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オクシタニア (単行本)

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出版社/著者からの内容紹介

宗教とは生きるためのものか、死ぬためのものか。13世紀フランス南部。〈オクシタニア〉と呼ばれる地方に繁栄を築いた、異端カタリ派の興亡を背景に描く人間群像。堂々1800枚! 衝撃の書き下ろし長編。


内容(「BOOK」データベースより)

13世紀南フランス。豊穣の地“オクシタニア”に繁栄を築いた異端カタリ派は、北部騎士とフランス王軍勢をいかに迎え撃つのか。トゥールーズ名家の御曹司エドモン。彼の妻となるジラルダ。北部勢力の侵攻に抗するトゥールーズ伯ラモン。三人の運命が出会ったとき、地上の快楽と苦悩をめぐる孤独な闘いが始まる。堂々1800枚の書き下ろし西洋歴史小説。

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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 読んで損なし、泣ける一冊!, 2004/10/27
By だんだだん (埼玉県和光市) - レビューをすべて見る
 「アルビジョワ十字軍」は、高校の世界史でも「13Cフランス、フィリップ2世が異端カタリ派を討伐」くらいしか習いませんが、本作品はこの事件をお腹いっぱい味わえます。
 というのも、1北側・仏王十字軍総大将シモン=ドゥ=モンフォール(あの有名人の父)、2南側・「無冠の帝王」トロサ伯ラモン7世、3正統教会の尖兵・ドミニコ修道会の異端審問官エドモン、4カタリ派の出家信者ジラルダ、という聖俗それぞれの多数派と少数派の視点を通して、数十年に及ぶ抗争の経過が丹念に描かれているからです。
 そして、歴史の敗者に対する敬意と温かい眼差しを全編を通して滲ませながら、決して判官贔屓に流れないところに作者の才能の凄さを感じました。
 物語終盤の「約束」のシーンは、素晴らしい名場面だと思います。ぜひご一読下さい。
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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 中世宗教界と現代俗世界 人は変わったのか?, 2004/2/4
「薔薇の名前」が好きなので「異端審問」という言葉に惹かれて初めて著者の作品を手にしました。

物語のごく前段、主人公達が出てくるまでの情景、心理描写ともにすばらしく中世のヨーロッパの様子がよく描かれています。それに比較すると、後半部分の若ラモンの夢のエピソードの箇所などまどろっこしい感じもしますし主人公二人の行動とか心理描写に納得いかない部分も多々あります。逆にいうと「納得いかない」と思うくらいには入れ込んで読まされたとも言えます。

ごく簡単に言ってしまうとジラルダは「運命の女」なのでしょうか?どこがそこまで特にエドモンにとって魅力的なのかってところで私は引っかかってしまったのですが、それはジラルダ自身も後半で疑問を投げかけていますし、作者の意図のうちなのかもしれません。 現実の世界では私たちも傍から(つまり読者から)見ればとんでもないことを人間関係においてはしているのでしょうから。

フランスのこのあたりの歴史はまったく知らなかったのでとても新鮮でした。欲を言えばカタリ派の栄枯をもっと書いてほしかったです。読んでいる最中に気になって確認したらほぼ200年後にフィレンツェで異端の罪で火刑に処されるサボナローラもエドモンと同じドミニコ会出身でした。著者にはその時代のイタリアの舞台の作品も書いてほしいです。

文句ばかりつけているようですが、数日かけて楽しく通読しました。再読すると思います。レビューを書きたいと思わせる本でした。中世の歴史とかキリスト教の歴史に興味のある方には特にお薦めできます。

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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 誇り、信仰、愛・・, 2006/2/22
By yuishi (千葉県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
13世紀南フランス、ピレネー山脈を望む肥沃なオクシタニア地方を舞台に、異端とされたカタリ派をめぐる数十年に渡る戦乱の時代を描いた。
中世ヨーロッパを舞台に信仰に絡めとられた人々を描く著者得意のテーマ。今回は特に、オクシタニアの人々が話す方言を関西弁調で描くという実験(好みはわかれるだろうが独特の雰囲気を出している)や、章ごとに中心になって描かれる人物を変えるなど今までになかった試みがなされている。

物語は異端の信者たちが最後に篭った急峻な山岳地帯にある廃城を訪れようとする老僧の回想から始まる・・。
政治的な思惑から異端討伐の十字軍の指揮をまかされる臆病な小領主シモン。対するのは破門伯爵ラモン・・・。そして町人階層の夫エドモンと彼の元を離れ信仰の道に身を投じた妻ジラルダのストーリーは後半部の中心になっていく。
かなりの分量のストーリーだが、20数年分の物語になるため展開は頻繁にスキップする。個々の場面では著者得意の猥雑で生き生きといた人物像が描かれるが、場面が変わる毎に登場人物は唐突にいなくなるなど、感情移入を妨げる。
後半の中心となる妻を追いつづけるエドモンと、ジラルダの純愛ともいうべきストーリーが魅力的なだけに前半部の混乱(あえて言う)が残念・・・。
ともあれアルビジョワニ十字軍という日本ではなじみの薄い歴史事件を背景に生き生きとした人間ドラマを描いた著者の力量は感心する。

この大部の物語のラスト、朽ち果てた山城で老僧があるものを見つけるというシーンに、すべてを突き抜けた先にある大感動を覚えた・・。
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