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老いの超え方
 
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老いの超え方 (単行本)

吉本 隆明 (著)
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老いの超え方
「現在のわたし自身を顧みれば、自分の身体を素材に考古学の発掘をやっているような気がしている」。そう語るのは今年で82歳になる思想家、吉本隆明氏である。戦後の文化や政治的論争に影響を与えてきた“知の巨人”も、老いと持病によって身体の自由を奪われ、今では歩くこともままならない。しかしその精神はどうか。

タイトルの通り、「老いを超える」が本書のテーマである。身体の不自由さを他人事のように見つめ、時にはそれを楽しみながら自由な心で生きる吉本氏の姿がそこにはある。身体は衰えても意思が機能する老人は「超人間」だと言い、その境地に至ったからこそ見える社会や政治、宗教、文学について大いに語る。老いを悲観的に捉えがちな人々に送るエールでもある。


(日経ビジネス 2006/07/24 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)



出版社 / 著者からの内容紹介

今年83歳になる戦後思想の巨人による完本・老体論。糖尿病、白内障の手術、腸がんの切除手術など多くの病気を抱え、ほとんど歩けず見えない生活で取り組む「吉本式日々の体操」と生活の必需品をカラー写真と文章で紹介。足・腕・指・脊髄の鍛錬、散歩、パソコンで拡大文字を読む。身体の衰えと反比例し拡張する精神。「老い」の本当の姿を率直無比に語りつくす貴重な一冊。老いの語録集付き。

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5つ星のうち 5.0 吉本にとって老いは第二の戦後。かつて自らの老いをこれほど曝け出した文学者は居たか?, 2009/10/18
By 柴風 (青森県) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
 まず、冒頭のカラー口絵頁でビックリ。自分の使っているおしめを恥ずかしげもなく写真に撮らせている。
 そして、カバー裏表にある数枚の吉本さんの近影。中でも、表左下、猫背蟹股で杖を突きながら街を歩く吉本さんの姿は、衝撃的ですらある。そう、たんなるヨボヨボのおじいちゃん。これがあの、「戦後最大の思想家」と言われた人のなれのはてか(失礼)と思うと、目頭が熱くなってしまった。
 思想は老いないが、肉体は老いる。それは避けようも無い事だ。近年吉本さんが、毛沢東を引き合いに出し「自然にはかないません」と口にするたびに、いまいちピンとこなかったが、本書を読むと、五臓六腑に沁みて来る。

 吉本さんにとって、まさしく自らの「老い」は第二の戦後と位置づけられよう。そこから、かれは全く新しいパースペクティブでもって、新たな知を紡ぎだしている。それが、総体的な感想だ。
 少なくとも、今世紀に入って乱造された吉本さんの著書の中では、トップクラスに感銘を与えるものだと断言できる。

 なお、「老い」とは直接関係ないが、本文中の「一問一答」で、ヘーゲルを巨大な「近代」としているのに対し、フーコーを巨大な「現代」と対比させている点。また、サルトルを「間違った」マルクス主義者としているのに対し、花田清輝を「惜しい」マルクス主義者、さらには、埴谷雄高のことを「誤った文筆家」としているのは、非常に興味深かった。
 読者が考えるほど,彼は花田清輝を嫌いではなかったのかもしれない。安部公房も最後まで彼を尊敬していたし、私なんぞにはチンプンカンプンな人だが、改めて花田清輝の研究をしてみるべきかな、とふと思ったりもした...
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