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天国までの百マイル (朝日文庫)
 
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天国までの百マイル (朝日文庫) (文庫)

浅田 次郎 (著)
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   主人公の城所安男は、自分の会社をつぶしてしまい、いまや別れた妻子への仕送りもままならぬほど落ちぶれた中年男。ある日、心臓病で入院する母を見舞った安男は、主治医から病状の深刻さを告げられ愕然とする。そのまま治療を続けても母の余命はごくわずか。残された道はただひとつ、謎の天才外科医にバイパス手術を施してもらうこと。衰弱した母をワゴン車に乗せた安男は、房総のひなびた漁村にあるカトリック系病院目指して、100マイルの道のりをひた走る。はたしてその先に奇跡は待っているのか――。

   年老いた親の介護や終末医療というテーマはきわめて現代的で、自らの身の上と重ね合わせずに本書を読み進めることはまず不可能にちがいない。そして、それぞれに成功者となり、老母とのかかわりを避けようとする主人公の兄たちの冷淡ぶりに怒りが込み上げてくる。だが一方で、その兄たちの姿がそのまま、読む者自身を写し出す鏡であることにも気づかざるを得ない。そんな恐ろしい一面を隠し持つ作品でもある。

   また、特筆すべきは安男の同棲相手のマリだろう。「ブスでデブ」を自認するホステスのマリは、不幸な生い立ちにもかかわらず底抜けに明るく、安男に惜しみない愛情を注ぐ。この上なくリアルなキャラクターでありながら、同時に、男にとっての理想の女に描かれていることは驚きに値する。本書をせつない男女の恋物語たらしめている名脇役に、ぜひ注目してほしい。(西村 匠)



内容(「BOOK」データベースより)

バブル崩壊で会社も金も失い、妻子とも別れたろくでなしの中年男城所安男。心臓病を患う母の命を救うため、天才的な心臓外科医がいるというサン・マルコ病院めざし、奇跡を信じて百マイルをひたすらに駆ける―親子の切ない情愛、男女の哀しい恋模様を描く、感動の物語。

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5つ星のうち 4.0 わかっていても泣けてくる, 2003/2/18
 また泣いてしまった。それも滝のように涙。浅田次郎の本はいつもこうだ。術中にはまるものか、と普段にも増して頭を冷却して読む。

 正直言うと『鉄道員(ぽっぽや)』あたりからこの作業に少々疲れ、浅田次郎の本が苦痛になってきていた。食傷気味だったのだ。人間は泣けと言われても、簡単には泣けないものだ。根がへそまがりなものだから、これでもかこれでもか、とやられるとそっぽを向きたくなる。わかっているんだ。浅田次郎の術はわかっている。

 しかし、、この本では浅田次郎の術に見事にハマリまくってしまった。90ページを過ぎた辺り、藤本医師の100マイル発言あたりからあやしくなってきた。もう涙が止まらない。あとは涙涙。途中ちょっとたるみもあった。前半後半の落差について行けない部分もあった。が、これはメルヘンなのだ。応援歌と言っても良いかもしれない。今は、素直に浅田次郎に応援されたい気分なのだ。

 これだけ素直に読んで良かった、と思える本はめずらしい。本当にこの本を読んで良かった。心底そう思う。明日も頑張ろっと…。

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30 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 なめてました。, 2003/6/20
正直、浅田次郎はぽっぽやしか読んでなくて、ベストセラー作家だし~映画かなんかにもなってたし~金儲けだけなんじゃないの~?!
なんてなめた気持ちで読み始めました。。。。。が!

術中にはまってしまったわけです。
凄すぎます。
本読んでて泣くことなんてそんなないんだけど、やられました。

眠れなくて、眠くなるために読み始めたはずなのに、明け方にはぼろぼろです。
でも何か読後感はすっきりしていて、久しぶりに前向きでさわやかな気持ちのいい朝を迎えることが出来ました。

数日後2回目読んだのですが、今度は冷静に技術的なことに見が向きます。
この作家凄いです。

めちゃくちゃに調べてあるだろうにかかわらず、そのことを一切感じさせません。例えば専門的な医者同志の会話が凄く自然に聞こえてくるんです。

ベストセラーはあえて避けるような、私のようなサブカル人間もだまされたと思って1回読んでみてください。

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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 涙なしには読めない名作, 2007/5/15
初めてこの本を読んだとき、主人公の母親に、病院で亡くなった自分の母の姿
が重なり、何度も涙を拭いました。病床で母はこんなことを思っていたんだろ
うな、あのときああしてやればよかったなという思いがわき上がってきました。

浅田文学のテーマになっているのは、「落魄した人間の誇りの回復」「無償の
愛の尊さ」というものだと思いますが、それが見事に絡み合っている作品です。

母を助けたい一心で百マイルの道を走る落ちぶれた息子、その息子が立ち直る
ことだけを願っている母、二人をいろいろな形で支える人たち、神懸かり的な
天才ドクターの登場…。終盤の展開を思い出しただけでも目頭が熱くなる。

多くの人に読んでほしいと思う名作です。
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