イライが持ち込んだ贋作は、国立大学教授が「素晴らしい」と意見書を書き、東京・銀座を中心とする一流画廊が企業やオーナー経営者に斡旋し、著名な美術評論家が「値打ちもの」と評価する構造で日本の隅々に浸透した。舶来崇拝、のれんや権威に弱い日本人の欠点が露呈した格好だ。イライは贋作をつかまされたことを恥と考える日本独特の「恥の文化」も理解し、より大胆な贋作商法を繰り広げていった。
減損会計制度の導入によって、企業は美術品などの動産類も時価換算する必要が生じている。美術品が贋作と判定されれば、億単位の絵画や骨董も価値ゼロとなる。本書は「銀座の怪人」イライが仕掛けた贋作バブルによる「もう一つの不良債権」が、回復しつつある日本経済を直撃しかねないことを指摘している。
(日経ビジネス 2006/08/07 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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