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ヒロシマ・ノート (岩波新書)
 
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ヒロシマ・ノート (岩波新書) (新書)

大江 健三郎 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

広島の悲劇は過去のものではない。一九六三年夏、現地を訪れた著者の見たものは、十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの“悲惨と威厳”に満ちた姿であり医師たちの献身であった。著者と広島とのかかわりは深まり、その報告は人々の胸を打つ。平和の思想の人間的基盤を明らかにし、現代という時代に対決する告発の書。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大江 健三郎
1935年、愛媛県に生まれる。1959年、東京大学文学部フランス文学科卒業。現在、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 人類の忘れてならない悲劇を重々しく綴る, 2001/8/31
By tttabata (大阪府堺市) - レビューをすべて見る
 これは、原爆投下18年後の1963年8月、著者が初めて広島を訪れ、第九回原水禁世界大会を取材したときの見聞に始まり、1965年、原爆被災体験資料収集・出版事業に対し知識人の協力を呼びかけるに至るまでの、広島にかかわる重いエッセイである。第九回大会前日、原爆病院前で平和行進の人々に向かい、患者代表の小柄な男が蚊のなくような声で演説し、「世界大会の成功を信じます」と結んだ。しかし、大会は「いかなる国…」の問題等のため、開催の手続きが難航し、結局、日本原水協でなく、広島原水協の手で開催された。翌年の大会が分裂した形で開かれたとき、前年の患者代表は、すでに死亡者リストの中に入っていた。核兵器のもたらす暗闇が彼の望みに反して続いていることは、彼の死を償いがたいものにしたと著者は記す。「人間の威厳」をもって患者の治療に専心する原爆病院長。被爆した青年の2年間の白血病休止期間に彼と婚約し、彼の死後、後追い自殺をした戦後生れの娘。等々。著者は原爆をめぐる多数の人々の感動的な、あるいはまた、悲惨きわまりない実例を、彼独特の知性あふれる、いささか硬い文体で描く。読者は始めのうち、その硬さが本書を取りつきにくくしているように思うかもしれないが、読み進むにしたがい、人類が忘れてはならないヒロシマの悲劇の記述に、この荘重な文体はいかにもふさわしいと思えてくるであろう。著者は、原爆投下を決定したアメリカ人たちの心のどこかに、回復・復興への人間的な力を信頼するヒューマニズムがあったのではないか、ということを、修辞的にせよ述べている。確かに、被爆の苦しみと闘う人々には、極限状況での人間の力が見出されはするが、原爆投下の決定は、どのようなヒューマニズムとも相いれないであろう。しかし、これは本書の中のきわめて些細な疑問点にすぎず、本書が世界中のできるだけ多くの人々に読まれることを、評者は願わずにいられない。
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36 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 時代と国境を超えて, 2007/5/13
By Tochitli (埼玉県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
戦後60年。戦争の記憶を持つものも少なくなり、もはや戦争は遠い歴史の一部と化している。そして憲法改正が声高らかに叫ばれている中この本を手にとって見た。
当書が書かれたのは昭和33年、原爆投下から10年少しの時代である。その当時と今の広島、そして国民の考え方には大きな差がある。
しかしここに書かれている記述は心を打つ。
広島で被爆した人が当時どんな思いで生活をしていたか、被爆者がかかえた十字架とは、そして被爆者とは認定される事なく突然は発病し命を落とした沖縄の人たち、
著者がこの本を書いた時代から今は大きく環境も変わっている。しかし、この本は当時の貴重な資料として多くの世代や国境を越えて読み次がれていくであろう。
多くの人に読んで欲しいと思う。
そして、戦争の悲しさの一片が胸にとげのように突き刺さってしばらくの間ぬけなかった・・・
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65 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 改めて著者を見直す一冊。, 2005/6/28
By 聖跡桜ケ丘 - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
著者の纏う「左翼的知識人の衣装を纏った権威主義者」等の不穏な噂は、過去の全盛期より枚挙に暇がない.車谷長吉氏もそのエッセイにて出版社勤務時代、著者に原稿依頼したところ「僕は大出版社としか仕事をしない」と門前払いを食らった、ノーベル文学賞授与の為、スエーデン大使館パーティへの妻同伴での日参等々...。確かに「文学者としての誠意と生活人のギャップ」はどんな芸術家であろうとも存在し、清濁併せ呑む現実は如何ともしがたいだろう。それらを大幅に差し引いても、本書にはキナ臭い現実に取り巻かれた今後の日本にまだ価値を持つ.本書の中で著者の愛情と優れた頭脳が示された被爆者への秀逸な洞察がある「政治力学の中で原爆が廃止されたとしても、いまだケロイドを恥じ、外出もできない被爆者の尊厳回復には一切の寄与はない.その道は、彼等の体の傷跡そのものが『原爆廃絶と戦争を止めるもの』としての機能を果たし、意義ある自分という存在になることで初めて回復可能となる」~湾岸戦争時,浅田彰氏の発言があった「非戦を唱える存在として日本には最大の説得力がある.それは唯一の核被爆国という事だ」~他人(国家)とは自分の利益の為に外交を行い、その際には軍事の利用も厭わない.それは歴史が証明する定理でもある.しかし、戦中派の方々が老齢を向え次々と亡くなる中、傷つけられた痛みの記憶を持たず、自分のナルシスティックなアイデンティティ担保として「戦争肯定」を雄々しく唱えている人々は国内外通した踏みにじられた者への想像力や感受性を充分持ちえているのか...?私は右派・左派いずれでもないが、そこだけは決して忘れたくない。
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