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脱走と追跡のサンバ (角川文庫―リバイバルコレクション エンタテインメントベスト20)
 
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脱走と追跡のサンバ (角川文庫―リバイバルコレクション エンタテインメントベスト20) (文庫)

by 筒井 康隆 (著)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

汚物のあふれるマンホールを通り抜け、こっちの世界へきたものの、やっぱりあっちの世界へ脱出するしかない。境界のゆらぎはじめた現実と虚構の「世界」を疾走する傑作長編SF。(河野典生)

内容(「BOOK」データベースより)

どんなことがあっても脱走してやる。このいやらしい世界から逃げ出してやる。こんなところに閉じこめられてたまるものか。汚物の墓場の下水管を通り抜けもとの世界からこっちの世界へ入り込んでしまったおれは…。情報による呪縛、時間による束縛、空間による圧迫にあえぐ現代をパロディ化し、境界のゆらぎはじめた現実と虚構の「世界」を疾走する傑作長編。

Product Details

  • 文庫: 336 pages
  • Publisher: 角川書店; 改版 edition (1996/12)
  • ISBN-10: 404130508X
  • ISBN-13: 978-4041305089
  • Release Date: 1996/12
  • Product Dimensions: 5.9 x 4.2 x 0.6 inches
  • Average Customer Review: 4.7 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
  • Amazon.co.jp Sales Rank: #99,336 in 本 (See Bestsellers in 本)

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14 of 17 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ドタバタを突き抜けたシュールリアリズム小説の大傑作, 2003/2/24
初期の作品ではあるが、個人的にはこれが筒井康隆のベストではないかとすら思っている。ここでの筒井は本当にオリジナルな、万華鏡のような小説世界を作り出している。次々と繰り出される悪夢のようなイメージ、奔放無比のストーリー展開、ボルヘスも真っ青の迷宮構造、異様な戦慄へと読者を誘うラスト。後期筒井の端正さ、円熟度と比べると粗削りな部分もあるが、そんなものをものともしないイマジネーションの爆発がここにはある。とにかくドタバタ・スラップスティックと呼ばれていた時期の頂点をなす作品であることは間違いない。ドタバタを突き詰めるとシュールリアリズムになるというが、これはジャリやヴィアンにも匹敵するシュールリアリズムの傑作である。筒井康隆にエンタテインメントを求める人々にはこの飛び方はきついのだろうか?「この世界を脱走してやる」と息まく「おれ」の情報・時間・空間をめぐる冒険はエンターテインメントとしても極上だと思うのだが。尾行者、正子をはじめとして時計屋の主人、職業訓練所の所長、天文台の助手等々、筒井特有の痙攣的キャラクターが生きに生き、あらゆる予定調和をぶち壊しながら疾走するストーリーは他に類を見ない。構成も凝りに凝っていて、定期的に挿入される尾行者の神経症的報告書は抱腹絶倒。とにかくこの小説のぶっ飛び方の凄さは読んでもらわないと絶対に分からない。読み終わると頭がぐらぐらしてくる。空前絶後の小説。
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6 of 8 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ウロボロスの真書, 2006/11/24
By 紫陽花 "玲瓏" (神奈川県相模原市) - See all my reviews
(TOP 50 REVIEWER)   
筒井氏は従来の文学の枠組みを遥かに超えた作品群を発表し、注目のデビューを飾った。勿論、文壇からは敵視(黙視)された。そんな筒井氏をマスコミが追いかけた時期があった。それが一段落した後、「それなら俺が俺自身を追跡してやろう」との意図で書いたのが本書である。本書では、逃げるのも筒井氏なら追いかけるのも筒井氏である。自身の尾を噛む蛇のようである。これがサンバのリズムで語られる。

物語中には相変わらずのナンセンス・ギャグやスラップスティック・ギャグ満載で笑わせてくれるが、基本的構図は一人二役を演じる筒井氏が自らを追跡すると見せかけて、実は逆に観察者(=社会)に対する厳しい風刺なのである。時間・空間の束縛に対する反駁、情報に踊らされる事の虚しさ。小説を書く上での約束事の無意味さ。これらを嘲笑しながら、高度な小説作法でエンターテインメントとして読ませる筒井氏の筆力は圧倒的である。

筒井氏の長編を代表する記念碑的傑作。
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8 of 13 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars the show must go on, 2004/10/30
By hpo - See all my reviews
(TOP 1000 REVIEWER)   
思い込みというのは恐ろしいもので、「筒井康隆はSF作家だ」としてしかとらえていなかった私は、本書をスラップスティック、ドタバタ喜劇だとしか記憶していなかった。いったいどんな読み方をしていたのか、再読してみると自分で不思議なくらいだ。

本書は、小説世界の枠組や約束ごとを次々に飛び越えてしまうという意味で、メタ小説だといえる。押井守が「紅い眼鏡」の中で、いきなり書割を押し倒して映画撮影所を抜け出ていく主人公を撮っていたのが「メタ」な技としては印象的だった。筒井康隆は、押井守以上に鮮やかに小説世界を連続技でどんでん返しさせていく。

メタ小説であるだけでなく、本書は実は哲学書だったのだと「再」発見した。これぐらい冷静に情報の本質、時間の本質、そして自分の内宇宙を見つめた小説を私は知らない。筒井康隆の筆にかかえると、情報も、時間も、空間も素っ裸にされてしまうのだ。

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Published on 2000/12/15

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