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無意識の脳 自己意識の脳
 
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無意識の脳 自己意識の脳 (単行本)

アントニオ・R・ダマシオ (著), 田中 三彦 (著)
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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   近年、生命科学の分野は発展がめざましい。そのなかでも、脳、心、意識というのは生命科学における最後の、そして最大の謎であり、同時にたいへん魅力的な研究対象と言えるだろう。

   本書は、世界中でベストセラーとなった『生存する脳』(原題:『Descartes' Error』)の第2弾。著者のダマシオ・アントニオはアメリカでも指折りの脳神経学者である。本書のテーマは「われわれはどのようにして意識の光へと足を踏み入れるのか」である。「光の中に足を踏み入れる」というのは、意識や認識する心の誕生に対する、あるいは心の世界に「自己感(sense of self)」がもたらされるという単純だが重要な出来事に対する、説得力のあるメタファーであると著者は記している。学習・記憶障害などを持った患者たちの、健常者には考えられないような不思議な行動や発言の観察から著者が最終的に導き出したのが、意識とは「認識の感情である」という考え方だ。

   著者は、本書で述べるアイディアが自己という問題を生物学的視点から明らかにするうえで役に立てば、と謙虚な姿勢を見せている。しかし、脳だけでなく身体を考慮に入れて「心」の問題に取り組んでいる著者の功績は評価されるべきであろう。そして、このオリジナリティーあふれる著者の研究の成果を目にすることで、脳神経科学、認知神経科学の面白さを実感すること請け合いである。(冴木なお)



出版社/著者からの内容紹介

世界的ベストセラー!!現代脳科学の常識をくつがえす「脳-身体論」!!
新展開した「ソマティック・マーカー仮説」!!

「感情はどのように認識されるか」
「意識という主観的現象を厳密で客観的に科学する」

本書のメイン・テーマは「意識」である。一見、前著とは趣を異にする問題に取り組んでいるかのようだが、けっしてそういうことではない。本書のはじめで著者みずから書いているように、著者が長年取り組んできた情動と感情の研究は、じつは「感情はどのように認識されるのか」という根本的な問題を著者につきつけていたのだ。
付け加えておくと、著者はこの本に、意識の研究に関して重要なメッセージを託していると思われる。それは、意識というまさに「主観的な」現象が、「厳密で客観的な科学」の研究の対象となりうるというメッセージである。おそらく本書全体がその一つの試みであるということを、頭の片隅に置きながら読んでいただくとよいかと思う――「訳者まえがき」より

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36 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 残念です, 2006/12/23
内容については、前書「生存する脳」に続き脳に障害を持つ患者さんたちを理解するのにとても参考になりました。
ですが、残念なことに本書では原著には載っている参考文献が全て割愛されています。前書では一部翻訳のし忘れがみられたものの参考文献がちゃんと載せられていたので、より深めたい内容について文献をあたったり引用された研究者名の綴りからPubmedで検索したりすることができましたが、本書ではそれがかないません。関連分野の専門の方などは原著をあたられた方が良いかもしれません。
出版社の意図なのか翻訳者の考えなのかわかりませんが、「良質な科学書」が日本語になったとたんに「科学っぽい読み物」になってしまったようで、がっかりしました。このようなものが世に出たせいで、同じ原著についてはもう他社から翻訳書が出ないと思うと本当に残念です。科学に対して認識の浅い出版社は科学書の翻訳に手を出さないでほしいと思うほどです。
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21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 意識が生まれるまでの3段階, 2005/8/16
By 漆原次郎 (千葉県市川市) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
 私たちが「意識する」という状態になるには、ある原初的な状態から始まって、意識に達するまでの一連のプロセスがあるという。その仮説をこの本では紹介している。

