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「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」。都内の私立高校に通う在日コリアンである主人公「僕」は、ダンスパーティーでコケティッシュな魅力をもつ「在日ジャパニーズ」の女の子に出会い恋に落ち、そして…。
在日コリアンたちを取り巻く複雑な状況が織り交ぜられているものの、「僕の物語」すなわち本作の根幹は、たわいもない恋愛物語だと判断することもできる。しかし、この物語が、根強く残る差別に対する抵抗の物語でもイデオロギーによって引き裂かれた民族の悲劇の物語でもないところに、著者と著者が代表する「在日」の新たな世代の志向を伺うことができよう。国籍を「在日朝鮮人」から「在日韓国人」に変え、やがて「在日」あるいは「国籍」という枠の外にある広い世界を志向する主人公の思いは、父親がスペイン語でつぶやくこの言葉に象徴されている。「僕は、韓国人でもない、日本人でもない、ただの根無し草だ」。
恋のてんまつはいささか安易すぎる感もあるが、主人公をはじめ、元プロボクサーである父親、主人公と同じくアイデンティティーの揺らぎに悩む朝鮮民族学校時代の同級生たちなど、どの登場人物も、人物造形が確かで生き生きと描き出されている。本作で直木賞受賞作家となった著者は、自らを「在日韓国人」ではなく「コリアン・ジャパニーズ」と称しているが、呼称はどうあれ、「日本の内の他者」として培われたその鋭い視点が彼の創作活動にとって大きな武器となっていることは間違いなさそうだ。(梅村千恵)
--This text refers to an out of print or unavailable edition of this title.
出版社/著者からの内容紹介
僕はアッケなく恋に落ちた彼女はムチャクチャ可愛らしい日本人だった
Non-Stop、既視感Zero、新時代の扉をケリとばす革命的《在日》ポップ・ノベルの大傑作、『GO』!!
「ねえ、ここを出ない?狭くて、窮屈で、うるさくて、退屈だと思わない、ここ」
“GO”──A BOY AND A GIRL IN THE PEACEFUL REVOLUTION.
サビついた神話は過去のもの。瑞々しいエッジで「いま」を切り開く新鋭、爽快にデビュー!