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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
 
 

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) (文庫)

米原 万里 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!

内容(「BOOK」データベースより)

一九六〇年、プラハ。小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。それから三十年、激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

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40 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 その存在自体が奇跡のような傑作。, 2006/9/28
By TaroTaro - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
著者が9歳から14歳(1960年から64年まで)のときに通ったプラハのソビエト学校時代に仲の良かった3人の友達、ギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。出身は異なるが、著者も含めて皆、共産主義者の親を持ち様々な理由でプラハに集まった個性豊かな少女達である。

この作品は、著者のソビエト学校時代の彼女達との思い出と、それから30年以上経ってから彼女達を訪ね歩き、再会を果たしたときの出来事を綴ったエッセイであるが、単なるエッセイではない。幼い頃から共産主義が身近にあり、瑞々しい感性を大人になっても持ち続けたに違いない著者でなければ描くことができない、東欧庶民の生きた現代史である。

彼女達と何とか再会を果たすことにより、著者がソビエト学校当時にその理由が理解できなかった出来事の謎も解けるのだが、著者のユーモアのある文章をもってしても30年以上経って明かされた真実は非常に重苦しい。そして、著者がプラハを離れてからの彼女達の人生も厳しいものであったことがわかる。

更に、彼女達と話をするうちに、共産主義に振り回されそして激動の時代を生き抜いてきたことにより変わってしまった彼女達に共感できずにいる自分に戸惑い、苦い思いを残すなど、決してハッピーエンドではない。

他にも幼い頃にこういう経験をした日本人はいるのだろうが、感性、文才、ロシア語通訳としての経験、その全てが揃った著者のような人物がいなければ世に出ることのなかった奇跡のような作品だと思う。
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23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 著者、最高傑作, 2005/9/14
わたくし、米原さんの著作をほとんど読んでおりますが、
著者の死後(そんな日がなるだけ遠くなるのを願いますが)
必ずや3本の指にはいるであろう傑作だと思います。

米原本の魅力は、ご自身の体験を知的にもシモネタ的にも
実に面白がらせてくれる点ですが、この本は加えて、
実話でありながらハラハラドキドキさせてくれる小説的おもしろさと、
読後ホロリとさせられる寅さん的人情話風味があるのです。

実におもしろい本でした。

あと、「ヒトのオスは飼わないの?」(文春文庫)もオススメ。
ホロリ感もあるし、動物苦手なわたしがちょっとペットを飼ってみたく
なりました。動物好きな方にはとくにたまらないストーリーだと思いま
す。

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30 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 政治に翻弄された少女たちを通じて描く、見事な東欧現代史, 2006/6/29
By yukkiebeer - レビューをすべて見る
(トップ10レビュアー)   

 1960年代、マリはプラハのソビエト学校に通う日本人少女だった。同級生の中でもとりわけ仲がよかったのは3人。共産主義者の親とともに亡命してきたギリシア人のリッツァ。ルーマニアの外交官の娘アーニャ。そしてボスニア・ムスリム系ユーゴスラビアのヤスミンカ。鉄のカーテンの「向こう側」で少女たちは、大人たちの政治的思惑とともに生きざるを得なかった。
 そして90年代、東欧を襲った民主化の大きなうねりの後、マリは3人のその後を訪ねて歩くことになる。

 先ごろ亡くなった米原万里氏の著作を手にするのはこれが初めてではありません。しかし残念ながらこれ以前に触れた書は、どうにも露骨な下ネタが多くて、おもわず引いてしまうようなものが多かったのです。

 この大宅壮一ノンフィクション賞受賞のエッセイは違いました。1960年代にプラハのソビエト学校で机を並べた3人の個性的な同級生たちのその後を通して、現代東欧民衆史を鮮やかに切り出してみせる名エッセイです。「アーニャの嘘」に隠された真実を追う過程は、北村薫のミステリーを読むような高揚感と、真実の持つ悲しさとを味わわせてくれます。

 ですが、30年近い時を経て知る旧友たちの真実は、それでもまだ確たる真実とはいえぬ、ひとつのものをある一方向から見たものでしかないのかもしれない、というやりきれなさも感じます。アーニャの一家のその後の経緯をどう見るか、真実はひとつであるはずなのに、兄のミルチャの言い分、アーニャの母の言い分、そしてまたアーニャ自身の言い分はまるで違います。過去において共産主義とどう向き合ったのか、その度合いによって生まれた心の亀裂は、共産主義が終焉した後も決して埋まりません。

 家族を引き裂いたまま共産主義は去っていったということを、痛ましくも感じさせる少女たちの物語です。
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