エンジンが故障し船は漂流、程なく携帯電話に「圏外」の表示が出る。それは同時に、彼が人間世界の「外」に出で、自己の「内的世界」へと出発したことをも意味していた。
水、次いで食料が底を尽いても武智は焦らず腐らず、「できることは、とりあえずやる」という鉄則を貫く。体力も衰えるなかで、キーホルダーで作ったルアーで魚を釣り、海水をやかんで蒸留して水滴をなめ、果ては小便まで飲む。これ以上ないほど深刻な状況なのだが、彼の言葉には突き抜けた明るさがある。
「…小便をちょっと。舐めているだけなのに。まだ死なない。人間って、案外死なないもんだ。いやまったく。今日も元気だ、小便が旨い。いや、旨くないか。元気でもない。ちっとも、元気なんかじゃない。でも生きてる。生きてる。俺はまだ生きているんだぞ…」。たとえるならば「無人島マンガ」のようなユーモア。それは孤独と欠乏とを基調にしながらも、人間存在への素朴で深い思索を喚起する。
「…あきらめが早いって? だけど俺はあきらめたから生きられたんだ。…」諦めることは明らめることでもある。ネガティブも極まると、ポジティブに反転する。
諦念と諧謔(かいぎゃく)、そして常ならぬ平常心。静かな勇気・矜持(きょうじ)を持って生きることの、また大らかな諦観の持つ「壮大な力」を見せつけられる。(濱 籟太)
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