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神戸在住 10 (アフタヌーンKC)
 
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神戸在住 10 (アフタヌーンKC) (コミック)

木村 紺 (著)
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登録情報

  • コミック
  • 出版社: 講談社 (2008/1/23)
  • ISBN-10: 4063211827
  • ISBN-13: 978-4063211825
  • 発売日: 2008/1/23
  • 商品の寸法: 18 x 12.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 そして幸せな神戸の記憶を。, 2008/1/23
集大成。その一言に尽きる最終巻。
作者の想いが心から伝わる、素晴らしい一冊でした。

初めてこの本を手にしたのは中学生の頃。
その時はまだ、今程この大好きな街に大した愛着も無く、でもふと手にした本書を、気付けば買い続けていた。
大学で神戸を離れた時も、就職で神戸を離れた時も。
あれからもう10年近く。
ふとページをめくれば、神戸の風を感じ、個性的な登場人物の神戸弁、関西弁に心癒され、何度も読み返した。
そんな愛する本書もついに終わってしまう。

確実に迫る終幕へ、でもゆっくりと慌てず、優しい視点で物語は進む。
レビュータイトルに拝借した「そして幸せな日向の記憶を。」は涙なくしては読めない。
タイトルからも分かる、あの方の話、そしてそこからの旅立ち。
上記以外の話でも、今まで読み続けたファンには思わず笑みや涙があふれる話でいっぱい。
すべての話が作者の想いがあふれている。

心模様多く、心優しい主人公・桂の視点を通して語られる彼女の大学4年間は、楽しい、悲しい、嬉しい、愛しい、日々の揺らめきを、かけがえの無い当たり前の日常を見せてくれた。
「神戸在住」は可愛らしい絵柄ながら、内包するテーマは病気や死、葛藤、神戸の人々が忘れられない大震災まで、重いテーマも多々あった。でもだからこそ、ここまで素晴らしいと思える作品になったのだと思う。日常に影となって潜むそれらに目を背けては、決して生きていけない。

最終話「神戸より」は、桂がある友人に宛てた手紙を通して語られる卒業前後の話。
幸せな日々を丁寧に、丁寧に作者は綴ってくれた。
この本に出会えたことを、心から幸せに思う。

帯には「一生、読み続けられる本」

ホンマに。私はこのめっちゃええ本を、一生読み続ける。

「美しく彩られた冬の日向、冴えわたる空気に包まれ、私は最初の一歩を踏み出した。今はまだつらい記憶も、やがてはやさしい思い出となり、人生の糧となる日を信じて。」本文71ページより
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21 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 理想の大学生活に隠された心の傷, 2008/1/29
 作者が深みのある人物像を何人分も描き分けており驚く。
 登場人物の性格描写はリアルで緻密。しかし、あからさまな悪意は消し去られている。
 現実の大学の一大勢力である無気力で怠惰な学生もわずか一人しか登場しない。
 才色兼備で優しい博士後期課程の先輩もいる。楽しく友愛に満ちた理想の大学生活だ。 
 それが逆に日常的でささいな負の感情を浮き彫りにして強烈な印象を残す。
 誰にとっても身に覚えがあるはずの負の感情だ。

 また、登場人物の多くは心に傷を負った人たちでもある。
 主人公の友人でムードメーカーの鈴木さんも単純に明るいだけの女の子ではない。
 素朴な絵柄と学生たちの明るいギャグ等で巧妙に打ち消されてるが、物語の芯は尾を引くように暗くて重い。
 
 物語がほのぼのとして見える一番の理由は、主人公が過去に悲惨な経験をあまりしていないからだろう。肉親との別離や持病のある弟への負い目などは描かれている。しかし、それらはもの心がついた頃のあいまいで幼い記憶。
 対して主人公の友人たちのケースとして描かれるのは、世間をリアルに見ることができる年齢以降に経験する震災、友人の死、複雑な家庭環境、身体の障害、疎外など、生々しい記憶を伴うものだ。
 主人公は、かつて二回、悲惨な経験を通じた友人たちの連帯感のようなものに触れて、「わたしには何もないなぁ」とつぶやいている。
 悲惨な体験をしていないために、主人公は友人たちの心の傷を心底から理解しているわけではない。もらい泣きをするシーンが頻繁に描かれているが、それは本好きゆえの感受性だろう。そんな主人公の目を通して語られることによって、友人たちの劇的な体験はオブラートで包んだように苦味を薄められたものになっている。
 神戸在住は全10巻を通して、一見物語のスタイルに変化が無いように思えるが、震災ボランティア編前後くらいから、マイノリティが登場する話が増えている。おそらく意図的なものだ。主人公は自然体で接しているが、現実世界ではマイノリティへの偏見は少なくはない。

 物語の後半、尊敬する人の突然の死によって、それまでにない激しい感情のうねりが描かれる。友人を心配して気を使ってきた主人公が、今度は心配してくれる友人に対して心を閉ざし、よそよそしい態度を見せる。
 また、最終巻で書き下ろされたエピソードでは、「尊敬する人」の視点から安らかな最期が描かれる。安らかな死とその死への激しい悲しみ。
 これらの対比で作者が何を言おうとしたのかは分からないが、読む人によっては、人が人を理解しえないという当たり前の事実について改めて考えるかもしれない。

 この物語では全巻を通して、もう一人博士後期課程の学生が登場する。
 文系の男子学生が参加している震災ボランティアの拠点に、大学から資料の束が届く。
 「将来は大学の先生ですか?」と仲間の女子高生が尊敬の眼差しで問いかける。
 「そんな、いいもんとちゃいよるで」と学生は苦笑して答える。
 何気ないやりとりだ。
 最終巻では、「日本では研究者の立場が弱い」とも口にする。
 彼には婚約者がいる。
 “諸々の事情”で結婚のめどはたっていない。“諸々の事情”は分かる人には分かる。
 切実な問題に日常会話の中でサラリと触れている。

 単純にほのぼのとした物語ではない。
 誰にでも分かる直接的な表現が好まれる世の中だから、なおさら貴重に思える。
 作者の真意はともかく、自分なりの読み方を試し、自分のまわりの人たちの心について考えてみるのも悪くはないだろう。
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14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 深い満足感に包まれる最終巻, 2008/1/25
何度も発売が延期されもう読めないかと思っていた10巻が、ついに出版されました。
最終巻にふさわしく、今までの登場人物たちのほとんどが顔を出します。
(本編に出てこない人にも、カバーをはずせば会えます)。
そしてわずかに「わだかまり」の残っていたエピソードにもきれいに決着がつきます。見事です。

アフタヌーンKCは、以前『ヨコハマ買い出し紀行』の最終巻を、
いつでも買えるからと購入を後回しにしていたところ、
なぜか最終巻だけが品切れになってしまい、入手に苦労した覚えがあります。
時間のあるときにゆっくりじっくり読みたいと思っている方も、
これから『神戸在住』を読んでみようかなと思っている方も、
とにかく今すぐ迷わず10巻を買っておくことを強くおすすめします!
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