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獄中記 外務省の元主任分析官で、2002年に背任・偽計業務妨害で逮捕された著者が、512日間拘置された東京拘置所内で記した日記に加え、同僚や友人、弁護士らに綴った書簡を収録する。
初回公判まで接見等禁止措置が取られる中で、4畳の独房で紡いだ思索を克明に記す。著者は拘置所で、それまで「腰を据えてしたかったけれども、時間に追われてできなかった」ことに取り組んだ。神学や哲学の古典をじっくりと読み、ドイツ語やラテン語の勉強に励んだ。学術書を中心に約250冊を読破し、原稿用紙5000枚、大学ノート62冊のメモをまとめている。
著者は、自身や鈴木宗男衆院議員の逮捕は、小泉純一郎前首相が指揮した国策捜査以外の何物でもないと結論づける。社会制度を変えていくためには国策捜査が必要であり、両者は「公平配分モデル」から「傾斜配分モデル」へ、「国際協調主義」から「自国中心主義」へという小泉政権による国家路線の転換を推し進めるためのターゲットとなったと分析している。
「4島一括返還」論が主流の北方領土問題では、著者らは「2島返還」「2島先行返還」を掲げた私的外交を行ったと非難された。だが、それは事実誤認として拘置所内から反論した様子もうかがえる。
(日経ビジネス 2007/02/05 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
内容(「BOOK」データベースより)
二〇〇二年五月一四日―。佐藤優は、背任・偽計業務妨害という微罪容疑で逮捕され、五一二日間、東京拘置所に勾留された。接見禁止のカフカ的不条理のなか、外交官としての死を受け入れ、神との対話を続けながら世捨て人にならず、人を恨まず、嫉妬せず、裏切らず、責任転嫁をせず、転向もせず、人間としての尊厳を保ちながら、国家公務員として国益の最大化をはかるにはいかにすべきか?この難題に哲学的ともいうべき問いによって取り組んだ六二冊の獄中ノートの精華。狭い煉獄での日常に精神の自由を実感しながら、敵を愛する精神とユーモアを失わずに、人間についての思索を紡いだ日記と、新しい同僚や友人に国家再生の道を綴った書簡から成る。憂国の士が綴った国家への復命書にして、現代の日本が生んだ類まれな記録文学。