 そのプロセスをごくおおまかにいうとこんな感じ。
 有機体(つまり人間とかの生き物)は、「原自己」という非意識的で安定した状態を保っている。そこに、カラスの飛ぶ映像とかセミの鳴く音とかの「対象」が現れると、有機体とその対象との間には「二次のマップ」という神経パターンがつくられる。ここで最初の原自己は変化し、「中核意識(その場その瞬間での意識)」へとステップアップする。さらに、その中核意識の状態がしばらく続くなどして強調されると、今度は「昔あんなことがあったよな」という「自伝的自己」の記憶が取り出され、高度な「延長意識(過去や未来のことにも対応した意識)」へとステップアップする。この延長意識こそが、言語や創造性や良心といったインテリジェントな部分をつくる。つまり、「原自己」→「中核意識」→「延長意識」といった流れだ。

 脳の一連のプロセス自体がとても複雑で、話全体が難しい。それに、話のおさらいがあまりないことや、具体例が脳患者の症例に限定されることなども難しさを助長する(ただし、相貌失認や監禁症候群などの症例は非常に興味深い)。
 前作『生存する脳』(これも難しかった)を読んでいないと付いていけないか? 「前作を読んでおくにこしたことはない」といった感じ。意識とは、感情とはといった話を脳と絡めて探求しているような科学好きの方ならば、いきなりこの本から読んでもなんとかなると思います。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 意識(自己の構築)における情動と感情の役割, 2006/1/22
著者の前著「生存する脳」で明らかにされた脳と身体の関係をベースにし、かつ前著で明らかにしきれなかった意識について解明しています。

意識を無意識・中核意識・延長意識の3要素に分割し、かつこれらの上下関係・相互作用のあり方を明確にし、これらを担う脳と身体の箇所を特定しています。

無意識は、脳幹核・視床下部・前脳基底部・体性感覚皮質の一部である島・S1・S2の相互作用として、
中核意識は、無意識を担う領域と、帯状回・視床・上丘の相互作用として、
延長意識は、無意識・中核意識を担う領域と、大脳皮質の相互作用として、生まれるとしています。

そして、これらの相互作用がニューラル・パターン、血液、化学物質の変化といった複数のルートを介して、相互作用が図られているとして、ホムンクルス誤謬を回避しています。

また、意識は進化適応の産物であるとして、無意識⇒中核意識⇒延長意識の順に、下位レベルの機能を効率的に活用できるように生まれてきたとしています。人間が持つ延長意識は、感情を感じることによって遺伝子による生得的な反応を超えて、環境に適応できるように進化したのだとしています。


更に、この構造のもとで、延長意識を中心に理論を展開しているダニエル・デネット「多重草稿理論」などの理論との整合が図られています。


そのうえで、心のメカニズムは脳科学によって解明できるとして、本書を契機にして更なる科学的な究明を促しています。本書では検証可能な形で理論構築をしていますので、研究によって本書の内容が更に裏付けられるか、修正を受けるか、といったまっとうな進められかたがなされるでしょう。このあたりが、自然科学の強みといえるでしょう。

一方で、どれだけ脳科学が発展したとしても、個人の主観的な心の状態は決して解明できないとしています。基本的なメカニズムとそれによって生み出される個々人の心を明確に分けています。

これらの解説によって、従来の心と脳に関する唯物論と二元論の対立は、このあたりの適切な区分なしに不毛な論争をしあっているのだと警鐘を鳴らしています。


前著「生存する脳」の延長線上の理論であること、前著と比べて脳科学の専門用語を多様していることから、本書を読むには前著を事前に読んでおくことをお勧めします。


なお、本書では参考文献は掲載されていません。著者は科学者ですので参考文献を割愛することは考えにくいです。したがって、邦訳段階で削除されたのだと思います。前著では参考文献を邦訳せず、本書では参考文献そのものを削除しています。この編集・出版姿勢は許容できるものではありません。出版社・訳者には猛省して頂きたいと思います。ただ、このような欠陥を相殺して余りある内容の良さですので、評価は下げていません。
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