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ヨーロッパを見る視角 (岩波現代文庫)
 
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ヨーロッパを見る視角 (岩波現代文庫) (文庫)

by 阿部 謹也 (著)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

十一世紀以前においては、日本と同様な「世間」が存在していたヨーロッパが、なぜ個人を重視する社会へと転換したか。個人の誕生の背景には何が存在していたか。恋愛の成立、市民意識の形成というヨーロッパ社会の基底に関わる諸事象を、日本社会との比較史的考察を通じて明快に解明する。長年の西洋中世史研究と日本社会論との鮮やかな連結。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

阿部 謹也
1935‐2006。歴史学者。一橋大学名誉教授。専攻=ヨーロッパ中世史、日本社会論。一橋大学大学院社会学研究科修了。小樽商科大学、東京経済大学教授を経て、一橋大学教授。1992‐98、一橋大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 文庫: 344 pages
  • Publisher: 岩波書店 (2006/12)
  • ISBN-10: 4006031459
  • ISBN-13: 978-4006031459
  • Release Date: 2006/12
  • Product Dimensions: 5.8 x 4.2 x 0.7 inches
  • Average Customer Review: 4.4 out of 5 stars  See all reviews (7 customer reviews)
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3 of 4 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 難しい主題だが、さらに深いところを追求したくなる, 2007/4/17
By 楡岡 (東京都) - See all my reviews
 1995年の岩波市民セミナーでの講演をまとめたもの。ヨーロッパでは12世紀頃までは”世間”の中で生きていた人間が”個人”や”市民”として変わっていったとの史観から、”世間”が継続する日本と対比する視点を解説する。

 ヨーロッパに残る”世間”の痕跡。という視点は興味深いが、それにとどまらずに当時の社会生活の解説などを取り込んでいることで、話題としての発散を感じる。貴族や都市での生活、村落の様子や古い伝説など、教養的な話題が多く含まれる。
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3 of 6 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 阿部世間論の前提が理解できる好著, 2006/12/24
西欧は近代社会だが日本はそうでない。日本にあるのは「社会」ではなく「世間」だ。このことを正面から主題化したのが阿部世間論だ。世間論の第1弾「世間」とは何かが出たのが1995年。そのころから、G7(今はG8)では「自由と民主主義という価値を共有する先進諸国」というのがおきまりの台詞だが、阿部教授に従えばこれは全くの茶番ということになる。
  西欧と日本では社会の成り立ちが根本的にちがう。ヨーロッパでは個人が成立し、市民意識が誕生し、人間関係が根本的に変革されたからだ。一見したところあたりまえの主張だが、阿部教授の場合自らの研究にもとづくヨーロッパ理解を前提にした主張であるという強みがある。著者によればヨーロッパではもはや世間が存在しないが、11世紀以前はそうでもなかった。この命題は支持できるか?より内在的なヨーロッパ理解なしには回答不能だ。
  本書は10年前の書物(もともとはその前の年の連続講演)の再刊なので、著者の考えもその後変わってきた面もある。(モースによって互酬制を呪術的なものと見る見方は最終的に放棄された)。阿部世間論は多くの書物に分散して内容も多岐にわたるし、参照される西欧の事例は時として専門的な事柄におよぶ。阿部教授が参照枠組みとしてのヨーロッパをどう理解しているかは本書を読めば手っ取り早くわかる。タイムリーな再刊。ただ著者の他の本では引用文献・参照書目が載っていて考えを進める手がかりとなるに、本書は原本のまま。引用書目が増補してあれば星5つとしたい。
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4 of 9 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ヨーロッパにおける「世間」の解体と「個人」の成立, 2008/5/29
By 仮面ライター (札幌市) - See all my reviews
(TOP 1000 REVIEWER)   

 ヨーロッパ中世(社会)史の碩学である著者の阿部謹也・一橋大学名誉教授は、去る06年9月、惜しくも逝去されたが、当書は、1995年に開催された岩波市民セミナー「ヨーロッパを見る視角」の講演に由来しており、著者の「ヨーロッパ社会を捉える基本視角を提示し、日本との比較において大きな展望を述べた作品」(安丸良夫・一橋大学名誉教授の「解説」)である。また、晩年における著者の問題意識も、十分くみ取れる内容となっている。
 
 ドイツ中世史や日欧社会(史)の日常生活次元での比較研究など、阿部氏の学問的な業績については今さら語るまでもないのだけれども、本書に関しては、私は要所としてヨーロッパにおける「個人」の成立過程を挙げたい。ちなみに、この11世紀以降の「個人」の成立に伴って、ヨーロッパ風の「恋愛」も12世紀頃から始まったようだ。それはともかく、現代にまで通底する思想としての「個人」を生み出したモメントは、一体何だったのか…。

 『生きるための経済学』の著者・安冨歩氏は、現代における「自由」のアポリアを経済学等を通して剔出したのだが、この「自由」と裏腹の関係にあるのが「個人」の問題であろう。この「個人」と対極する概念が、「長幼の序」「贈与互酬関係」等を原理とした、阿部氏のいう「個人と個人を結びつけている人間関係の絆」としての「世間」(p.19)であり、11世紀以前のヨーロッパは、日本的な集団優位の「世間」が支配した社会であった、とする。

 そして、著者は「世間の解体をもたらした一番大きな原因は何かというと、キリスト教の普及にあった」(p.89)と見る。具体的には、「マタイ伝」や「ルカ伝」なども引用し、「すべてを捨てて自分に従え、親や兄弟を捨ててしまえ」という「絶対命題」(pp.90~91)が「世間」を解体し、「個人」を誕生させたと勘決する。こうしたキリスト教の教義が人間を作り替え、「その後のヨーロッパの性格を決定的に規定」(p.97)した、と言って良いのだろう。
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