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鍵・瘋癲老人日記 (新潮文庫)
 
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鍵・瘋癲老人日記 (新潮文庫) (文庫)

谷崎 潤一郎 (著)
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   封建的な家庭に育った貞操観念の強い妻と、初老を迎えた大学教授の夫。肉体的な下降期にある夫は、妻の旺盛な性欲を満たすことができない。美しい妻の肉体に日々妄想を募らせ、ついには若い男を妻に近づけることで、自らの衰える性欲を掻き立てようとする…。

 「鍵」は、この夫婦が性を赤裸々につづった日記である。相手に盗み読みされているかも知れない、という緊張感が、複雑な心理の葛藤を生み、物語をよりスリリングなものにしている。

   性欲の虜のような2人も、世間体は案外平凡な夫婦なのかもしれない。そこにこの小説の恐ろしさがある。日常的な夫婦生活とは、実はもろくも微妙な関係の上に成立しているのである。ひとたび「鍵」を開けてみれば、そこには暗く奥深い混沌とした闇の世界が待ち受けている。『細雪』で美しい物語絵巻を完成させた谷崎は、さらに日記形式という武器を手に入れ、日本的情緒の深部へと読者を誘い込もうとしているのである。

 『瘋癲老人日記』もやはり性欲を題材にしたものだが、「鍵」が陰とすればこちらは陽の世界。嫁に翻弄される老人のあっけらかんとした日記である。谷崎自身を思わせる老人の瘋癲ぶりは笑いを誘う。肉体的な力を失った人間の欲望が、どこまでエスカレートするか、谷崎は存分に想像力を膨らませて書いている。その結末を「鍵」と比べて読むのもおもしろいだろう。(三木秀則)


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8 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 なおみよりも コンパクトで かつ、インパクトがある。, 2003/9/1
テーマとしては痴人の愛と同じような方向性ですが、
この本の2編のほうが、短くまとまっていて読みやすく面白かったです。
いわゆる「インパクト」でいえば、こちらの2編のほうが強かったし、
読み応えがありました、私には。

息子の嫁って、魅惑的ですね。しかし。

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6 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 谷崎的, 2005/2/21
「鍵」:病をおしても郁子との喜びを優先する自虐的な老人。
瘋癲老人日記:死んでからも颯子(嫁)の足の下にいることを妄想して恍惚となる老人。
「鍵・瘋癲老人日記」は、「痴人の愛」「春琴抄」「お国と五平」の延長にある、女主人に仕え、踏みつけられることにある種の喜びを感じる男の痴情の世界。
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