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悪について (岩波新書)
 
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悪について (岩波新書) (新書)

中島 義道 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

残虐な事件が起こるたび、その“悪”をめぐる評論が喧しい。しかし、“悪”を指弾する人々自身は、“悪”とはまったく無縁なのだろうか。そもそも人間にとって“悪”とは何なのか。人間の欲望をとことん見据え、この問題に取り組んだのがカントだった。本書では、さまざまな文学作品や宗教書の事例を引きつつ、カント倫理学を“悪”の側面から読み解く。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中島 義道
1946年福岡県生まれ。1977年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1983年ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 カント倫理学 最良の入門書, 2005/3/24
 カント倫理学最良の入門書である。「厳格主義」として知られるカントの倫理学を、いわば、「裏側から」かつ体系的に説明してくれている。
 特に、第2章「自己愛」は圧巻である。ここで著者は、カントの『人間学』の冒頭で「エゴイズムについて」というテーマを扱っていることを述べ、カントが『純粋理性批判』だの『実践理性批判』だのといった著書名から連想されるような「理性的な」人間像をもっていたわけではないことを説明する。むしろカントは、人間がいかに自己愛=エゴイズムに支配され、抜け切れず、もがいて生きていかなければならないか、人間のなまのどろどろした部分をよく観察していた、ということであろう。
 「人間が『私』という言葉によってみずからを語り始める日から、彼はその愛する自己を許される限り押し出し、エゴイズムはとどまるところなく前進する。それは、あからさまにではなく(なぜなら、あからさまだと他人のエゴイズムと対立するから)、一見自己否定的であり謙虚を装うことによって、いっそう確実に他人の判断において自己に卓越した価値を与えるために、身を隠して前進するのである。」(『人間学』)
 また、個人的な感想としては、著者のこの語り口にも共感を覚えた。
「人間は、自ら完全になろうとして刻苦精励し、他人の幸福を望み、他人に親切にすればするほど、必然的に悪に陥る。・・・悪はすべての『善くあろう』という意志の中に溶け込み、社会を『善くしよう』という欲求の中に紛れ込む。・・・われわれは『善くあろう』ということを完全に放棄して、魯鈍な羊の群れに戻ることもできない。まさに出口なしである。われわれは(どんな極悪人も、どんな聖者のような人も)『道徳の学校』の落第生でありいくら努力しても優等生になれないのだ」
 著者(およびカント)と共に言えば、われわれは、この人間にすまう「悪」を真摯にうけとめ悩み苦しんで生きるほかなさそうだ。これこそが「よくいきる」ことにほかならないのかも知れない。
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 良書である, 2006/1/2
もし読者が一般的に悪とされる行為が何かを明確にしたいと思っているなら注意が必要である。
カントはこれについて定義していない。定義できないのだ。
一般的に悪とされる行為よりも高次元な悪についてカントは考える。
カントは人間の行為を4つに分け、
その行為のうち道徳的に善い行為を定義することで、逆に悪を定義する。
その要因とはなにか?
それは行為の動機にあるとカントは言う。
例えそれが人を助ける行為であったとしても、その動機によっては悪になるのだ。
そしてその悪はどうして、どこから生まれるのか?
さらに人間はその悪を断ち切ることができるのか?
カントは人間の社会構造からその答えを導き出す。

本書は終始論理的に話が進められる。
それなりに難易度は高いが著者によってわかりやすくなっている。
考えさせられる本の中では非常に良い本である。
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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「悪」概念の相対化の導入として, 2005/4/1
 今日では肉親殺し・幼児虐待、あるいは青少年犯罪などの社会的諸問題の報道を耳にすることが多い。そのような報道とあいまって、われわれは漠然とした「悪」概念を、「善」である自らの行動・行為と対置されるものとして想定し、議論または意見することが日常の中で多いのではないだろうか。
 しかしながら、このように頻繁に用いられるこの「悪」という概念、何をもって「悪」というのか、その定義は容易ではない。もちろん、多くの抽象的概念の定義が難しいことは言わずもがなではある。しかしながらこの「悪」という概念は、その響きそのものの持つネガティブな潜在的特質のために、他の概念に比べいっそう使用に注意を払わなければならないだろう。
 本書ではカント倫理学の「根本悪」の概念を手がかりとし、「悪」概念を再考すると同時にその思想を分かりやすく紹介している。一般的に哲学書の多くでは、抽象的思弁が議論の中で拡散しがちである。その点本書は、難解なカント倫理学を「悪」という焦点のみに絞ることにより、議論の脱線をすることなく一本の理解の道筋が提供できるよう配慮されている。ドストエフスキーをはじめとする文学作品等から諸例を引用することにより、読者の理解をなんとか導こうとする筆者の工夫も見受けられる。
 だが、いかに分かりやすく議論が運ばれているとはいえ、カントの思想を私はほとんどといってよいほど理解できていないことは否めないだろう。しかしながら本書の内容構成から、少なくともカントがいかに「悪」という概念を考えていたかを漠然とではあるが理解することはできたように思う。「悪」とは「善」であると思い込んでいる人々にこそ存在しており、われわれとまったく無縁のものではないのである。
 総じて、決して平易ではないものの、筆者の助けのもとで「悪」概念の相対化を行うことができる良書である。 
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5つ星のうち 3.0 途中までいいんだけど
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