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あなたと共に逝きましょう (単行本)

村田 喜代子 (著)
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商品の説明

内容紹介

昭和・平成の上昇期を生きてきて、老い方を知らない団塊世代の共働き夫婦。その夫を襲った動脈瘤破裂の危機。銃口を突きつけられた者は、どう生きるのか? 心臓をとめられても、人はなおかつ尊厳を保てるのか。大学被服科の教員の妻に、夜ごと逢いに来る夢の男。生への活路か、心中行きか。硫黄噴く北の岩盤浴の地へ舞台は流れる。人間の不可思議な「体」と「心」の深淵に潜る、作者、5年がかりの新境地。


内容(「BOOK」データベースより)

老い方の下手な団塊世代の共働き夫婦を襲った、夫の動脈瘤破裂の危機。硫黄の噴く北の岩盤浴の地へと舞台は流れる。心臓を停められても、人はなお尊厳を保てるか?妻の夢の中へ逢いに来る男。人間の不可思議な「体」と「心」の深淵に潜る、作者、5年をかけた新境地。

登録情報

  • 単行本: 251ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2009/2/6)
  • ISBN-10: 4022504390
  • ISBN-13: 978-4022504395
  • 発売日: 2009/2/6
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon.co.jp ランキング: 本 - 174,143位 (本のベストセラーを見る)

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18 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 たしかに傑作だが好き嫌いは分かれるだろう, 2009/3/13
一見 軽妙なタイトルにつられて読んでしまったが読後はかなり複雑だ。
内容はすばらしい、が反面濃厚に過ぎる。
著者 5年をかけた新境地...とあるだけに気魄迫る文章と
練り上げられたムダのないストーリーは読む者をぐいぐいと引きつけ引っ張り込む。

『老いてゆくことに不器用な』団塊の世代夫婦に
夫の動脈瘤発見という突然降ってわいたような危機。
妻は“一個の石で雀が二羽とも落ちてしまったみたい”という経験のない不安を抱え
夫はさながら『神』になったかのように闘病に挑む。
闘病というおなじ目的を持ちながらしかし妻は夫とは微妙に違った心象世界に入ってゆく。

それは心はひとつでも体はふたつ...という寂寥。
亭主は生活の止め金だった...と気づくおぼつかなさ。

夫は嬉々としてゆく民間療法の岩盤浴。
硫黄の瘴気の立ち込める中でごろごろと横たわる人々を
妻はまるで地獄絵のようだとおもう。
採血の血をふやすために グラグラと大鍋で煮る鯉こく。
そして追い打ちのように現れる血の池のような性と生への渇望。
たちこめる臭気が本を通して鼻先にかんじられるほどの描写は
作者の技量をほめるべきものなのだろうが読んでいてたまらない。

根性なしの私は平常心ではよめなかった。
熟年夫婦の(妻の)だれしもが抱えているであろう神性。
それと裏返しの賽ノ河原のような寂寥。
読後こうまで食い込んでくる作品をしらない。




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14 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 一心同体の軌跡, 2009/3/20
By ソコツ - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
熟練の文章や物語としての完成度は無論のこと、服飾大学で講師の仕事をしている妻(語り手)の、人間の身体に関する見解がおもしろかった。折々に出てくる裸体や心臓などをめぐる考察に加えて、本書の中心となる、動脈瘤にとりつかれた夫の身体の変異の過程についての観察が、鮮烈な印象を与える。病気により言葉を発するのが困難になったため、「爆弾」を抱えた肉の容器と化した夫が、モグモグと100回噛む食事療法や藁をもつかむようにたどり着いた岩盤浴療法などを経て、「原生林」のようなきめ細やかな肌をもつ白くおとなしい生物へと転身していく様子が、なんだか、おかしい。
しかしなにより感動的なのは、危機に直面した夫婦を、ひとつの身体として描き出そうとする筆致であろう。足並みがろくにそろわなかった冒頭の温泉旅行がまるで嘘のように、放尿の補佐をはじめとする様々な病身介護の積み重ねにより夫婦の距離が接近し融合していく姿は素晴らしい。結婚以来何十年も食事をつくることで同時に夫の肉体をつくってきたのだから、その夫の身体にメスが入ることは自分の一部が切られることと変わらない、という妻の感想は、長年よりそってきた夫婦にしか到達できない重厚な見識であろう。
それだけに、手術後にもたらされた妻の喪失感と死の衝動という現実は痛切であった。こんなややこしい感覚を抱かせてしまう夫婦関係って何なのか、と読後に非常に複雑で味わい深い煩悶を残してくれる、著者渾身の傑作である。

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15 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0  間違いなくこの小説は、これからの高齢化社会を考える上での必読書となるだろう , 2009/3/12
By 21世紀のケインジアン (兵庫県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 本書はこれからの日本社会での大きな問題となる「団塊世代の老いと死」をテーマにしている小説のスタイルをとった書である。

団塊世代にとっての「老い」、生死にかかわる病を得ることの非現実感、配偶者を介護することでもたらされる微妙だけれども根源的な感情、そのようなものが一見したところは飄々と、時には身につまされるように描かれる。しかも細部をも、おろそかにすることなく描いてある。すると自分の中で、いつのまにか、老化に対する漠然とした恐れが薄らぐと同時に、運命の受容を迫られる。気が安らぐ部分とシビアなものとのユーモラスが混じりあってい る。

本書での物語は、子が独立し二人暮らしの夫婦(ともにほぼ六十歳、どちらも現役で働いていて、老いとは無縁と思い込んでいる)を軸に綴られる。ある日、夫に大動脈瘤が見つかる。発見の経緯、病院でのやりとり、手術が必要と宣言されるものの民間療法を試さずにはいられない切ない気持ち。そうしたストーリーは、熟達した作家である著者の手により実に面白いものになっている。

 しかし、本書の素晴らしさは、実は、もっとデリケートなところにある。「気を取り直して私はあたりを見る。まだまだ大丈夫だ。この世は六十歳を超えた人間たちで動かされているのだ」という文章で表現される登場人物の複雑でいじらしい気持ちはどうか。あるいは無事手術を終えた夫を前に、ドラマチックな瞬間を駆け抜け充足する配偶者から置き去りにされてしまったかのような気持ちを覚え消沈してしまう妻のこと、等々である。是非、ご一読をお薦めします。
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