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今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)
 
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今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書) (新書)

仲正 昌樹 (著)
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内容紹介

20世紀を代表する政治哲学者が、なぜいま再評価されるのか。 人間の本性や社会の公共性を探った彼女の難解な思考の軌跡を辿り直し、私たちがいま生きる社会を見つめ直す試み。


内容(「BOOK」データベースより)

「分かりやすさ」を疑う。アーレント的思考が、現代社会を救う!閉塞した時代だからこそ、全体主義を疑い、人間の本性・公共性を探る試み。

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27 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 舞台上でactionし、時に観客になること, 2009/5/23
By 倒錯委員長 (横浜市と夢半ば) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
これまで一貫してものごとの「分かりやすさ」、分かりやすく説明すること対して異を唱えてきた政治哲学者、仲正昌樹の新刊。今回のテーマはタイトルにある通り、ハンナ・アーレント。
著者が冒頭で明かす通り、アーレントはその受容のされ方において独特の位置にある。過剰にもてはやされもしないが、かといっていつまで経っても廃れない。右の知識人に人気があるようでいて、かといって左の知識人と敵対している、ともいえない。
仲正はその彼女の「独特の位置」どりこそ、彼女の「分かりにくい」思想を象徴的に表していると考える。

この本を読むと分かるのは、ユダヤ人を巡る陰謀論などが内容如何に関わらず、そのストーリーの「分かりやすさ」そのものにおいて、孤独な個人をまとめ上げる動員装置として機能したと、アーレントが考えたということ。彼女が分かりにくいのは、おそらく全体主義を批判した後に他の思想家ならばそうするのように、その代替案を提出しないからなのだろう。

新書である以上、アーレントの思想体系全般をカバーしていないと仲正は断っているが、アーレントが後期に完成させようとしていたはずの狭義の哲学領域の解釈など、なるほどと思わされるところ多数。

結論において分かりにくくあること。認識を、0でもなく1でもなく常に「保留」にしておくこと。それは、実は言ってみるほど簡単なことではない。
しかし、内容ではなく「声の大きさ」や「言っていることの明快さ」そのものが、ものの「解釈」を決めてしまうということが多々ある今の時代だからこそ、それは大切なことなのかもしれない。本当は複雑怪奇であるはずの事象が、単純明快な解釈に落とし込められることにこそ、(今の時代にそう簡単に全体主義化が起こるとは考えにくいが)全体主義の萌芽が隠されているのだから。

アーレントが夢想した古代ギリシャの「政治」とは、著者が明かす通り、経済的利害が入り組んだ現代にはもはや不可能に近い営みだ。しかし、本来あるべき「政治」と、人間性を獲得するための「活動」について、とりあえず僕らは思いを巡らすことができる。だから僕たちは、今こそアーレントを読むべきなのかもしれない。
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15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 世論が単調になってる―そんな危惧をお持ちの貴方へ, 2009/6/12
本書は、金沢大学教授で

現代思想に関する多数の著作や

アーレントと似たような難儀な性格でも知られる著者が、

死後30年以上経ても、根強い支持を受け続ける彼女の著作を

より深いレベルで読み解く意欲作です。


いわゆる思想史関連の著作のように

人物の生い立ち、重要な著作とその内容、今日的意義

―と、お決まりの形式ではなく

アーレントの思想のキーワードを選び

それに関する議論を紹介した上で

彼女の意図や狙いについて考察します。


「公/私」や「活動的生活/観念的生活」、共和主義―など、

原著で読むと、まどろっこしくわかりにくい議論が

スッキリまとまっており

それ自体、とても興味深いのですが

やはり、個人的に一番印象に残ったのは

アーレントについて

全体主義に通じる恐れのある「思考の均質化」だけは何とか防ぐ

というミニマルな目標を追求した政治哲学者

と評している箇所。


思想書や哲学書を読み解くということは

こういうことなんだとつくづく実感しました。


わかりやすさ、画一性に抵抗し続けたアレーントの思想と、

それに対する著者の「読み」を簡潔で平易な文章で紹介する本作。


アレントについて関心を持っている方はもちろん

思想史等に興味のある方であれば、

きっと学ぶところが多い著作であると思います☆
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18 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「わかりやすさ」を疑う, 2009/5/21
筆者の著作をそれなりに追っている人ならわかるように、筆者はアーレントには造詣が深く、面目躍如的な一冊といえる。内容は、筆者が批判するような「こっちが正しい!」といったわかりやすいものではないが、文章自体は明晰である。社会が閉塞し、救いを求めわかりやすい物語が求められる今こそ、思考停止に陥らずバランスをとるためにアーレントを援用する筆者は慧眼といえるかもしれない。
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