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実践理性批判 (岩波文庫)
 
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実践理性批判 (岩波文庫) (文庫)

by カント (著), 波多野 精一 (翻訳)
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Product Details

  • 文庫: 373 pages
  • Publisher: 岩波書店 (1979/01)
  • ISBN-10: 400336256X
  • ISBN-13: 978-4003362563
  • Release Date: 1979/01
  • Product Dimensions: 5.8 x 4.2 x 0.6 inches
  • Average Customer Review: 4.6 out of 5 stars  See all reviews (5 customer reviews)
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74 of 83 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 不朽の名著, 2002/3/25
By A Customer
カントのいわゆる「三大批判書」(『純粋理性批判』『実践理性批判』および『判断力批判』)は、哲学史上にその名を知らしめた名著であると同時に、極めて難解な構造を持っていることでも有名である。本書について、ただ文字を追って頭の中で整理しながら完璧に主旨を把握できる人がもしいるのなら、私は諸手を挙げてその明晰な頭脳に対して敬意を表したい。私はそんな人間ではないし、事実私は本書を読み進める(解読する)ために、蛍光ペンと鉛筆を片時なりとも離さなかったくらいである。後にも先にも、このような経験はカントの著作に取り掛かってから初めて味わったものであった。

以上のようなこともあって、本書を手にする前に、あらかじめ手頃なカント入門の本を最低一冊は読んでおくことをお勧めしたい。

内容理解のためにもう少し付け加えておくと、本書は本論の最初の部分においてまず大まかな結論がなされていると言える。つまり、読んでいくにしたがってその理論の正しさが証明されていくというスタイルで書かれているのである(『純粋理性批判』はまさにこの逆のやり方で書かれている)。このことは結局のところ、一番始めで最もつまづきやすいが、そこを超えれば比較的楽に読み進められるということを意味している。

『純粋理性批判』の対象が「形而上学」であるならば、『実践理性批判』は「道徳・倫理」の書であると言える。道徳観に焦点が当たる限り、本書は不朽の名著としてこれからもその光彩を放っていくことだろう。

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2 of 2 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 第二批判…如何に生きるべきか, 2009/4/23
 「純粋理性批判」から7年後に発表された著作。前作が、考えることによってどんなことでも知りえるという独断論、考えることによっては確実なことは知りえないという懐疑論を共に斥け、考えることによって知りえることはどんなことかという批判哲学を打ち出して、思弁による限界設定を成し遂げた、ということが、この「実践理性批判」が表された理由に直結しているのだと思う。

 前作では、知性を統御し活性化する理性に一定の限界を付していた。知ることのできないことは結局知っているようにはいえないということ。それが「純粋理性批判」の成し遂げた歴史的功績でもあるのだが、一方では、理性のなしえることに限界があるということを明らかにしたことによって、「考える」という行為だけでは到達できない境地があることも明らかにした。本書では、前作で制限を付された理性に対する更なる擁護という性格がある。

 本作では前作で取り上げた理性の側面を「純粋理論理性」とするのに対して、ここでの考察の対象を「純粋実践理性」とする。それが関わるのは、人は如何に生きるべきか、という問題で、そのつながりで道徳性の詳しい分析がなされる。

 前作が「世界はどのようなものか」という問いに答えるための説明原理の限界を設定したのに対して、本作では「自分はどんな風に生きるべきか」という問いに答えるための原理を探求する。前者と後者を分けるのは、理性に意志が関わるかどうかで、後者の場合に人間の持つことのできる「自由意志」が理性に機能することによって、前作で制限を付されていた理論理性は解放される。理論理性では不死・自由・神の実在性は証明できないが、それらは道徳性の原則に基づく実践理性によって実在性を確信でき、各人はそれらにより近づこうとすることでより確信を持って生きていけるようになる。

 ここでの自由意志は、自然界の原因ー結果の連鎖とは別に何事かを始めることのできることを指していて、ここでは、快不快の原則に基づいた無数の傾向性から独立して道徳性を志向できる基として重要視されている。

 快不快に基づく傾向性が常に異なる他者基準で動くために安定性をもてないのに対し、尊敬や義務に基づく道徳性は一定の基準の下にあるために心の安定性をもてること、自らをより高めようという動機を各人に与え、理論理性に確信を与える実践理性の仕組みが展開していく。

 読み終えてみると、自分がどれだけ道徳性というものを取り違えていたか、あるいはそんなことを考えずにいたかを気づかされる。ここで説かれているのは自分をより強くするための原理としての道徳性であって、他の人を抑圧するための説教ではない。その意味で、ここで解明されていることは読者に個人的に効いてくるのだと思う。

 カント本人について言えば、家庭教師に8年間、私講師に15年間と、身分的には不遇の時期が続いたにもかかわらず考え続けることを捨てなかったのは、目指す目標自体が考え続けることと結びついていたことと、目標のための優先順位が出世よりも考え続けることのほうが上だったからだろう。忘れられがちなことだが、目標が違えば優先順位のつけ方自体が変わるし、本来すべての人が同じ優先順位を持つことはあり得ない。ここでも、快不快原則に基づく生き方と、道徳性原則に基づく生き方とは、優先するものが違うことが示されている。

 どんな著作でもそうだが、これは特に読み手の問題意識とシンクロするかどうかで理解のし易さや効き方がだいぶ違ってくる一冊だと思う。
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10 of 18 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars カントが示した道徳原理は素晴らしいと思う。がしかし、今一つ腑に落ちない, 2006/9/4
 この本に書かれている結論を一言で言ってみると大体次のようになると思う。人間の理性は、世界の果てや始まりや究極の構成要素が何であるのかということを追求して止まないのと同じ様に、究極の善(最高善)とは何であるのかということを求めて止まない。だが、この世界においては、善を為すことと幸福を求めることという人間の行為(徳と福)は一致しないかのように見えるから、最高善も存在しないし、道徳自体も意味を持たなくなるかのように見える。しかし、人間というものは、善悪とは何であるかを先験的に知っているし、行為の原因性としての究極の自由と、世界の根源的原因性としての神の存在を想定しさえすれば、最高善は可能となり、意志を規定する道徳法則も成立する。
 そこまではカントが何を言おうとしていたのか、なんとか分かったつもりになれたのだが、問題はどうしてそう言えるのか、というところ。あの素晴らしい、『純粋理性批判』で展開したやり方で、道徳論を展開しているのだが、そのようなカントの説明は小生をして今一歩腑に落としてくれない。腑に落ちるには、視点の変更が必要なように思えた。だが、そのことはいささかもカントに対する敬愛の念を損ねるものではない。
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