メタローグ
「粋なお方」とは、今日風に言えば、さしずめ「クールなやつ」のことである。しかし、こんな風俗めいた言葉を、それまでの日本の哲学がまともに取り上げることは、およそ考えられなかった。日本では、「善の研究」(西田幾多郎)をはじめ「人生いかに生きるべきか」の問いに向き合った哲学が王道だったからだ。だが、「(いきの表現は)うすものを身に纏うことである」といった言葉が平気で飛び出す本書の面白さは、まさに無類である。「いき」の特性は、異性に対する「媚態」であり、江戸者の「意気地」であり、執着のない「諦め」である。畳みかけるような分析の切れも、書名同様、垢抜けしている。(宮川匡司)
『ことし読む本いち押しガイド2000』 Copyright© メタローグ. All rights reserved.
内容(「BOOK」データベースより)
日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは何か。「運命によって“諦め”を得た“媚態”が“意気地”の自由に生きるのが“いき”である」―九鬼(1888‐1941)は「いき」の現象をその構造と表現から明快に把えてみせたあと、こう結論する。再評価の気運高い表題作に加え『風流に関する一考察』『情緒の系図』を併収。