描き、『二百十日』の思想をさらに深化・発展させた『野分』。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

夏目 漱石
1867‐1916。江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、「吾輩は猫である」を発表し大評判となる。翌年には「坊っちゃん」「草枕」など次々と話題作を発表。’07年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 格調高い名作, 2006/12/30
 『二百十日』はともかくとして、『野分』は名作である。文章が格調高く、かつ巧妙であり、内容も求道的で迫力がある。漱石の作品のなかでは有名ではないが、ぜひ多くの人に読んでほしい。白井道也の言葉は、作者自身のメッセージとして胸に響いてくる。

「わたしも、あなた位の時には、ここまでとは考えていなかった。然し世の中の事実は実際ここまでやって来るんです。うそじゃない。苦しんだのは耶蘇や孔子ばかりで、吾々文学者はその苦しんだ耶蘇や孔子を筆の先でほめて、自分だけは呑気に暮して行けばいいなどと考えてるのは偽文学者ですよ。そんなものは耶蘇や孔子をほめる権利はないのです」

「岩崎は別荘を立て連らねる事に於て天下の学者を圧倒しているかも知れんが、社会、人生の問題に関しては小児と一般である。十万坪の別荘を市の東西南北に建てたから天下の学者を凹ましたと思うのは凌雲閣を作ったから仙人が恐れ入ったろうと考える様なものだ……」
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5つ星のうち 3.0 初期とはいえ、テーマは一つ, 2009/3/11
『二百十日』は前作『草枕』とがらっと趣を変えて、気の置けない友人同士の何気ない会話で全編成り立っていますが、その主張はズバリ、「人間としての正しい在り方」です。明治という時代背景もあるのでしょうが、漱石の面目躍如と言ってよいでしょう。余りの直球勝負に敢えてまるで落語を聴いているような語り口を選択した所に作者のシャイな部分を感じるといったら言い過ぎでしょうか。頭数だけでなく、ボケと突っ込み(?)という役割分担も『虞美人草』の甲野さんと宗近君を彷彿とさせます。

『野分』は一転して「一人坊っち」である疎外感を真正面から扱います。人それぞれの立場・境遇をきっちりと描き分けていることに加え、この先漱石が晩年まで追い続けることになる主要テーマが朝日新聞社入社前の本作にほぼ揃っていることに驚きました。一生を掛けてぎりぎりと掘り下げて行った訳ですね。

「二百十日」から二百二十日に掛けて吹く強風が「野分」だそうで、だからこそ相次いで発表された2作がセットであったことを今の今まで知りませんでした。
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3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 漱石の率直な心情・理念に触れられる貴重な作品, 2008/1/19
By 紫陽花 "玲瓏" (神奈川県相模原市) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
漱石の人生観・社会観が伸びやかな筆運びで綴られた二作を収めた好中編集。漱石のユーモア味と社会に対する厳しい批判精神が同時に味わえる魅力溢れる作品。

「二百十日」は豆腐屋出の圭さんと高等遊民らしい碌さんが弥次喜多よろしく阿蘇見物をする様をユーモラスに綴ったもの。圭さんが行なう華族や金持ちに対する痛烈な批判は漱石の心情そのものだろう。結末の「我々が世の中に生活している第一の目的は、こう云う文明の怪獣を打ち殺して、金も力もない、平民に幾分でも安慰を与えるのにあるだろう」の言葉は感動的である。そして、こうした思想を単に述べるのではなく、二人の会話を中心に、ストーリー全体をユーモアで包んでいる点が漱石の文豪たる所以である。人口に膾炙している「ビールは御座りませんばってん、恵比寿なら御座います」と言う旅館の女中のセリフは何度読んでも抱腹絶倒。阿蘇近辺の風景描写も秀逸。「野分」は一転して格調高い文章で、漱石の日頃の鬱積を吐き出したもの。富貴が尊ばれ、公正な精神が軽んじられる矛盾に満ちた社会に対する義憤に溢れている。「白井先生=漱石」と考えて良いだろう。周囲の人間に自身の理念が受容されない塗炭の苦しみが文章から滲み出ている。「解脱して一人ぼっちになるしかない」と言う白石先生(漱石)の諦観の念は深い。高柳君はそこまで悟れずに煩悶する。恋にたゆたう金満家の中野君と三人三様の描き分けが巧みである。それにしても、真理を追究する論説の中で、美文調の比喩が次から次へと泉の如く湧いてくる漱石の筆力・教養は圧倒的である。また、登場人物の心象風景に合わせた自然描写も木目細やかだ。結末の白井先生の演説内容は漱石自身の主張と考えて良いだろう。現代にも通じる見識の高さと時代の予見性に感服する。

硬軟に別れた二作だが、いずれも漱石の率直な心情・理念に触れられる貴重な作品。
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±±"±... 続きを読む
投稿日: 2003/10/22 投稿者: bluepasta

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