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ブラフマンの埋葬
 
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ブラフマンの埋葬 (単行本)

小川 洋子 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

祝!本屋大賞『博士の愛した数式』で本屋大賞、読売文学賞をW受賞

「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
あたたかくて、せつなくて、いとおしい。極上の文学世界をご堪能ください。

朝日はまだ弱々しく、オリーブ林の向こうの空には沈みきらない月が残っているような時刻で、僕以外に目を覚ました者は誰もいなかった。ブラフマンは裏庭のゴミバケツの脇に潜み、脚を縮め、勝手口の扉に鼻先をこすりつけていた。――(本文より)





内容(「BOOK」データベースより)

夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。あたたかくて、せつなくて、いとおしい。こころの奥に届く忘れられない物語。

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5つ星のうち 4.0 愛らしいブラフマン, 2004/10/27
 夏のはじめのある日〈創作者の家〉の裏庭に傷ついた小さな動物が助けを求めるように身を縮めていた。芸術家たちの集まる〈創作者の家〉の管理人を勤める主人公「僕」と「ブラフマン」と名付けられた動物の優しく、温かく、そして切ない物語。

 ブラフマンはどんな種類の動物なのか、作中では明らかにされていない。ただ、精彩に活き活きと描かれたブラフマンの行動や習性から私は自分が好きな動物だと勝手に思いこんで読んでいた。
 
 タイトルから想像すれば、やはり悲しい場面があるのだと覚悟はしていた。それは以前、飼っていたペットが老齢で日に日に弱っていく姿を見て“寿命だから仕方がないんだ…”“今日はすごく元気だね。明日も明後日もまだまだ大丈夫だよね?”と祈るような気持ちで毎日を送っていたような覚悟だった。
 そんな風にページ捲り、いつの間にか「僕」と「ブラフマン」の物語が「僕とブラフマンと私」の物語になっていた。

 ブラフマンの愛くるしさと〈創作者の家〉を中心としたオリーブ林、泉などの透明感ある風景がとても印象に残る作品。

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25 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 謎は謎のままに, 2004/5/2
やっぱり気になった。最後までブラフマンって何なんだろう?って。
初めは犬かな、いやリスかもしれない。犬やリスは潜水は得意ではないはず。
ならば水棲動物。ビーバーかな。ビーバーの生態なんてよく知らないし。
と、堂堂巡りをしながら、登場人物のなかで誰一人「それは何?」などと
質問したりしないことにやっと気が付いた。

 著者は意図的にブラフマンの正体を隠しているのです。
ブラフマンと命名する時の僕と碑文彫刻師の会話の中に答えは出ている。
謎は謎のままでいいではないか。
この作品は時間も場所も霞がかかったようにぼんやりしている。
自動車もファクスもあって現代のようで何故かレトロな雰囲気が色濃い。

場所も国内のようでいて石棺がごろごろ並んでいる景色はどうも日本とは
思えない。登場人物にも謎が多い。主人公の僕からして年齢不詳、前歴
不詳。

 この時空を超え場所を越えたところに、この物語のきらきらと輝く幻想的で
柔らかなそしてはかなげな静謐と哀しみが成立しているのです。

タイトルで予告されているとおりあっけなくブラフマンは死んでしまう。
その埋葬に立ち会う人物の選定が絶妙です。僕、碑文彫刻師、レース編み
作家そしてホルン奏者。石棺に納まりレースを纏いホルンの音に送られる。
まるで中世ヨーロッパの貴族の葬列のような荘厳で様式美をたたえた雰囲気
ではありませんか。

 世評高く感動的でアイデアの勝利でもあった前作『博士の愛した数式』と
本作を比較することはほとんど意味のないことです。
個人的嗜好からいえば『博士・・・』より本作に一票を投じたい。
 読者ひとりひとりが自分のブラフマンを心に育てていけばいいのです。
再読に耐えるいや何度でも新しい感動を得られる傑作です。絶賛します。

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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 一見地味ですが, 2005/6/28
~ こちら(俗世間)とあちら(人間の力の及ばない世界)の中間点に『創作者の家』があり、『僕』そして『碑文彫刻師』がいます。雑貨屋の『娘』は完全にこちら側の人間で、土曜日に恋人が街からやってくるのを心待ちにし、街へ繰り出すための車の免許取得に余念がありません。そんな場所へ、あちら側から『ブラフマン』が不意にやってきます。『僕』は『ブラ~~フマン』を可愛がりつつ、『娘』のことも気になったり。
 こちら=あちらの他に、深さ、というベクトルもあります。それは墓碑や石棺であったり、庭の泉であったりします。それらの描写には多くが費やされています。
 こちら側の人間があちら側の深みにはまっていく、という作品が小川洋子作品には多いのですが(『薬指の標本』など)、この『ブラフマン~~の埋葬』では趣向を変えて、あちら側を眺めつつもこちら側に踏みとどまり、深みを静かに想う、ということをしています。
 そういった微妙な位置取りを、あたかも自然に起きたかのように淡々と綴っていく本書は、一見地味ですが、実は非常によく計算された美しいフィクションだな、と感心しました。~
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