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占領と改革―シリーズ日本近現代史〈7〉 (岩波新書)
 
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占領と改革―シリーズ日本近現代史〈7〉 (岩波新書) (新書)

by 雨宮 昭一 (著)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

新憲法の制定、婦人参政権、教育の民主化、農地改革、財閥解体など一連の戦後改革は、占領政策によるものとされてきたが、本当にそうなのだろうか。改革の原点は占領政策ではなく、総力戦時代の社会から継承したものの中にあった。占領開始から五五年体制成立までの戦後一〇年を斬新な視点で描きだす。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

雨宮 昭一
1944年山梨県に生まれる。1973年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。茨城大学教授を経て、獨協大学法学部教授。専攻は政治学、日本政治外交史、地域政治論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 新書: 206 pages
  • Publisher: 岩波書店 (2008/01)
  • ISBN-10: 4004310482
  • ISBN-13: 978-4004310488
  • Release Date: 2008/01
  • Product Dimensions: 6.8 x 4.1 x 0.7 inches
  • Average Customer Review: 3.9 out of 5 stars  See all reviews (11 customer reviews)
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15 of 21 people found the following review helpful:
3.0 out of 5 stars 歴史の語りを通じて現代的問題に切り込もうとする姿勢は素晴らしいのだけど・・・, 2008/2/17
By 小僧 (東京都小平市) - See all my reviews
戦後改革には、米国の占領改革以前に、戦前戦時の総力戦体制中にこそ改革の契機があった。米国による改革をサクセスストーリーとして語る既存の占領史研究を相対化するためには、総力戦体制下での敗戦による変革と、占領による改革とを区別する必要がある。そのような問題意識から描き出される本書は、総力戦体制論を引き継ぎ、戦時・戦後の連続性を強調するものである。

だが、「占領がなくても戦後改革は行われた」という、占領改革ではなく総力戦体制下の改革こそが重要であったいう二項対立的な語りには若干疑問を禁じえない。確かにGHQ改革が存在しなかったとしても、戦前戦時に芽吹いた改革志向は何らかの形で結実することになったであろう。だが、戦後に噴出する組合運動や女性運動の盛り上がりの起源が戦時に求められるとしても、例えばGHQによる内務省の解体と言論の自由の保障がなかったならばそれらの運動は相当に制約を受けたものとなっただろう。結果、権力とのせめぎ合いの中で、運動の成果はかなり妥協を強いられたものとなったかもしれない。戦時の改革に起源があるのはもちろんだが、それでもGHQ改革の意義を否定することはできないのではないだろうか。戦時に出現した改革の原点が、GHQ改革によって促進された面は否定できないように思われる。

また、著者は、戦争の結果に対して天皇に責任を取らせなかったことにも、「無条件降伏モデル」のもたらす自立した単位のあり方の根本的な否定があるとし、吉田裕『昭和天皇の終戦史』を引用しつつ、天皇やその側近には戦争責任をとる意思があったにも拘らず、米国によって阻止され、主体的に責任を果たすことができなかったのだという。著者は「天皇自身やリーダーたちの見解は、責任を取る主体的条件が十分存在していたことを示している」というのである。
だが、吉田の研究の示すものは必ずしもそうではないはずだ。近衛や木戸、そして宮家からは天皇退位論が噴出する一方で、当の天皇自身や側近、その他の重臣達には退位の意思は毛頭なかった。吉田の研究は、天皇とその周辺が退位を阻止するためにいかに蠢動したかを明らかにするものであった。ことは米国だけの責任ではないように思う。

本書は、刺激的な主張を多々行っている野心的な研究といえるが、本書の提示する歴史像を確立するためにはまだまだ検討の余地があるだろう。本書をあくまでも叩き台として、その他多くの研究とつき合わせることで「戦後」の起源を考えたい。


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11 of 16 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 総力戦体制に戦後改革の原点を探る, 2008/2/2
歴史や過去について[if]をもちだし、現実とは異なったであろう過程を推理して歴史の可能性を探求することはつきものである。著者はまず、敗戦後の日本において、アメリカの占領政策がなければ現在のような自由や権利が保障された民主的な日本になりえなかったという一種の「自虐史観」を、アメリカが都合よく意図的につくりあげた「無条件降伏のサクセスストーリー」とよんで不快だと言い批判している。このサクセスストーリーが冷戦後のアメリカの覇権を正当化する材料に使われてしまうのであると。よって、たとえアメリカが直接に占領政策を実施しなくても、日本人が自力で似たような戦後改革を成しえたのではないかという[if]の可能性を探る歴史的思考を提唱して、戦争末期の総力戦と戦後体制に説得力のあるつながりを見出している。

