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世界は分けてもわからない (講談社現代新書)
 
 

世界は分けてもわからない (講談社現代新書) (新書)

福岡伸一 (著)
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内容紹介

60万部のベストセラー『生物と無生物のあいだ』続編が登場! 生命は、ミクロな「部品」の集合体なのか? 私たちが無意識に陥る思考の罠に切り込み、新たな科学の見方を示す。 美しい文章で、いま読書界がもっとも注目する福岡ハカセ、待望の新刊。


内容(「BOOK」データベースより)

顕微鏡をのぞいても生命の本質は見えてこない!?科学者たちはなぜ見誤るのか?世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカへ―「治すすべのない病」をたどる。

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5つ星のうち 5.0 「分けて」しか紹介できないが、全体を読んで欲しい良書, 2009/7/21
By hontaka (東京都府中市) - レビューをすべて見る
この書籍の白眉は第8章以降の細胞のがん化を巡る科学界の
一大スキャンダルの話題だと思いますが、この部分は結構
専門的であり、僕の説明能力では紹介が不可能。さらに
いえば、この本自体が「分けてもわからない」のタイトルのごとく、
各章が有機的に結びついているのだけれど、自分の理解の範疇に
ある部分を「分けて」紹介してみます。

先日「臓器移植法」が改正されいわゆる「A案」が採決されました。
脳死は人の死と規定しながらも、臓器移植には家族の同意が必要
(=脳死状態で生きていてほしいと家族が望めばそれは可能)と
いう点で「この案でいいじゃん。運用してからまずいとことは改
正すれば」と思っていました。しかし福岡氏は死という部分だけを
「分けて」考えることに疑義を挟んでいます。引用しますと―。

死んだと定義した身体から、まだ生きている細胞の塊を取り出したい。それと同じ動因が、ヒトの出発点近傍にも存立しうる。受精卵およびそれが細胞分裂してできる胚が、脳始以前の、まだ人でないものと定義しうるなら、それは単なる細胞の塊に過ぎない。

つまり「脳死を人の死」とするならば、論理的帰結として、
人が生まれる段階において、「脳」というものが形成される
=「脳始」の段階=までは、人の生は始まらないことになる
のでは、というのです。人の脳が出来上がるのは受精後二十四
週から二十七週なので、それ以前の分裂中の受精卵はただの
細胞として扱われ、それを摘出して医療に使おうが、
(これは福岡氏は書いていませんが)単に堕胎してしまおうが、
それは「人の生」を獲得していないモノに過ぎないのだから、
とがめられることはない、と。

もちろんこれは「論理的な帰結」であって、生と死を別の
ものと考えればいいだけの話ではありますが、「死」「臓器移植」と
いう部分だけを見ていては気がつけない視点でした。と、
このような逸話を時には専門的に、時には易しく説いてくれています。
これはまた何かの賞を取ってしましそうな良書です。
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47 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 上質のミステリの味わい, 2009/7/26
By 東の風 (埼玉県) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
 “部分と全体”“切断と連続”という、本書の重要なテーマになっている構図が、著者の話の持って行き方、話の構成の仕方にも生かされているところが見事。
 一例を挙げれば、第8章から展開される、ラッカーとスペクターによるATP(アデノシン三リン酸)分解酵素の精製実験の件りが、本書の前半で紹介された須賀敦子の「ザッテレの河岸で」の中の水路の名前とつながるところ。ジグソーパズルのピースが組み合わさり、はめ込まれて、ひとつの絵柄の完成を見たような思いにとらわれました。
 何かこう、上質の本格ミステリの謎解きを味わったような心地と言ってもいいでしょうか。エラリー・クイーンの『Xの悲劇』『Yの悲劇』『十日間の不思議』といった傑作にある、部分の謎が寄り集まり、するすると合わさり、それが解き明かされた時の面白さ。それに通じる妙味を感じたんですね。一見バラバラに見えた話の中の点と点が結ばれ、あたかも星座のような絵柄を最後に生み出す本書の仕掛けと構成に、わくわくしました。

 細胞を擬人化して表現したり、ジグソーパズルやトランプ・タワー(トランプカードで作る城)を引き合いに出しながら、生命のミクロのことを文学的に語っていく文章もいいですね。第1章「ランゲルハンス島、一八六九年二月」、第2章「ヴェネツィア、二〇〇二年六月」の件りは、特に素晴らしかった。詩的な美しさを持った文章のきらめき。<彼女の視線は私におそらく赤い光の粒子を投げかける>p.33 というところなど、思わず、ぞくぞくしてしまいました。
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41 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 カレーの中のニンジンは、カレーについてどれだけのことがわかるのだろうか, 2009/7/22
By 猫だるま - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
美文家、福岡博士の『生物と無生物のあいだ』の第二弾として読みました。

このレビューのタイトル、カレー云々は、味噌汁の具が味噌汁についてわかるのかよ、と読み替えてもよいでしょう。僕たちが、脳みその一部分でモノを考える以上、脳みそ全体やそれを含む体、いのち、宇宙などについては、ニンジン的切り口でしか、モノを考えることができません。ニンジンにはカレーの作り方は、わからないのです。
無理を承知で、考えてしまうのがニンジンなのですが、、、

本書の最大の見所は8章からはじまる、”細胞がなぜ、ガン化するのか”という難問を捏造データにより解いた、スペクターという青年のスキャンダルです。
一連のスキャンダルによって明らかにされたこの青年の病は、精神的なモノを感じました。
考古学で神の手と言われた藤村新一氏の捏造スキャンダルをニュースで見たときと、よく似た印象です。

自分でついた嘘に自分がだまされる様子もまた、人間ならではですよね。
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