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アジアンタムブルー (角川文庫)
 
 

アジアンタムブルー (角川文庫) (文庫)

大崎 善生 (著)
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出版社 / 著者からの内容紹介

愛する人が死を前にした時、いったい何ができるのだろう。末期癌に冒された恋人と向かったニースでの日々。喪失の悲しさと優しさの限りない力を描き出す、慟哭の恋愛小説。


内容(「BOOK」データベースより)

葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた―。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、ファンの心を癒すSMの女王…。主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。青春文学の名作『パイロットフィッシュ』につづく、慟哭の恋愛小説。

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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 強い気持ちになれました。, 2006/7/19
愛する人が死んじゃう話に泣く予定で読み始めましたが、泣きはしなく、その代わりに、深く心に残りました。悲しむ話ではなく強くなれる話です。不確かなものだらけの世界の中、一瞬でも確かな愛を感じられたら幸せだろうなあ。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「美しい死」など有り得ない, 2006/11/18
By ヤキソバ (奈良県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
本書の骨格は、山崎と葉子との恋愛である。
しかし、葉子は、冒頭から既に死んでいる事が分かっているのに、
二人の恋愛の凄まじい経緯が、強いうねりとなって盛り上げられる。
本書の持つパワーを見せつけられる。
そして、涙が出るほど、切ない。

一方、本書は、多くの死を描く。
鳥のヒューズに始まり、中川宏美の夫に至るまで、
どれをとっても死が美しいなどと言える代物ではない。

本書で描かれる風俗業界の諸々は、象徴的にも読み取れる。
つまり、性、すなわち生そのものが、死と対極的であるからだ。

美しい死など有り得ない。
望まれるのは、美しい生だ。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「霧吹きの水」, 2006/10/6
By ringmoo (愛知県高浜市) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
この本のカバーに「慟哭の恋愛小説」という紹介があります。確かに、物語のクライマックスは隆二と葉子の南仏ニースでの最後の愛の交換の話です。

しかし、この物語の中心はタイトルにもなっているアジアンタムに比されている「憂鬱」の問題でしょう。丸まりかけているアジアンタムに霧吹きの水をやり、生き返らせるというシーンが出てきます。それと同様に、人間にも「霧吹きの水」をやり、誇りを持たせてやらなければならないと言っています。その意味では、主人公隆二の「霧吹きの水」探しの物語とも言えるかも知れません。

いくつかのエピソードの中でも印象的なものの中に、A新聞(青)のコラムの話があります。それは永遠と無限の話です。限りが無いもの、解らないものに対する「不安」の話です。「死」もこの範疇に入るのでしょう。思春期において、このはっきりとしないものに対する「不安感」が、青少年を泥沼に引き込んでゆくというのです。結論の出ないことを考えないようになるのには、何らかの切っ掛けが必要になるのでしょう。
もう一つは、葉子の「水溜まり」の写真です。これも無限を「水溜まり」という枠の中に閉じこめてみることによって、精神的に救われるということでしょうか。そのために、「水溜まり」の写真ばかりの展覧会が評判を呼ぶと言うことでしょうか。
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