戦時中の政治家は、決して右翼的国粋的な一枚岩ではなく、「国防国家派」「社会国民主義派」「自由主義派」「反動派」の四つの体制が存在していた。そして総力戦体制により、社会の平等化、近代化が進んだが、その流れを批判していた自由主義派が、東条が首相を辞任した後に力をもち、敗戦後も主流派になる。また、実は戦後改革の大きな柱であった女性参政権、農地改革、労働者の地位向上といった協同主義的なものもこの総力戦に構想があって、起源としてさかのぼれる。軍国主義教育も、満州事変より強化されたのであり、戦後は占領軍の改革によらずとも、以前の平常時に復帰したのではないかという。このように占領軍による改革、または戦前、戦後という断絶した枠を使わなくても、戦時中から戦後改革につながる源流をみてとれるというわけである。
ただ、昭和天皇がいわゆる「人間宣言」においてもちだした五箇条のご誓文は、現御神ではなかった明治天皇や大正天皇像に帰するためというよりか、低下していた自らの権威を再び世に示し地位を正当化するためだと思われる。

著者の論を進めてみるといくつか疑問が浮かび上がる。それは、占領軍が行った武装解除と公職追放がなくても、自発的に敗戦の責任を負う者がどれほど現れたのか、占領軍の権威がなくてもスムーズに政治家が社会を改革できたのか、国民はどの程度改革の支持にまわったのかといったという疑問。それは自ら戦争をどう総括するのかにつながるものである。しかし著者の主張するように、「日本の専制・封建主義」対「アメリカの自由主義」という従来の枠からの脱却は確かに必要であると思った。そしてそれは、日本国憲法、五十五年体制、冷戦後の日本の政治に対して複数の角度から迫れる視点を与えてくれるものでもあると思う。
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9 of 13 people found the following review helpful:
2.0 out of 5 stars 改革における外圧の必要, 2008/4/19
 一連の戦後改革はすべて占領政策によるものである、占領以前と以後で政策は180度の転換を
遂げた、とする旧来の歴史観に異議を申し立てるべく書かれた一冊。

 著者の主張に一定の妥当性があろうことは認める。下部構造が上部構造を規定する、では
ないが、戦前から既に婦人解放やらの改革の萌芽が存在したであろうことは理解できるし、
また人間の思考が一夜にして反転することの異常を思えば、知的な土台はある程度形成されて
いた、とみるのがむしろ通常の感性とさえ言えるだろう。事実、戦前の日本にも吉田、幣原、
浜口といった人物は既にいたわけだ。
 とはいえ、そもそも新書に厳密な裏づけを要求しうるのか、という問題があるにしても、
この書が歴史議論に寄与するほどの何かを達成したとはとても思えない。まず、天皇の問題、
軍部の問題についての論証が絶対的に不足している。この点を避けて政策の内的一貫性を
語ろうとしても、そこに説得力が生じて来ようはずもない。たとえ占領軍の存在がなくとも
改革の多くは実現されていたことをこの一冊によって証明したとは到底受け取れない。

 読みながらふと頭を過ぎったことがある。それは日産をめぐるカルロス・ゴーン革命。
 日産の旧経営陣に言わせれば、ゴーンの登場以前から、リストラを筆頭とした各種の改革の
必要性、必然性は理解していたというし、また、彼が実際に行った施策も、事前に彼らが予想
していたものを上回るものではなかった、とも聞く。
 しかし、だからといって、そのことは古株連中によって改革が果たされたその可能性を
証するものではない。否むしろ、ゴーンの手法の蓋然性、妥当性を証明するに過ぎない。
 アウトサイダーゆえにこそ、なしうることがある。

 同様のことが、戦争前後の日本においても言える。
 種々のセットアップは整っていた、そのことは必ずしも占領軍を抜きにした改革の可能性を
証するものではない。否むしろ、占領軍の政策の蓋然性、妥当性を証明するに過ぎない。

 この本はむしろ、ひどく不完全ではあるが、改革における外圧の必要性を説いた一冊、と
私は読んでしまったが、いかがだろうか。
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