ピンクのばら色をしたちいさいおうちは丘の上に建っている。りんごの花がつぼみをつけることで春の訪れを知り、初雪が舞うことで冬の到来を感じていた。だが、町の明かりが遠くに見えはじめたのをきっかけに、ちいさいおうちの周辺もどんどんと変わっていく。まず道ができ、そこに自動車やトラックが走りだし、整備されて道路となった。やがて道路はあちこちに延び、背の高い家やアパート、お店、車庫なども次々と完成、ちいさいおうちを取り囲んでいく。
とうとう住んでいた人たちも引っ越してしまい、ちいさいおうちは町の真ん中でひとりぼっち。人工的な町の照明は明るすぎて、もはや太陽も月もわからない。ちいさいおうちは思う。「月あかりの中、かがやく白いヒナゲシのお花畑やりんごの木々がもう1度見たい」と。
ぽつんと取り残され、町の中で窮屈そうにしている古ぼけたちいさいおうち。その姿に子どもたちは胸を痛めることだろう。だが、女の人が現れて、ちいさいおうちを田舎に移してやり、そこで幸せに暮らすという結末にほっとするに違いない。低年齢の読者は、あらすじや挿絵を追うのに夢中かもしれない。だが、本書は都市化の弊害をさりげなく子どもに伝えた、忘れられない作品である。
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『英語ペラペラキッズ(だけにじゃもったいない)ブックス』 より
田舎の美しい風景に囲まれて建てられた1軒の家が、時代の変化を目の当たりにしながら強く生きてゆく。人間はそこに、車道を作り、家の周りを高い建物で囲い、都市開発は急激に進む。都会の暮らしは明るく騒々しいので、小さいおうちは居心地の悪さを感じる。丈夫に建築された小さいおうちは、その姿のまま、再び大きな呼吸ができる田舎に引越しをすることができたのだった。
日本語版『ちいさいおうち』の原書は、3人称の「she=彼女」で語られている。意志を貫いたひとりの女性の、一生の物語であるかのような本書は、世代を超え、60年以上も親しまれている。(か)
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