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ミノタウロス
 
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ミノタウロス (単行本)

by 佐藤 亜紀 (著)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

革命。破壊。文学。
「圧倒的筆力、などというありきたりな賛辞は当たらない。これを現代の日本人が著したという事実が、すでに事件だ」福井晴敏氏
20世紀初頭、ロシア。人にも獣にもなりきれないミノタウロスの子らが、凍える時代を疾走する。文学のルネッサンスを告げる著者渾身の大河小説。


内容(「BOOK」データベースより)

二十世紀初頭、ロシア。人にも獣にもなりきれないミノタウロスの子らが、凍える時代を疾走する。―文学のルネッサンスを告げる著者渾身の大河小説。

Product Details

  • 単行本: 277 pages
  • Publisher: 講談社 (2007/5/11)
  • ISBN-10: 4062140586
  • ISBN-13: 978-4062140584
  • Release Date: 2007/5/11
  • Product Dimensions: 7.5 x 5.4 x 1 inches
  • Average Customer Review: 3.8 out of 5 stars  See all reviews (16 customer reviews)
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15 of 21 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 前半の語りのすごさ, 2008/2/10
By  (東京都杉並区) - See all my reviews
物語は、社会や周囲の人間を軽蔑しきったヴァシリの視点から一人称でシニカルに語られていきます。
そして、当然ヴァシリは、自分の行動を正当化しようとします。
しかし、その一方で、作者は主人公のナイーブさを一人称の語りのなかにそっと忍びこませています。
たとえば、恋人テチヤーナに対する描写の箇所。

だからテチヤーナは、十八で、はちきれんばかりに健康で、(中略)信じられないくらい無邪気だった。抱きしめると一抱えもあって、裏返すと広い背中が馬の毛並みのように輝いて、肌は柔らかいというより針で突いたらはじけそうで、こんがり焦げた焼き菓子のような匂いがした。

ここなんていわゆる19世紀ヨーロッパの大衆小説の典型的な修辞で、恥ずかしくなるような紋切り型の連続です。かつて『皆殺しブックレビュー』で、作者がデビッド・ロッジの評論を紹介していましたが、底意地の悪さはまさにロッジ的です。
ある女性評論家が、この主人公と作者は似ていると言っていましたが、それは間違っているような気がします。
作者のほうが主人公より二枚も三枚も上手です(というより、物語と登場人物の操り具合がすさまじい)。

その後、ヴァシリのヘタレっぷりは、どんどん顕在化していきますが、前半部分の最後で、ついに信頼していたシチェルパートフという資本家に7ページに渡って罵倒されまくることで、彼のダメさ加減は、読者の前にすべてさらけだされます。

と、このように、シニカルでニヒリストであるはずのヴァシリのヘタレさが徐々に明らかになっていくというかなり難易度の高いベクトルが、前半部分の修辞と行間には巧妙に織り込まれています。しかも一人称視点であるにもかかわらず…。これだけとってみても「ミノタウロス」は傑作だと思います。
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12 of 18 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 文体が見事な、悪党2人の物語です, 2007/9/17
ロシア革命前後のウクライナを舞台に、地元社会の崩壊をきっかけに「(あらゆる意味で)やっちまえ!」と突っ走っていく地主の息子とオーストリア軍の脱走兵の物語です。

標題の「ミノタウロス」が示すものは日本人にはイメージしにくいのですが(ギリシャ神話ではあっさり死んでる感じだし)、暴虐と殺戮など、あらゆるダークサイドのイメージをはらむキャラクターです。主人公のうち地主の息子は、流行りの幼児期トラウマなどはどこ吹く風。ナチュラル・ボーンで堅気じゃないし、相方となる兵士もまともそうで壊れています。この2人が地元のギャング集団や軍隊の間をすり抜けながら生きていくさまは壮絶そのもの。とはいっても文体自身は格調高く、下品なところは皆無です。新潮社クレスト・ブックスにそっと入れられていても気づかないほどの良質の文体だと感じました。結末は救いのかけらも何もないのですが、なぜかほっとさせるような切れのよい結末です。

主人公と相方のキャラクター造形もさるものですが、前半で異彩を放つのが主人公の兄。もともと影が薄い存在なのですが、傷痍軍人として故郷に帰ってきた後の存在感の不気味さが重たくのしかかってきます。

小悪党ものでも大悪党ものでもないけれど、疾走感あふれるダークな物語をこんなにキレイに読めたというのは驚きでしたのでこの評価としたいと思います。
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10 of 15 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars この水準の作品が日本語で読めることの幸せ, 2007/10/1
By アジアの息吹 - See all my reviews
(TOP 100 REVIEWER)   
筆者は本当にこの第一次世界大戦前後の時代が好きなのだろう。
しかも本書の舞台ははまだメジャーなウィーンを遠く離れ、
ヨーロッパの辺境の地、ウクライナである。

理解するに困難な時代設定など、背景の説明さえ
一切捨て去ることで文体の格調を維持し
安易な歴史モノにありがちな凡庸さを回避している。

よって気軽に手に取れるエンターテイメント作品ではないが、
紛い物の歴史に飽き飽きした読者にとって
この水準の作品が日本語で読めることは幸せである。
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1.0 out of 5 stars 面白くなかった
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