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夷狄を待ちながら (集英社文庫)
 
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夷狄を待ちながら (集英社文庫) (文庫)

by J.M. クッツェー (著), J.M. Coetzee (原著), 土岐 恒二 (翻訳)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

野蛮人は攻めてくるのか? 静かな辺境の町に首都から治安警察の大佐が来て凄惨な拷問が始まる。けっして来ない夷狄を待ちながら、文明の名の下の蛮行が続く。2003年度ノーベル賞受賞作家唯一の文庫!

内容(「BOOK」データベースより)

静かな辺境の町に、二十数年ものあいだ民政官を勤めてきた初老の男「私」がいる。暇なときには町はずれの遺跡を発掘している。そこへ首都から、帝国の「寝ずの番」を任ずる第三局のジョル大佐がやってくる。彼がもたらしたのは、夷狄(野蛮人)が攻めてくるという噂と、凄惨な拷問であった。「私」は拷問を受けて両足が捻れた夷狄の少女に魅入られ身辺に置くが、やがて「私」も夷狄と通じていると疑いをかけられ拷問に…。

Product Details

  • 文庫: 359 pages
  • Publisher: 集英社 (2003/12)
  • ISBN-10: 4087604527
  • ISBN-13: 978-4087604528
  • Release Date: 2003/12
  • Product Dimensions: 6 x 4.1 x 0.6 inches
  • Average Customer Review: 4.9 out of 5 stars  See all reviews (7 customer reviews)
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10 of 13 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 『恥辱』がイマイチだった人にはおすすめ, 2006/7/19
By デルスー (沿海州シホテアリニ山脈) - See all my reviews
(TOP 1000 REVIEWER)   
なぜか『恥辱』にはピンと来なかったので、
食わず嫌いになっていたクッツェーだが、
どこかカルヴィーノやカフカを連想させるこの作品は、
自然描写の美しさに惹かれてスラスラと読んでしまった。

ただし、本書とその20年後に書かれた『恥辱』は、
設定こそ大幅に異なっているものの、
自らの老醜(とくに体型)を自覚している男が、
若い女への執着を機に地位を失って一気に転落し、
肉体的な暴力によって屈辱を嘗めるという筋だけを見れば、
殆ど瓜二つと言ってもいいほどに似通ってもいる。

理不尽な暴力によって、癒し難い恥辱を与えられるという体験を
繰り返し描いているところをみると、
ついついクッツェー本人の幼少期にも
同様の体験があったのではないかと勘繰りたくなるのだが、
(未読の『少年時代』に詳しく書いてあるのだろうか?)
実を言えば、拷問の凄まじさは予想していたほどではなかったし、
主人公が夜ごとに夷狄の娘の肉体を弄びながら、
行為には及ぶことなく眠り込んでしまうという、
谷崎の「眠れる美女」を逆転させたような場面にしても、
気持ち悪いというよりは、むしろファンタジックな印象のほうが強い。
「後味の悪さ」を残す作風ということでは
やはり『恥辱』のほうが遥かに上なのかもしれず、
そのあたりが☆4つにとどめた理由でもある。

ちなみに、邦訳タイトルには多少の違和感を覚えた。
「夷狄」という古めかしい漢語をあえて使ったのは、
むろん、『ゴドーを待ちながら』を念頭に置いてのことだろうが、
文語ゆえにどこか実感に乏しいことは否めず、
"barbarians"という原語に籠められていたはずの
差別-被差別の問題が、完全に捨象されてしまう気がする。
そもそも、"godot"と"barbarians"では音節数が違うのだから、
邦訳でも無理に合わせる必要はなく、「野蛮人」でまずければ
「蛮族」あたりでも良かったのではないか。
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8 of 12 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 待望の文庫本化, 2004/10/28
By クロアシ (東京都) - See all my reviews
集英社ギャラリー[世界の文学]第20巻に収録されていた作品でしたが、このたび独立した文庫本として発売されることになりました。
帝国に支配される辺境の町。そして遠方から移動してくる姿の見えない夷狄。この構図は、古代ギリシアのポリスに対するbarbaroi、古代ローマに対するgalliを連想させに充分であり、原題Waiting for the barbariansからも、作者の古典に対する意図は充分伺われると思います。

とある時代、とある場所の帝国が舞台。主人公は初老の民政官である私。そこへ帝国の治安警察の将校が視察にやって来ます。最重要部門第三局に所属するサディストのジョル大佐、彼は、辺境の夷狄との戦争が始まるのだと言います。反発する私。ふたりの対立を軸に、ジョル大佐の遠征、捕虜の連行、果てしない暴行が繰り広げられ、私は連れて来られ盲にされた女と奇妙な関係を持つに至ります。女を夷狄の部隊に返そうと、今度は私が遠征する。しかし、帰ってくると、夷狄に通じたとして反逆罪に問われてしまう。激しい拷問。そして野良犬のような生活。
やがて夷狄による本格的な攻撃が始まります。戦局は悪化し、駐屯軍の撤退が始まり、取り残された私たちは、夷狄を待ちながら最後の時を過ごすのです……。

執拗で生理的な嫌悪をかきたてる容赦のない暴力の描写が目に付きますが、しかし、それはヘロドトスなどの古典を繙けば頻繁にお目にかかれるもので、「古くて新しい」記述とでも言うべきもの。南アという、現在進行形で二つの文化がぶつかり合うホットな地域に根差し、それを自らの西洋的なルーツを辿り重ね書きpalinpsestすることで、この作品は、知的な構成を保ちつつも、人間の奥底に眠っている根元的な在り方の一側面を描き出す事に成功していると思います。

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6 of 10 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars この本をたくさんの人が読んだら世界は平和になるのに, 2003/11/19
このレビューの引用元: Waiting For the Barbarians (ペーパーバック)
ローマ帝国が頻繁な「蛮族」の侵入を受け、崩壊の道を辿っていった時代の、アフリカのある国境の町に舞台が置かれている。そこの一地方官僚の男の苦悩・葛藤そして勇気・願いを通して、国境の平和が変貌していく様子を描き出している。

この本は十年以上も前に書かれているが、今、2003年に読んでみて、現在の国際情勢に重ねあわされるものが非常に多いと感じた。帝国の内なる問題から生まれてくる恐れ・不安を外に向けて、蛮族の侵入が近々あると人々の心をあおる中央の支配者・官僚・軍の残虐さと愚かさ。実際、攻撃的蛮族の姿は全く見えない、逆に軍が到着するまで、国境は平和そのものだったという人々のパラノイアから引き起こされる錯覚。異文化に対する無理解。なにか身近に感じるものはない?

この時代を語る上で通常不可欠とされる宗教という問題を全く持ち出さずに、これだけ人間性・異文化接触というものを深く描き出しているのは特筆すべきである。キリスト教のキの字も出てこなかった。

ただ、女性に対する視線というのは、やはり、男性の作家が書いたものだなあと思った。この点が唯一、気に入らなかった。

しかし全体的に、表現・文体もすばらしいの一言で、ペンギンの「20世紀の偉大な本」シリーズに入るだけのことはあるなと思う。

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Published on 2007/7/7 by ビイハヴ

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Published on 2005/3/8 by maikellly2

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Published on 2003/11/19 by paj

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