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物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」 (角川oneテーマ21)
 
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物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」 (角川oneテーマ21) (新書)

大塚 英志 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

テロとの戦い、ファンタジーの世界的ブーム、ネットでの中傷による殺人事件…。いまや社会において人々を動かしているのは「物語」である。80年代後半にイデオロギーによる社会設計が有効性を失い、複雑化する世界を見通すことが出来なくなった時、人々は説明の原理を「物語」の因果律に求めた。それは善と悪、敵対者、援助者など単純化された要素により成り立つ因果律である。それは分かり易さ故に人々を動員し政治をも動かし始めた。イデオロギーが「物語」に取って代わられた時代、世界はどこへ向かうのか?そのリスクはいかなるものなのか?「物語」が「私」と「国家」を動員し始めている。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大塚 英志
まんが原作者、小説家、評論家、編集者。1958年生まれ。筑波大学人文学類卒業。日本民俗学専攻。まんが誌フリー編集者を経て、その後は、まんが原作者やジュニアノベルズ作家、評論家として活躍。『“まんが”の構造』『少女民俗学』などサブカルチャーとおたく文化の視野からの評論・社会時評が注目され、『多重人格探偵サイコ』『木島日記』の原作でも脚光を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 3.0 サブカルチャー的文学論, 2004/11/11
By モワノンプリュ (Japan) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
 著者の言う「物語」とは、かつてのポストモダン派などが用いた広義の「物語」ではなく、プロップなどに見られるような説話論的構造をさすのだという。そして、そうした狭義の「物語」がイデオロギーを代替し始めている状況が問題にされる。
 著者がこの「物語」に抗すべきものとして位置づけるのが「文学」。しかしこの対抗関係は、蓮實重彦などに代表されるような「物語vs小説」という対立とは重ならないようだ(p214に蓮實への、読みようによっては大胆な言及がある)。著者の言う「文学」とは、描写によって物語を脱臼させたり、過剰に物語を模倣することによって物語を脱構築したりするものではなく、どうやら「もう一つの物語」らしい。たとえば「バトル・ロワイヤル」に抗するところの「赤毛のアン」のような。
 では、2つの「物語」の境界線はどこに引かれるのか。結局のところ、それは「キャラに還元されつくさない私」への拘泥の有無、ということになるのではないか。大塚が予期し、期待さえしているだろう突っ込みを入れるなら、「オマエに言われたくないヨナー」であろうか、実に。
 語り下ろしということもあり、理論的に一貫した、精密な議論が展開しているとは言いがたい。例えば物語によるイデオロギー代替という事態が世界規模で起こっているのか、日本的な現象なのか、ネット固有の特質なのか、著者の主張そのものにブレが残ると思う。
 私は、大塚の文学論をいい加減な仕事だと思っているわけではない。ただ彼も自覚しているように、マーケティング的世界に深く加担してしまった者には、認識は出来ても生み出すことの出来ないものがある。この本も、文学を擁護しているかに見えて、その効果においては文学のサブカルチャー化に貢献するものと考える。大塚は、「このフォニーなオレをつぶせる文学者はいないのか」と、半分涙声で怒鳴っているのである。「オレに文学論をやらせるなんて、間違ってるだろう」と。
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37 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「『文学』なんて不良債権でしょ」発言に自ら答える大塚英志の語り芸, 2004/11/27
この著書は「物語消滅論」というタイトルとは裏腹に、説話論的な「物語」の因果律がイデオロギーに代わって世界を支配しようとしている現代の危機について書いている。
 9.11以降「開戦」に至るまでのアメリカの行動も、それに追従する日本も「物語」の因果律に操られていると著者は語る。

 そして物語化する社会を抑止するための対応策として著者は二つを挙げている。ひとつは説話論的な物語を可視化しハンドリングする技術を皆が身につけること。もうひとつは「文芸批評」を物語批判の技術として転用することである。

 ここで、著者がまるでドンキホーテのように文壇に叩きつけた「『文学』なんて不良債権でしょ」発言が浮かび上がってくる。本書は挑発に腰砕けあるいは梨の礫の文壇に対して業を煮やした著者が、自ら「文学ってやっぱ大切でしょ。文芸批評も大切でしょ。」と劇団ひとり状態を演じている本なのだ。もう物語も文芸批判も文壇、文学といった狭いフィールドの中で語られるものではないし、お前ら相手にしてる時間はないっていうのが著者の本音だろう。

  また一見脈絡なく見える大塚自身の仕事を自らが解読するくだりにおいて、「言わないと何もわからない時代なので」っていう物言いにも妙に共感してしまう。誰かいないのか大塚と渡り合う奴は?って。

 意図的な「語り下ろし」の形式が「私」を抑止し、大塚の大風呂敷なテイストは残しながらも、客観的で開かれた著作になっている。「世界の中心で、愛を叫ぶ」を評して、「泣ける」とか「感動する」といったリアクションを引き出す一種のサプリメントとして読まれている、といったいつもながらのレトリックも冴え渡っている。

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19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 非常に刺激的な本, 2006/8/1
By するめいか (さいたま) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 『物語』に関する深い考察。思えば、物語というのはいつだって世界に近いところにあった。聖書だって物語じゃん、歴史だって物語じゃん、そして、今アメリカがやってる戦争だって、物語的思考を無自覚でやってるんだよ、と。
 何故? という問いかけもなく始められてしまった戦争。かつて島田雅彦が、9.11を「まるで映画を見ているように思えた」と言ったように、その裏には理由のない極めてファンタジー的な要素に彩られている。存在価値がなくなってしまうのが怖いからアメリカとパーティーをくまなきゃいけない、イスラム圏は敵だから攻撃しなきゃいけない。たくさんの何故? を放置してきた結果がここにあり、今、世界の動きは明らかに何故を排除する動きにきている。ストレートや、直情(それでいて中身のない)ものばかりがもてはやされている。
 『私』をキャラクタ化してしまった今、『キャラクタ化された私』ではなく、『本当の私』を守る壁がない。
 それを支えるために、効果を失ってしまった『文学』は復活させねばならない。
 日本のクリエイターが生みだす、ストーリー水準の底上げ、自らがサブカルに関わることでのライトノベルなどのジャンルのレベルの底上げなど、大塚の行動の裏が明かされる。言わなきゃわかんねえだろ、おまえら、と怒ってます怒ってます。
 大塚は今の文芸誌的文学なんて消えてもいいと思っている。彼は今の文学の可能性なんて期待しちゃいないだろう。もっと全体的な、それに変わる『広義の文学』が必要だ。
 なんて、そんな本。
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投稿日: 2004/10/14 投稿者: よう♪

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