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おそろし 三島屋変調百物語事始
 
 

おそろし 三島屋変調百物語事始 (単行本)

宮部 みゆき (著)
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商品の説明

内容紹介

ある事件を境に心を閉ざした17歳のおちかは、神田三島町の叔父夫婦に預けられた。おちかを案じた叔父は、人々から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。不思議な話は心を溶かし、やがて事件も明らかになっていく。


内容(「BOOK」データベースより)

17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。そんなある日、叔父・伊兵衛はおちかを呼ぶと、これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。いつしか次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて…哀切にして不可思議。宮部みゆきの「百物語」、ここに始まる。

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5つ星のうち 5.0 「お! これは、読ませるじゃないか」と、いつしか夢中で読みふけっていた, 2008/8/10
By 東の風 (埼玉県) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
 江戸の神田三島町の一角に店を構える袋物屋の三島屋。訳あって、その店の主人である叔父夫婦のもとに預けられ、働くことになった十七歳のちかが、店の「黒白の間」で、そこを訪れる人たちの不思議で怪しい話を聞いてゆく。不思議で怪しい、切なさと怖さ、恨みと憎しみ、割り切れぬ思いなどが絡まり合ってゆく。曰く、変調百物語。その聞き手となった主人公のちかが、語り手となる人たちから百物語の話を聞いていくことで、語り手とそこに関わる人たちの呪いを浄化し、それとともに、自らが負った災厄の根っこを見つめ、逃げずに相対してゆくようになるのですね。

 著者の『あかんべえ』と好一対の、健気な少女と幽霊あるいは幽鬼たちが心を触れ合わせ、それぞれに浄化、変容、再生していく物語。第一話「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の話から、「お! これは、読ませるじゃないか」と、話の中に引っ張り込まれ、「凶宅」「邪恋」「魔鏡」と読み進めていくうちに、いつしか夢中で読みふけっていました。とりわけ、「魔鏡」「家鳴り(いえなり)」と続く終盤、物語の第四コーナーの一瀉千里、怒涛の勢いは圧巻。「魔鏡」に出てくる美しい登場人物は、殊に印象強烈。怖かったなあ。上村松園の『焔(ほのお)』という絵に描かれた女性がゆくりなくも思い出されまして、ぞおっとしました。

 愛する心と憎む心、気遣う心と悪意の心、そうした人の思いというのは表裏一体、紙一重のところにあるのだなあと、本書をひもといていくうちに、しみじみ感じ入ってしまいましたねぇ。登場人物の伊兵衛の言う、<何が白で何が黒かということは、実はとても曖昧なのだよ>との言葉が、ことのほか印象深く、忘れられません。
 
 蛇足ながら、「最終話 家鳴り」の中、ある人物が言う「姉さんが来た、姉さんが来た」という台詞のことで。ここはおそらく、著者の敬愛する岡本綺堂『半七捕物帳』の記念すべき第一話「お文(ふみ)の魂」を念頭に置いています。本書をはじめ、宮部さんの江戸時代ものの小説の雰囲気、なかでも怪しの雰囲気には、岡本綺堂の『半七捕物帳』『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)』などの作品に非常に通じるものがあります。未読の方は、そちらもぜひ、お読みになることをおすすめいたします。
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 ちょっとがっかり, 2008/12/3
もっとしみじみとした小説だと思って読んだが、そうではなかった。
「霊験お初」や「あかんべえ」のように最後に魔物と対決するという小説だった。
ほかの人に指摘されているように最終話は強引さを感じるし、子供だましとも言える。読んでいるときはそれなりにおもしろかったが、宮部みゆきの小説としてはあまり良いできではない。人に推薦はできないなあ。
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43 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 宮部みゆきの効能と弊害, 2008/8/4
著者、待望の新刊です。
宮部みゆきさんの作品は全部好きですが、やはり(『火車』を別格として)江戸のお店モノが一番好
き。メインの物語のつなぎに紹介される、商売のあれこれが好き。「切り回す」とか、「こまこまと」とか、
「きりきりと」とか、ああ自分も明日頑張って仕事しようとか思えますよね。

不幸な事件に巻き込まれて心を閉ざしてしまった主人公が、自身の心の傷故に、同じような痛みを
抱えた人を引き寄せ、打ち明け話を聴くうちに、語る者の心も聴く者の心も、とらわれていた想いから
解き放たれていきます。そんな「変調百物語」。

実際の生活に囚われている私たちは、実際のところは、稀な例外を除き、解き放たれることはなかろ
うと思うのですね。自分に迷惑をかけずに死んでくれと世話になった人を憎む心も、許されぬ恋である
とわかっていても惹きつけられてしまう心も、そして、自分が気に病んでいることさえ丸く収まれば、それ
で大団円なのであって、付随して自分が苦しめている人や忘れている人がいることは、きれいさっぱり
なかったことになってしまう心も、リアルに私たちの日常にあるものだし、そして現実の日常では、そうし
た心は解き放たれることはない。
でも、いっとき、宮部みゆきの小説を読んでいる時だけでも、小説の登場人物の心が解れることに
随伴して、私たちの現実の心も解れることがあるのかも、と思うことができます(甘いんだけど)。
そう思うだけで、実際は解れないんだけれど(私の心に巣食う憎しみも決して減らないのよ〜♪)、で
も、そう思えるだけで、少なくとも明日もまた朝起きようと思えます。
本当にありがたい、これは宮部みゆきの大効用。

でも、宮部みゆきの小説を読んでからしばらくは、きっとみんな言葉にも行動にも表さない、それぞれ
のいろんな心を抱えているのだなあ、とか思っちゃって、同僚氏のあれこれや、お隣のデスクのお嬢さん
や、上司のなんだかんだに、いつものように普通に対応できなくて、なにかと固まってしまい、業務の
進捗に被害甚大。
たいへんに困ったことで、日常生活を円滑に送るためには、「偏見」という認知の節約が有効なことと
同様に、あんまり「きっとみなさん、いろいろな想いを抱えて、それでも会社に来てらっしゃる」みたいな
ことはあんまり考えないのが吉かと。
これが宮部みゆきの弊害。

ほんまに、いいものを読ませてもらいました。
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