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昭和天皇 (岩波新書)
 
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昭和天皇 (岩波新書) (新書)

原 武史 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)
新嘗祭、神武天皇祭など頻繁に行われる宮中祭祀に熱心に出席、「神」への祈りを重ねた昭和天皇。従来ほとんど直視されなかった聖域での儀礼とその意味に、各種史料によって光を当て、皇族間の確執をも視野に入れつつ、その生涯を描き直す。激動の戦前・戦中から戦後の最晩年まで、天皇は一体なぜ、また何を拝み続けたのか―。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
原 武史
1962年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社、東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材。東京大学大学院博士課程中退。東京大学社会科学研究所助手、山梨学院大学助教授を経て、明治学院大学教授。専攻は日本政治思想史。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞受賞)、『大正天皇』(朝日選書、毎日出版文化賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 政治史から見るのとは別の昭和天皇像, 2008/2/11
 本書は「お濠の内側」で行われる宮中祭祀の観点を中心に昭和天皇像を描き出すものである。示されるのは、戦前から戦後を通じて(「創られた伝統」にすぎない)宮中祭祀に重きを置き、皇祖神に祈ってきた昭和天皇の姿である。それは、単に真面目さとして片づけられるものではなく、東宮御学問所での杉浦重剛らによる教育とともに、神がかり的で「神罰」を恐れる実母・貞明皇后との間の確執ともいえる関係にとらわれたことの影響があった。そして、太平洋戦争中は勝利を神に祈り、終結の際は三種の神器を守ることを第一とし、戦後も、先の戦争に関して平和の神である伊勢神宮に戦勝を祈願したことの過ちについては謝罪した、そのことが戦後も宮中祭祀にこだわった理由ではないか、と昭和天皇の行動を皇祖神への姿勢との関わりから説明している。
 これまで主に政治・外交(=お濠の外側)の視点から昭和史の本を読んできたが、そこに示される立憲君主としての昭和天皇とは違う姿が示されており一気に読めた。専門家等には物足りないかもしれないが、一般の読者には大変興味深く読める本である。本書は、昭和天皇の行動すべてを宮中祭祀で説明できるといっているわけではなく、その一面に光を当てるものにすぎない。決して馬鹿馬鹿しい内容ではなく史料に基づくものである。無論、内容は著者の解釈を免れるものではないが、利用できる史料が限られている以上やむを得ない。
 若干の違和感も残る。著者は、昭和天皇にとって神が第一で国民は二の次であった旨のフレーズを何度か繰り返し、最後に日本国憲法の理念と矛盾する宮中祭祀を続ける今上天皇に触れ「昭和は終わっていない」といって本書を終えている。だが、本書から受ける昭和天皇の姿は、置かれた環境に大きく影響された一人の個人の姿である。天皇が代わり平成になり20年が過ぎる今、著者の言う「昭和は終っていない」との問いはどこまで有効なのだろうか。
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16 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 昭和天皇が真面目だったことを改めて証明したに過ぎないのでは, 2008/2/9
By 革命人士 - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
「大正天皇」は鉄道という視点から、新聞などのメディアを通し、それまで静的とされていた大正天皇を快活、新しいもの好きという開明、動的な君主像に書き換える画期的な本だったが、本書は「祭祀王としての昭和天皇」という、あまり前例のない視点を当ててはいるものの、なぜ、戦後も祈り続けたのか明確な答えは明示されていない。「祭祀に熱心だった」という1つの結論は得られるが、真面目な昭和天皇像に1ページを追加するものでしかない。祭祀生活について、十分読ませるものはあり、新書ならこれで十分だとは思うが、原武史ということで「これまでにない昭和天皇像」が出てくるのでは、と期待値がちょっと高かっただけに残念。
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34 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 天皇のアイデンティティに対する理解がおかしい!, 2008/3/22
 最近話題の本であり、「大正天皇」が新鮮なインパクトを与えてくれたこともあり期待を持って読んだ。確かに、今まで書かれることのなかった天皇と祭祀の関係に視点をおき丁寧な研究を積み上げているのには感服した。貞明皇后との関係についての独自の見解も興味深い。
 だが、天皇研究にエネルギーを注入している割には、著者の天皇の本質に関する理解がひどく浅薄で、ステレオタイプな戦後民主主義教育的理解の範囲を脱していないことを知って失望した。著者は繰り返し、天皇の祈りは皇祖皇宗への祈りを国民のための祈りより優先していると非難し、天皇の三種の神器への拘りに嫌悪感を露にする。この著者は、天皇は国民に選挙されて就任する大統領でもなければ、武力で国民を征服支配する国王でもないと言うことに、どの程度思慮を廻らせているのだろうか?
 天皇が天皇であることのアイデンティティは、何よりも「神」に連なる存在であることに存するのであり、それはローマ法王のアイデンティティが「神に連なること」にあるのと同じだ。「日本国の象徴」というのも、天皇の神と皇祖皇宗への連なりに国民が特別な価値を認めるから象徴たり得るのだということを、著者は理解しない。他のレビューアーの方も指摘しているが、皇祖皇宗への祈りが、同時に天皇の存在を含めた国と国民全体を包括する概念だと言う理解が欠けている。
 天皇にとっての祭祀の意義を否定し、皇祖皇宗への祈りを市井のご先祖様への祈りと同列に見なすのなら、天皇家は国民にとって特別の意味は持たない唯のセレブファミリーに過ぎなくなり、そんなものはこの国には無用の長物だという論理を生んでしまうだろう。
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