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蒲団・一兵卒 (岩波文庫)
 
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蒲団・一兵卒 (岩波文庫) (文庫)

田山 花袋 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

家庭があり知識も分別もある,世間に名を知られた中年の作家の女弟子への恋情―花袋(1871-1930)が,主人公の内面を赤裸々に暴き立て,作者自身の懺悔録として文壇に大きな衝撃を与えた,日本自然主義文学の代表作.日露戦争の最中ひっそり死んでゆく哀れな一兵卒を描いて読む者の胸をうつ小品「一兵卒」を併収.(解説=相馬庸郎)


内容(「BOOK」データベースより)

家庭があり知識も分別もある、世間に名を知られた中年の作家の女弟子への恋情―花袋は、主人公の内面を赤裸々に暴き立て、作者自身の懺悔録として文壇に大きな衝撃を与えた、日本自然主義文学の代表作。日露戦争の最中ひっそりと死んでゆく哀れな一兵卒を描いて読む者の胸をうつ小品「一兵卒」を併収。

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5つ星のうち 5.0 先入観を持たずにまずは読むべし, 2009/5/8
By 麒麟児 (東京都) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
これまではテキストを読むこともなく、文学史に関する断片的な知識のみで『蒲団』(1907年発表)イコール自然主義/私小説イコール中年男(主人公である竹中時雄)の性欲描写みたいな図式を鵜呑みにしてきましたが、今回初めて一読、どうしてどうしてこれは中年男のプラトニック・ラヴを描いてある意味極めて直截かつ瑞々しい傑作であると感じ入りました。徳川時代の遺風として未だ男子(家長)としての体面や面子が重んじられていたであろう当時の日本社会において、これだけの心情暴露をなすというのは大いに勇気の要ったことでしょうし、そうした因習との対決的緊張感が全編に一本の「芯」を与えているようにも感じます。(即ち、テキストを読まずしてイメージだけで論ずることの無意味さに改めて気づかされました。)

「美しい顔というよりは表情のある顔」(20頁)
「これはつらい、けれどつらいのが人生だ!」(27頁)、
「どうせ、男に身を任せて汚れているのだ。このままこうして、男を京都に帰して、その弱点を利用して、自分の自由にしようかと思った。」(90頁)
「性慾と悲哀と絶望とが忽ち時雄の胸を襲った。時雄はその蒲団を敷き、夜着をかけ、冷めたい汚れた天鵞絨の襟に顔を埋めて泣いた。」(104頁)

併せて収録されている「一兵卒」(1908年発表)も脚気衝心で日露戦争の戦場に落命する一兵士の姿を描いて悲痛。この当時、このような反戦小説(と云ってもよいでしょう)が書かれていたことにもある意味驚かされました。
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10 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「恥ずかしさ」が魅力の「名作」, 2007/9/11
By 古本屋A (Japan) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
流石に時代の差がどうにもならず、シリアスに書いているつもりが、読むほうは笑ってしまうしかない、という作者には予想外の結果を生むことになっている。ただ決して馬鹿にしているのではなく、なんとなくかわいらしいというか、そんな感じだ。同じ頃、漱石の「三四郎」、鴎外の「青年」にしても、話の展開が下手なところはあると思うし、後の「暗夜行路」の冒頭の会話なんか、こそばゆいぐらい恥ずかしいから花袋だけではなく、時代的な制約だろう。「小説」を読めるようにするのは本当に大変だったのだなあと思う。でも、本書は、ひときは、笑ってしまう要素が多いのだ。著者の心根の良さから来るのか。どことなく滑稽で暢気な感じが良い。「小っ恥ずかしい」という恥ずかしさが漂うほどに、「正直」に心の中を吐露する。situationが恥ずかしい上に、そこにはまったように恥ずかしいことを吐露している作者のその文章に、つい、笑ってしまう。弟子の女にその気を持ってしまうが、冒険出来ずにいる自分をごまかしながら「先生」らしくしているうちに「彼氏」を作られ、苦悶して自棄酒を飲んで女房に当り散らしたり、こんなんだったら手篭めにすればよかった、と後になって考えたり、女弟子を実父に押し付け帰郷させる前日になって、性懲りもなく、捨てた気になってもう一度自分に預けてみないか、などと弟子の父に言う辺り、もう、勘弁してくれ、と言いたくなるぐらい恥ずかしくも楽しくなってしまう。書き方にしても、全然3年掛けの話には思えないところがびっくり。でも、文学史上は自然派の代表作とのことで、以降「内面」の吐露を軸にする私小説の元祖のような地位を占めているように思える。著者の人柄の良さみたいなのが伝わってきて、この人柄ゆえに、荷風、鴎外らに、学が無い、頭が良くない、などとどこか馬鹿にされていたらしいが、自分にとっては憎めない作家。「東京の三十年」もお勧めの「名作」。
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8 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 時代は流れたけれど, 2008/4/21
By @poor work - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
自然主義文学の嚆矢として、文学史上に名高い一作。
このたび久々に読み返してみました。

平成に入って本作を読んだ自分としては、正直特に新鮮なものなど感じず、
今となってはただ古臭いだけの内容かと思っていました。
しかし私もこの小説の主人公にだんだん年齢が近づいて来て見ると、
彼の秘めたる思いが身につまされるように迫ってくるのもまた事実。
社会的な立場もあり、常に大人の男を演じる必要のある毎日、
そんな中で私にもまた、この主人公と同じような鬱屈した思いがないとは言い切れません。

本作における厳格な貞操観や悲壮さなどは今となっては滑稽なほどですが、
しかしその秘密を思い、嫉妬と焦燥とに懊悩するその姿は、いつの時代にもある人間の姿かと思います。
そしてその感情の量が多ければ多いほど、その思いを深く封じてしまわざるを得ないのもまた同じ。
あまりにも有名なラスト、今よりはるかに社会的道徳の喧しかった時代に、
臆することなく全てを曝け出してしまった花袋の思い切りは、やはり凄まじいと言わざるを得ません。
今読めば古臭さを感じるのも確かですが、このひとごとでない切迫感は否定できません。
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