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川かますの夏
 
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川かますの夏 (単行本)

ユッタ リヒター (著), Jutta Richter (原著), 古川 まり (翻訳)
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ひとりの少女と少年の友情と成長を描いた、切なく美しい夏の物語。ドイツ・カソリック教会児童・青年文学賞受賞。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

リヒター,ユッタ
1955年ドイツ、ブルクシュタインフルト生まれ。カソリック神学とドイツ文学、ジャーナリズムを専攻。多くの小説や戯曲、歌を書いている。現在はミュンスターランド地方のヴェスターヴィンケル城の一角に住む。『川かますの夏』で、ドイツ・カソリック教会児童・青年文学賞受賞

古川 まり
1962年東京生まれ。1979年よりドイツ在住。マインツ大学で歴史、ドイツ文学、美術史専攻後、銀行勤務。2006年に翻訳事務所開設。翻訳のほか、ライター、通訳としても活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 夏のさなかで, 2007/9/6
大人になる過程で私はどれだけのものをつかみとってきたのだろう。そして、どれだけのものを私は置き去りにしてきたのだろう。きりきりと胸を締めつけられながら、この本を読んだ。
 冒頭の一文が目を射る。「終わるとは思えない夏だった。」過ぎてしまった時を思えば、私にもそんな季節があったのだ。                                       
                                                         
物語は、ドイツの緑滴るある夏。五月一日から七月一日までの二ヶ月間を、花が咲き誇り、風が光り、木々が緑濃く移ろってゆくさまを背景に、ひとりの少女と少年の心の軌跡を描いている。光溢れる季節のなかで、二人は、愛する人に襲いかかる病と対峙する。「死」という言葉と否応なく向き合わねばならないのだ。それは子供たちにとって恐怖以外のなにものでもない。
 口さがない大人の噂、不躾にそれを喧伝する友だち。美しい風景の描写が、少女の心の波立ちをいっそう際だたせている。恐怖も怒りも母親への煩悶も、壊れそうにみえる友情も、素直になれないもどかしさもいっしょくたに彼女を呑みこみ、そのさまがいとおしく胸をかきむしられるようだ。                                                   
神様に祈ることより自分の信じるやり方で愛する人の「死」の恐怖と向き合おうとする少年も、大人への扉を、知らず開けた。銀色に輝く川かますに託した思いの切実さは、いじらしく切なかった。             

容赦ない時のなかで、出会い、別れ、心に刻む出来事とともに人は大人になっていく。ラスト1行は、少女が現実をしっかりととらえた証だ。そしてそれは、生きてゆくことのなかに潜むひとつの真実であるからこそ、こんなにも私の心をゆさぶるのだ。

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「学校はどうだった?」, 2007/10/28
夏の生き生きした情景と、独白の日記のような文章。
主人公アンナと、幼馴染で年下のダニエルとルーカスの三人は「お城」に住んでいる子供たち。

「恐れ」に立ち向かうという事。
子供ではいられない境目。
周りの人間に自分をあわせられないという事。
そういう言葉にすると曖昧なものに、改めてくっきりと手触りを残してくれる。
大人になると忘れてしまいがちだが
子供時代というのは意外ときびしい。

ジル・ペイトンウォルシュの小説とか思い出します。

ああもっと前にこの本を読みたかったな!
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 時を止めたくても。, 2007/8/7
By ヤヤー - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
いまから三十年ほど前のドイツが舞台だ。
そのころ川遊びに興じたことのある大人たちには、
懐かしく感じられる風景がたくさんあると思う。
感受性豊かな子どもの目で捉えられた大人たちの愚かさの、なんと確かなこと。
他人の不幸を喜んだり、あらぬ想像をたくましくしたり。
大人になるということは、そういうものを受け入れつつ、
そして見て見ぬふりができるようになることでもある。
また、欠点だらけの両親についても、その観察力は細やかで、しかし温かい。
子どものほうが大人よりもずっと寛容なのだ。

こんなに薄い本だからと、最初は高を括っていた。
とんでもない。
神さまの存在と現実との狭間で揺れる子どものこころや
病気と死、友情、親子関係…さまざまな人間模様が織り込まれている。
自分たちに何が起ころうと、周囲の風景は変わらずに時を刻むことも。

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