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桃
 
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桃 (単行本)

姫野 カオルコ (著)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

傑作恋愛小説『ツ、イ、ラ、ク』の登場人物達が綴る6つのせつない物語。
桃は探偵のように、私の場所にひそんで、むかしを窃視する。彼とひとつになりたかった、そのむかしを。

内容(「BOOK」データベースより)

許されぬ恋。背徳の純粋。誰もが目を背け、嫉妬し、傷ついた―。胸に潜む遠い日の痛み。苦みに癒される6つの物語。

登録情報

  • 単行本: 333ページ
  • 出版社: 角川書店 (2005/4/1)
  • ISBN-10: 4048736027
  • ISBN-13: 978-4048736022
  • 発売日: 2005/4/1
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
  • Amazon.co.jp ランキング: 本 - 207,204位 (本のベストセラーを見る)

    カテゴリーランキング:

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5つ星のうち 5.0 潔く、前を向きたくなる本, 2006/11/29
先日読んだ『ツ、イ、ラ、ク』と対になっている短編集。


「あの事件」が、様々な視点で、時間経過で、距離感で
描かれています。


「対になっているとはいえ、独立した作品。
『ツ、イ、ラ、ク』未読の人を対象として書いた。」

と、あとがきで作者は語っているけれど、
私は絶対「ツ、イ、ラ、ク」ありきだと思う!


今回『桃』を読んでみて、「ツ、イ、ラ、ク」の
知られざるサイドストーリーが見えてきて、
もう一度「ツ、イ、ラ、ク」を読んでみたくなりました。


 作者は当然、とっくにティーンエイジャーは過ぎているんだけど、
なんて描写が緻密でリアルなんだろう〜!
うんうん、そうだったよなぁ〜。って懐かしかった。

早熟な隼子への女子の反応、男子の反応の違いの描写、
すごーく面白かったし、リアルだった。
特に女子ね〜。隼子への嫉妬や嫌悪が蓄積し、
隼子がスケープゴートの如く扱われていくさま・・・
怖かったけど、わかる!


 最終章の「桃」が私はいちばんすき。
32歳になった隼子が、14歳の頃を回想するの。

「桃の味と香りは、むかしを思い出させる。
桃を食べると、むかしが追いかけてくる。」
と言いながら、こわごわ過去を思い出して。


ああ、あの時、こういう気持ちだったんだ…
「ツ、イ、ラ、ク」ではわからなかったよ・・・
そうだったんだね…

すごく切なくて。


「ツ、イ、ラ、ク」の中では、34歳で再会する隼子と河本。
あと2年!
もうすぐ、また会えるんだよ。がんばれっ!
って、心の中で隼子を応援してる自分がいました。



とっても潔く、前を向きたくなる本でした。

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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「桃」によって「ツ、イ、ラ、ク」はより重層的な物語になる, 2005/7/8
 “大半の女たちは、過去をどんどん削除してゆく”と姫野カオルコは書く。だとしたら、姫野カオルコは特殊な女である。こんなにも鮮明に少女時代の記憶を呼び覚ますことが出来るのだから。“あのころゆえの、倣岸なる楽観ではなく、後年ゆえの客観”。誰しもが忘れ去ってしまっているのに、実はもっとも人生の中で大事で豊かで切実だった少女の時間を作者はリアルに書き付ける。さらに姫野カオルコは“少年の心”さえもお見通しだ。“少年にとって、だれか特定の異性に思いを寄せているという事実は、一世一代の「恥」”。これを書かれては敵わない。さらなる追い討ち。“十四の女と二十歳の男の、精神年齢は同級生”。もうお手上げである。
 
 作者もあとがきで触れているが、この短編集「桃」は、「ツ、イ、ラ、ク」と対をなしている。あの物語からあの時様々な距離にいた人々が、「ツ、イ、ラ、ク」の物語の断片を、様々な形で語っている。そこには「ツ、イ、ラ、ク」では知りえなかった事実があるし、それぞれの立場からの異なった見方がある。「桃」によって、「ツ、イ、ラ、ク」はより重層的、複眼的、普遍的な物語になっている。作者は「桃」と「ツ、イ、ラ、ク」は対ではあるが別モノであり、独立して読んでほしいと記しているが、やはり「ツ、イ、ラ、ク」を先に読むべきだと僕は思う。

 「桃」では、“幼さ、若さ”あるいは“田舎の共同体社会”といった時間・空間の不自由さから引っ張り上げてくれるものとしての「恋愛」ってのが、よりクリアに描かれている。「ツ、イ、ラ、ク」にあった物語性がスッポリ抜けている分、作者のメッセージが表に出過ぎてしまっているきらいもあるが。冒頭の「卒業写真」で、また姫野カオルコに泣かされてしまった僕ではあるのだけれど...

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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「ツ、イ、ラ、ク」を読んだ人はぜひ本書も, 2005/8/19
By yukkiebeer - レビューをすべて見る
(TOP 10 REVIEWER)   
 直木賞候補作となった「ツ、イ、ラ、ク」の登場人物たちの外伝というべき短編集です。あの桐野が、京美が、雪之丞が、そして準子が、あの街で何を考え、あの「事件」をどう見ていたのか、6つの短編で描きます。

 とはいえ、あの事件は遥か十年、二十年も前のこと。当時ですら、必ずしも登場人物全員がすべてを事細かに見知っていたわけではありません。うろ覚えであったり、思い込みであったり、事件は見つめる人々の数だけあったともいえます。
 
 そしてあの事件はそれぞれにとって、とても大きな意味があったり、もしくは何かそんなこともあったっけかなぁというほど些細なものであったりします。

 「人間はひとりひとりその人にしかない個性で時間のなかを生きている。」

 このあとがきの言葉を最も強く感じさせるのが「青痣(しみ)」という一編です。持て余して仕方ないほどの自我をもつ14歳が学校という集団の中で、 自分は他人とは違う何者かでありたいという強いもどかしさを抱えて生きています。しかし、既にそのときの自分が誰でもない私であったということに、いくつもの年月を重ねた末にようやく気づく。
 私が既に私であったことをあの時にどうして気づかせてくれないのか。人生というのは誰に対してもこのようにいたずらをするものなのです。

 「いまの日常を忌まない。ここで暮らしているのだ。青痣があり、でも、ここに、わたしはいる。」
 「青痣(しみ)」の最後の言葉がずしりと胃の腑に響きました。

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