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デミアン (岩波文庫)
 
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デミアン (岩波文庫) (文庫)

by ヘルマン ヘッセ (著), Hermann Hesse (原著), 実吉 捷郎 (翻訳)
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 「デミアン」は、語り手の青年ジンクレエルの自己探求の物語だ。

   父母のちいさな「正しい世界」の外側をかいま見る少年時代、既成の価値観を受容できずに荒れ、自分の感性をたよりに理想を追い求め、時には人、とりわけ自分を傷つけながらも自分の内面を見詰め直す青年時代。そして、ついにありのままでかけがえのない自己をみいだしたときに体全体にみなぎるパワーと歓喜。少年期のにおいたつような追憶、嵐のような青年期の放蕩と混乱、霊的な初恋などの描写はヘッセ独特の叙情的なもの。実吉氏の典雅な訳文がひかる。

   さらに、この作品は隠れた真実や無意識の願望の「謎かけ」や「暗示」に満ちていて、読者を否応なく引きつける。ヘッセは作品発表当時まだ目新しいものであった心理学の手法をよく咀嚼(そしゃく)し取り入れている。

   既成価値や世間への違和感、自分は特別な存在であるという自意識、一方で密かに自分をさいなむ劣等感や罪悪感。人生の混迷期を乗り越えたヘッセが、この普遍的な青年の内面を渾身の力をこめて掘り下げるとき、読者はゆさぶられるような衝撃と共感を覚えるだろう。

   心理学的な「解釈」をするなら、超自然的な雰囲気をたたえ、ジンクレエルを導く謎の青年デミアンはジンクレエルのアルター・エゴ(alter ego)であろうし、結末でジンクレエルが瀕死に陥るのはデミアン=分身との同一化を果たし、本来の自己として再生するためのいわば必然的なプロセスでなのであろう。

   しかし、自分の中に静かに脈動する生命力が「本来の自己」という形を得たとき、人はこのいのちという奇跡を、何も恐れることなく十二分に「生ききる」パワーを得るのだ、というメッセージは、余分な知識なしでも十分受けとめられる。自己探求のさなかにある「青年」に、何度も読み返してほしい1冊である。(小野ヒデコ)

内容(「BOOK」データベースより)

デミアンは、夢想的でありながら現実的な意志をいだき、輝く星のような霊気と秘めた生気とをもっている謎めいた青年像である。「人間の使命はおのれにもどることだ」という命題を展開したこの小説は、第1次大戦直後の精神の危機を脱したヘッセ(1877‐1962)が、世界とおのれ自身の転換期にうちたてたみごとな記念碑ともいうべき作品である。

Product Details

  • 文庫: 227 pages
  • Publisher: 岩波書店 (1959/01)
  • ISBN-10: 4003243552
  • ISBN-13: 978-4003243558
  • Release Date: 1959/01
  • Product Dimensions: 5.8 x 4.2 x 0.6 inches
  • Average Customer Review: 4.9 out of 5 stars  See all reviews (13 customer reviews)
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14 of 14 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars デミアン, 2004/4/3
デミアンに恋してしまいました。青年に独特の硬質な精神と憧れを持ちながら、老成した洞察心や包容力を兼ね備えた不思議で魅力的な人物像です。人間の内面の複雑さ、「生きる」ということの重み、そして自分が自分らしく生きていくことの意味…。ドイツ文学を代表するヘッセの精神的体験から紡ぎ出された、真摯で美しい作品です。日常生活を送る中で日々の雑事にまぎれて忘れ去られてしまいがちな、自分自身を見つめる時間を持つことができます。自分の本質を探るきっかけとなるかもしれません。小説としてのおもしろさに加えて哲学的な要素も多分に含む、私の一押しの文学作品です。
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8 of 8 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars "しるし"とは?, 2006/6/25
By MK "MK" (japan) - See all my reviews
大人になればまったくどうでもいいような小さな嘘がおおきな恐怖心へ。
ガラスのような感受性に入り込む悪意は、少年の悲しいほど狭い世界を一変させてしまう。怯えきった心に差し伸べられる救い、デミアン。
友情とも師弟とも異なる関係、遥か遠くでもあり誰よりも自分の近くに在り続ける存在。その絶対的な何かに心を奪われていく少年。
"しるし"とはなにか?
政治的でもなく、宗教的でもない。それは人間の心の奥底にある心理、あるいは真理なのか。
この小説を読んだ者の心の奥深くにある"しるし"により、それも又、さまざまだろう。
それはまるで、読者にとって鏡のように映し出すものなのかもしれない。
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13 of 15 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 心の中。深く。, 2005/6/11
By わたし。 (福島県。) - See all my reviews
中学生のとき、初めて手にとったヘッセの小説がこれである。
その時受けた衝撃といったら…高校入試の面接試験で、この小説について熱く語ったほどである。
その後、ヘッセの代表作品を読んでみたが、この作品ほど内的で、深くて、重い作品はないのではないだろうか?
その深化の流れに乗って、自分という存在をもう一度見つめなおす機会をあたえてくれる、貴重な一冊である。
ちなみにこの作品が好きな方は、「荒野の狼」も読んではいかがだろうか。
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