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逆説の日本史〈15〉近世改革編―官僚政治と吉宗の謎
 
 

逆説の日本史〈15〉近世改革編―官僚政治と吉宗の謎 (単行本)

井沢 元彦 (著)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

名君吉宗の実像に迫る歴史ノンフィクション

 『週刊ポスト』誌上で大好評連載中の歴史ノンフィクション『逆説の日本史』の単行本化。第15巻では主に「八代将軍吉宗」と「田沼意次」を取り上げます。六代家宣から家継を経て、八代吉宗が将軍になるまでは日本史上有数のミステリーであるとして、その「強運」の数々を検証。「名君」と呼ばれる吉宗ですが、経済の運営者としては「下の下」である「バカ殿」であることを示し、「享保の改革」が本当に「改革」であったのかを検証します。 また、「稀代のワル」そして「賄賂の帝王」と言われる田沼意次の「賄賂伝説」はデッチ上げられたもので、その烙印を押された背景には「儒学」があると分析。実は有能であった彼の虚像と実像に迫ります。


内容(「BOOK」データベースより)

名君徳川吉宗は経済に関して「バカ殿」だった!?「享保の改革」は本当に「改革」だったのか。

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5つ星のうち 5.0 暗君と名君をわけるもの, 2008/8/11
By jiateng4 - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
シリーズ15巻は、吉宗とその経済政策についてです。吉宗と言えば、「暴れん坊将軍」(もちろんフィクションですが)で有名ですが、世間の相場はどちらかと言えば、「名君」に偏っていると思います。

もちろん、彼が暗君であったとは言えませんが、こと経済政策については、「素人以下」であり、そこで同じ徳川家の中で、「政争」とも言える争いがあったことなどは、歴史の教科書に載っていません。そしてその経済音痴となった根本的原因に、「儒教」の教えがあることが論理的に解説されています。「儒教」にここまで負の側面があったことなど、学校では教えないはずですが、このような宗教問題を理解出来ないと、現在の政治・経済の諸問題を正しく理解出来ない事が本シリーズでは繰り返し力説されていますが、それをここまで綺麗に解説出来るのは著者だけと言っても良いのかも知れません。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 儒教朱子学が“名君吉宗”“拝金主義者、意次”の迷信を生んだ?, 2009/8/11
By 平成の愚禿 (神奈川県横浜市) - レビューをすべて見る
井沢元彦氏による宗教的側面を下敷きにした歴史考証へのアプローチにはいつもながら感服させられる。

宗教社会学者:マックス・ウェバーは「宗教」をエトス(行動様式)と定義する。
エトスは、人々が良くも悪くも、また意識的・あるいは無意識的に行動し、思考する(してしまう)理由。言い換えれば明文の規範あるいは不文律を指すという。

この意味での「宗教」から、人間は自由ではあり得ない。人間は誰でも特定の時代、特定の社会の中で成長しつつ、その中で人格が形成されるのであり、良くも悪くも思考・行動が特定のエトスに収束される。その意味で、何人も「時代の子」であろう。

そして本書で扱われる江戸時代である。儒教朱子学が幕府によって官学とされた時代である。そしてその宗教は厳格で現代から見れば不合理と言える差別の秩序を生み出している。“農”が尊ばれ、“商”が卑しいものとして扱われる。
こういった時代では基本通貨が“米”ではなく“貨幣”であるという実情は容易には受け入れられがたいであろう。“貨幣”は所詮“商”の産物であり“卑しい”という潜在意識が抜きがたく働くからである。まして“商”を刺激して市場を活性化しようという“経済・景気対策”などもっても他という呪縛が働いても不思議ではない。

吉宗、定信もこの点で例外ではない。このことは朱子学が官学とされる以前には、こういった呪縛が存在しなかったことからも裏打ちされるであろう。信長や秀吉は楽市・楽座政策などによって積極的に景気対策を推進している。彼らからはこのような呪縛は感じられない。信長の旗印は確か永楽銭だったと思う。

本書は、徳川吉宗が所詮は「時代の子」という拘束から自由ではあり得ず、また松平定信に至っては朱子学原理主義者であったという事実を鋭く指摘する。吉宗に開明的な部分があったにせよ、尊い米の増産政策にひたすら固執し、米の生産過多で“米安の諸色高”という状況を呈し、農民、武士の生活が益々ひっ迫していく皮肉的なバットサイクルを解明する。

政治・経済は“結果責任”の世界だから、著者のいうように吉宗、定信を“少なくとも経済面ではバカ殿”と評価するのも一意見あろう。彼らの政権を引き継ぎ、物価を幕府の命令で統制しようと試みて当然大失敗・失脚した水野忠邦も同様であろう。惜しむらくはこれらの為政者がせめて需要・供給曲線を理屈として気づいていれば・・・である。

他方、尾張藩主の徳川宗春、田沼意次がやろうとしたのは“商”による消費・投資(=GNP)の拡大を意図した構造改革であったと思われる。ただ宗春は改革を恒常化させる術を知らなかったが故に失敗し、意次は定信等の儒教原理主義者の嫉妬・反発にあって志半ばで改革が挫折した事実が本書で詳説されている。

問題は、儒教朱子学というエトスによって“眩まされる”形で出来上がった当時の彼らへの評価に、現代人も少なからず眩まされ続けていることであろう。

本書の主題はこの錯覚を分析することにあると思う。歴史は総合科学である、を持論とする井沢氏の叡智が、解りやすい文体・構成で存分に発揮されており、経済・宗教音痴の私でもすらすら読めた。

お勧めである。
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20 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 宗春は名君か?, 2008/8/17
著者は吉宗はバカ殿であり、尾張の徳川宗春は名君であるという。宗春の開放政策は経済の一時的興隆をもたらすが、最終的には藩財政の破綻を招くことになる。民にすれば、一時はバブルに踊らされたものの、文化の発展の陰で享楽的風潮の蔓延、勤労意欲の低下、モラルの崩壊等の問題に直面せざるをえなかったであろう。そして、その後に味わわねばならなかった経済の混乱による苦しみは昭和・平成を生きた者には容易に理解できるでことである。将来の見通しもないまま、一国を運営した為政者によってもたらされた人心、経済への甚大な被害にも目を向けるべきではないか。
吉宗をバカ殿とするのにも賛成できない。現代の経済運営にあたって、学者や政治家が諸施策の有効性を論じても、最善の策を見出すことが困難なことを考えれば、未来永劫存続するはずの幕府の為政者に、唯一儒教だけが絶対の真理として存在していた時代に、その枠を飛び越えた画期的政策を実施しろというのは、イスラム教徒にコラーンにこだわるなというに等しい無理難題ではないのか。バカ殿、名君という分類が所詮無理なのであって、一般にいわれている、人物評に風穴を開けるための方便として、著者も使っていると理解すべきであろう。
なお、「享保の改革」だけでなく、「田沼の改革?」や松平定信の「寛政の改革」とその周辺状況にも多くのぺ−ジが割かれており、多くの重要な指摘がされていることを補足しておく。
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投稿日: 8日前 投稿者: SlapShot

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