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本陣殺人事件 (角川文庫―金田一耕助ファイル)
 
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本陣殺人事件 (角川文庫―金田一耕助ファイル) (文庫)

横溝 正史 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

一柳家の当主賢蔵の婚礼を終えた深夜、人々は悲鳴と琴の音を聞いた。新床に血まみれの新郎新婦。枕元には、家宝の名琴「おしどり」が…。密室トリックに挑み第一回探偵作家クラブ賞受賞。(中島河太郎)

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5つ星のうち 5.0 『オペラ座の怪人』『クマのプーさん』と金田一の関係は?, 2008/1/14
本書は第二次大戦後、国内で初めて発表された本格推理小説で、金田一耕助初登場作品にして、第1回日本探偵作家クラブ賞(現在の日本推理作家協会賞)を受賞した、作者の代表的傑作である。
本書の魅力は大まかに次の3つである。

1)本格的な密室トリック
作者いわくはカーター・ディクスンの『プレーグ・コートの殺人』に刺激を受けたとのことだが、密室トリックに類似性や関連はないに等しく(『プレーグ・コート〜』は、密室の構成方法という点では機械トリックではなく、むしろ心理トリックのように思う)、「雪の密室」という点からはむしろ『白い僧院の殺人』を連想する。
またこれも作者の言だが、ガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』を意識して、「黄色い部屋」に対してべにがら(紅殻)塗りの「赤い部屋」に仕立てている。
(ルルーの作品はミュージカルのおかげで『オペラ座の怪人』の方がすっかり有名になってしまったが、『黄色い部屋〜』は江戸川乱歩が名作推理ベスト10の2位に挙げる、密室ものの古典である。)
なお、私は本書の密室トリックについて、クリスティー唯一の密室ものの長編『ポアロのクリスマス』に近しいものを感じる。一度読み比べられたら面白いと思う。

2)謎の三本指の男
この謎の三本指の男のように、たとえば『獄門島』の謎の靴跡の男や『犬神家の一族』の復員兵とか、『悪魔が来たりて笛を吹く』の椿子爵(に似た人物)、『悪魔の手毬唄』の「おりん」など、本書以降も作者は様々な作品で謎の人物を徘徊させているが、とくに本書ではこれが謎を深めさせ、怪しげで不気味なムードを醸し出すことに成功している。

3)金田一耕助の登場
本書の最大の功績は、金田一耕助を登場させたことに尽きるのではないだろうか。
本書とほぼ同時に発表された『蝶々殺人事件』と本書について、江戸川乱歩ら職業的推理作家たちは本書に軍配を挙げ、坂口安吾ら純文学作家たちは『蝶々〜』を支持したらしい。
もはや好みの問題だろうが、私は金田一の登場しない『蝶々〜』には味気なさを覚える。もしも本書に金田一が登場していなければ、きっと同じように感じたことだろう。

なお金田一耕助のモデルは、本書で作者が記載しているとおり、A・Aミルンの『赤い館の秘密』(本書では『赤屋敷の殺人』と記されている)に登場するアントニー・ギリンガムで、『赤い館〜』は江戸川乱歩が名作推理ベスト10の8位に推した作品である。
ちなみに『赤い館〜』の著者A・Aミルンは、『クマのプーさん』の作者である。

もう一つついでに、本書に記されている金田一耕助が解決したアメリカでの事件について、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』の続編として、『僧正の積木唄』という作品が山田正紀によって執筆されている。
(この中でファイロ・ヴァンスと金田一耕助のコラボが実現している)
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 婚礼初夜に起きた密室殺人, 2008/12/2
名家の婚礼初夜、離れで寝ていた新郎新婦が殺害された。

離れの建物にはしっかりと戸締りがなされ、しかも、
周囲は雪で覆われており、いわば二重の密室状態だった。

にもかかわらず、犯人が立ち去った足跡は見当たらず、
凶器の日本刀のみが離れの外に残されていた……


大掛かりで複雑な機械トリックが特徴の本作。

普段ミステリを読まない人が、本作を読めば、犯人のあまりに旧弊な犯行動機も含め、
「なんでわざわざ、そんなことすんの?」と思うんじゃないでしょうか(w


しかし、ミステリ的にみれば、純日本家屋の中で、あくまで「和」の道具立て(琴、
日本刀、鎌など)によって密室を構成してみせた本作の歴史的意義は大きいです。

そして、そうした日本的なモノがそれぞれに帯びる象徴性が捨象され、単純な機能に
解体されることによってトリックとして再構成されるメカニズムこそ、ミステリの勘所です。


我々は、横溝作品といえばつい、おどろおどろしさや猟奇性ばかりをイメージしますが、
あくまでそれは演出の一面にすぎず、伝統的な和の意匠が、ことごとく抽象的なロジック
へと還元されていく、ギャップや異化効果にこそ、その真骨頂があるといえます。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 密室殺人事件, 2008/7/26
By 草雲雀 (台湾国台北市) - レビューをすべて見る
本書は、本陣殺人事件の他に二つのショートショートがついている。

『本陣殺人事件』は密室ものである。途中で筆者は金田一に密室の探偵小説について語らせている。曰く、犯人がある方法で−針金だの紐だのを使ってですね−あとから錠だの閂だのをおろしておいた、などというのは感心しない・・・
であるならば、本件はこういうトリックではないということが分かる。
ではあくまで密室なのであろう。しかし、犯行に使われたと見られる凶器は部屋の外にあるのである。となると・・・

『車井戸はなぜ軋る』は、酷似している異母兄弟が戦争から帰って来る、が、一人は戦死し一人だけで。さあ、その本人はどちらか、というのが話しの中心である。何か犬神家の一族にこんなのがあったような・・・

『黒猫亭事件』は「顔のない屍体」ものである。筆者曰く、探偵小説には「一人二役」型だの、「密室の殺人」型だの、「顔のない屍体」型だのがある。後の二つは途中でそれと気付くが、「一人二役」型は読者に感付かれたが最後、その勝負は作者の負けであると。また、「顔のない屍体」は、十中八九被害者と加害者がいれかわっていると考えて間違いはないと。
さあ、本件のトリックは如何に・・・
この作品の最後にこういう文章がある。
「私は正直にいうが、見破ることが出来なかった。読者諸君はいかに?」
至らない作家がこんなことを書けば噴飯ものだが、この作家に言われるとどうにも、にやりとして、ああ分からなかったよ、と言うしかないのである。

三篇の内では『本陣・・・』が有名なのだろうが、トリックとしては『黒猫亭・・・』が一番練れている気がした。
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投稿日: 2002/1/3 投稿者: ピエロ

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