日経ビジネス
日本語を話せますかと尋ねられて、「どうも苦手で」と頭をかく人はいないだろう。だが、あなたは日本語を正確に使いこなせますかと聞かれたとき、即座に「はい」と答える自信がある人もおそらく少ないはずだ。
たとえば、「うれしい」と「よろこばしい」とはどこが違うのか。「わあ、うれしい」とは叫んでも、「わあ、よろこばしい」とは言わない。それは「うれしい」が個人の期待や願望がかなったときに使う言葉であるのに対し、「よろこばしい」は社会的におめでたい事柄を祝う気持ちを表す言葉だからだ。
日本語学者として知られる著者は、このような問題とその解答を織りまぜながら、読者に日本語の奥の深さや面白さを再発見させてくれる。学生時代に国文法が苦手だった人も、「こうやって教えてもらっていたら、もっと日本語を理解できたのに」と悔しがるかもしれない。
問いは全部で45題、全問正解で250点満点だ。あなたは何点取る自信がありますか――。
(日経ビジネス1999/3/8号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
メタローグ
販売実績160万部超というこの本、日本人の受験勉強大好き民族ぶりを図らずも露呈させた。〈思う〉と〈考える〉、まずこのニュアンスの似た言葉の違いを考えよう、という問題が設けられ、その答えと解説、さらに次の問題と続いて、巻末には配点表と得点別評価まで―これは誰がどう見ても受験参考書でしょう。〈今の言葉使いはなっていない〉、という高齢者のぼやき的スタンスではなく、あくまで思考の道具としての言葉の使い方にこだわっているのも、ものわかりのいい先生風でポイントが高い。え、子供が危ない? 学級崩壊? みんながこっそり好きだった受験勉強を骨抜きにしちゃったからです。偏差値復活させましょう。(守屋淳)
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