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「世間」とは何か (講談社現代新書)
 
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「世間」とは何か (講談社現代新書) (新書)

阿部 謹也 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

古来から、日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組。兼好、西鶴、漱石らが描こうとしたその本質とは。西洋の「社会」と「個人」を追究してきた歴史家の視点から問い直す。


著者紹介

1935年生まれ。一橋大学経済学部卒業、同大学院社会研究科修了。現在、一橋大学学長。専攻はドイツ中世史。著書に『ハーメルンの笛吹き男』――平凡社、後にちくま文庫所収、『中世を旅する人びと』―平凡社、『西洋中世の愛と人格』―朝日新聞社、『ヨーロッパ中世の宇宙観』―講談社学術文庫―など。


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5つ星のうち 5.0 世間を騒がせたことをお詫びしたい、という言葉は翻訳不能, 2006/10/21
By 丁三 (千葉県) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
つい先月、著者の阿部氏の訃報を聞き、
あらためて手にとってみた。

著者の阿部氏はドイツ中世史の専門家で、
出世作の「ハーメルンの笛吹き男」では、グリム童話を手がかりに
中世を生きた民衆の社会的環境、とくに職業や身分による階層社会、
差別の問題を浮き彫りにした。

本書はその日本史版といってもよいだろう。
万葉集、徒然草、歎異抄、西鶴、漱石と各時代の物語を紐解きつつ、
日本人にとって「世間」がどのような存在であったかを考えていく。

日本における「世間」の特異性は例えば、

・世間を騒がせたことをお詫びしたい、という言葉は
 英語やドイツ語に翻訳することができない。

・宝くじにあたると日本では世間をはばかって隠したりするが、
 アメリカでは新聞に堂々と顔写真がでる。

などに現れているという。

世間は顔見知りの人と人との具体的なつながりであり、
世間体は個人の自由や利害に優先する。

そして万葉の昔から今にいたるまで、
世間は暗黙のうちに日本人の行動を規定している。

このことはすなわち、日本に「個人」が長く存在しなかったこと、
そしていまだに日本には「個人」が存在しないことを意味している。

この本のいちばん凄いところは、
この事実=日本には個人が存在しないことを発見した点であろう。

なにしろ、あたっている文献の量が半端ではない。
阿部氏にとって日本史は専門外ながら、
本物の学者が本気で取り組んだテーマであることがわかる。

文献考察が主で、論旨展開に特別な起伏もなく、
読み方によっては退屈かもしれないが、
内容はけっして凡百の日本文化論ではない。

例えば忠臣蔵の精神は四書五経の中には見つからなかったが、
阿部氏が指摘した「世間」の中にはそれがありそうだ。
「世間」は日本人の伝統的精神構造を読み解くための、
ひとつの大きな鍵なのである。

誰にでも薦められる本ではないが、名著であることは間違いない。
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 世間とは, 2006/9/10
By きんぐ研究会 - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 世間というものに対して社会史的にアプローチした名著。社会科学や従来の西洋知識人の輸入に
依拠ぜず日本の特質を明らかにしている。
 日本に於いてはネットですら世間的なものが幅をきかせている所から見ても著者の考察は重要である。
 特に著者の他の著作もあたれば大学という所がもっとも世間的な所であることに思い至るはずだ。
 世間という語の語源から日本の様々な著作を通じて世間というものを浮き彫りにしている。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 世間の謎, 2007/4/11
 多くの実例を元に日本に残る「世間」というものを解きあかした名著。
 ある意味それは空気といってもいいかもしれない。
 いまだに日本人の間に残っている「空気を読め」という言葉などもそうだ。
 少なくとも日本人にはシロクロをはっきりつけるという意識は学者でもいまだに存在しない。
 罪をおかしていなくても疑われた場合世間を騒がせて申訳ないと謝罪しなければならない。
 特に後半の漱石を中心に分析した項は日本人がいまだに近代を迎えていないと痛感させられる。
 日本の自称近代人や自称西洋学者たちが見てみぬ振りをしようとしたものをまざまざと見せ付けてくれる。
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