出版社からのコメント
漫画界の巨星として、アニメーション制作者として、今なお大きな影響力を持ち続けている手塚治虫が、50年以上も前にディズニーのアニメーションをもとに「バンビ」と「ピノキオ」を漫画化した単行本を出版していた! この事実は、一部の手塚マニアの間に伝説として伝わっていたものの、一般的にはまったく知られていません。
手塚治虫の映画好きはよく知られています。映画館に入り浸って「バンビ」を80回以上観た、いや100回以上観たという手塚治虫本人の記述がありますが、ビデオなどのない時代では映画を何回も観て、頭で覚えたものを漫画に表現したのでしょう。しかし、ディズニーのアニメーションをもとにしているとはいうものの、漫画では手塚治虫流に脚色されており、キャラクターは、アニメーション以上に生き生きとして描かれ、完全に手塚治虫作品として完成されています。その記憶力と卓越した表現力には驚嘆せざるを得ません。
今回はその『バンビ』と『ピノキオ』を当時出版されたままの形で、復刻版として刊行できることになりました。
この出版は、手塚治虫の幻のディズニー漫画を五十有余年の時を経て世に送り出すという意味ばかりでなく、当時の手塚治虫とディズニーアニメとの関係を知る上で、文化的・資料的にも大きな意義があると思われます。
別冊には、野口文雄氏の解説のほかに、『漫画少年』に掲載された手塚治虫/構成・作画の「ウォルト・ディズニー物語」「バンビ」「ピノキオ」を収録しますので、当時を知る貴重な資料となることでしょう。
これを機会に、手塚漫画とディズニーアニメを、読み比べ見比べてみるのはいかがでしょうか。
著者について
手塚治虫(1928年~1989年)
漫画家。本名、治。大阪生まれ。大阪大学医学部卒。映画の手法を駆使したストーリー漫画を芸術の域にまで高め、日本の漫画隆盛の基礎を築いた。作品は無数で、「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」「三つ目がとおる」など。また、長編アニメーションも数多く制作している。