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和歌とは何か (岩波新書)
 
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和歌とは何か (岩波新書) (新書)

渡部 泰明 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

たった三十一文字の歌のなかに、枕詞や序詞など、無用ともみえるレトリックが使われる理由とは?答えのカギは、「演技」という視点にあった―。身近な疑問を入口に、古典和歌の豊富な具体例をあげながら、千三百年も続いてきた文学形式の謎に真っ向から取り組む。歌の言葉と人が生きることの深いかかわりを読み解く、刺激的な一書。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

渡部 泰明
1957年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。フェリス女学院大学、上智大学を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は和歌文学・中世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 “和歌”がエキサイティング, 2009/8/9
「和歌とは何か」とはずいぶん気負いこんだタイトルだと手に取った。
序章を読むと、“演技という行為の視点を持ち込んで、和歌の言葉を、生き生きと躍動するものとして理解する、歌の言葉が出来あがってくる現場に即して、少しでも魅力的に味わえるようにしてみようという試み”であるということだ。
「和歌のレトリック」「行為としての和歌」のニ部構成となっていて、読み進めるにしたがって、狙いが明確にされ、和歌とはこういうものだったのかということが理解できる、エキサイティングな本となっている。
和歌の本といえば、これは名歌、これはつまらないといった、評者の個人的センスに寄りかかった、悪く言えば独り善がりの本が多く、和歌そのものへの興味をそそる本は少なかった。
和歌への興味をくすぐり、豊かな言葉の世界への案内役となる好著である。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 要点のまとめ方がよくて、読者に親切な本, 2009/8/15
 詳しく説明してくれるのはいいが、読者に不親切な本もある。本書はその点各章のキーワードを簡潔にまとめてくれている。しかも、その10字前後の定義が、詩的で私好みで気に入っている。そのうち万葉受講生に紹介しようと思っているくらいである。
「和歌」=演技している。〈演技〉という視点からその力の謎を解くのが本書の主旨。
「枕詞」=違和感を生み出す声。文脈の中に溶け込まないで、孤立し続ける。
「序詞」=共同の記憶を作り出す。懐かしさをかもし出す表現で、そのつど工夫される。
「掛詞」=偶然の出会いが必然になる。二重の文脈になり、声を合わせることで必然化する。
「縁語」=宿命的な関係を表す言葉。連想による気分的な連接をはかる手法。
「本歌取り」=古歌を再生する。古歌を盗み、模倣して創造する。心を取る。
「贈答歌」=人間関係をつむぐ。切り返す手法。贈歌と返歌は共に役を演じ合う。
「歌合」=捧げられた美のアンサンブル。勝ち負けが決まる。火花を散らす真剣勝負。
 和歌を生きるとは、精神修養であり、演技という心のゆとりであった。


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5つ星のうち 5.0 和歌とは何か、タイトルに偽りない快著, 2009/9/27
 正直に言って、タイトルを見ていささか堅苦しい、カビの生えた、「古人の情緒に思いを馳せましょう」といった類の本かと思っていたが、とんでもない、大変現代的・合理的な形式と問題意識で書かれた一冊である。
 単に懐古主義に走るでもなく、刹那主義に陥るでもなく、和歌という文芸ジャンルの普遍性と特殊性について、明快に分析していく。古い時代においてはすでに和歌は縁遠いものであり、「嘘」に基づく演技された儀礼であるということが当初に示される。ここから明快な議論がスタートする。
 レトリックとして枕詞、序詞、掛詞、縁語、本歌取りが挙げられ、大変わかりやすく機能が説明される。枕詞についての「相撲の呼び出しや格闘技のリング・球場における選手の紹介、あるいはプレイヤーの登場の音楽などを想起すればよいかもしれない」という比喩には、目からうろこであった。さらに言わせてもらえれば、だじゃれ、ネット上のスラング、アスキーアート、パロディ、オマージュ、MAD動画や同人誌とも一脈通じるものがあるといえよう。
 さらにそのレトリック全体を一言でまとめ、葬式や年賀状のように儀礼的空間を呼び起こすものだとしているのもお見事だ。
 贈答歌、歌合などの例も挙げられ、それこそ紅白歌合戦やマルチメディアの世界である。古今伝授というのだけは現代にはあまり相当するものはないかもしれないが、伝統の継承と発展は近年の教育基本法や学習指導要領でもうたわれているものだ。
 いつの世でも人はメッセージを表現したいし、他人に伝えたいと思う。そしてそのための文化的なルールがある。そのせめぎあいが文芸なのであり、和歌はその中で生まれ、生き延びてきたジャンルであったことが非常に読みやすく理解できる一冊であった。
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