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愛のひだりがわ (単行本)

筒井 康隆 (著)
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商品の説明

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   月岡愛は小学6年生。幼いころに野良犬のダンにかまれ、左腕が自由に動かない。住み込み先の夫婦や同級生らからいじめられる毎日の愛は、母親の死をきっかけに行方不明の父親を探す決心をする。自分の左がわにダンの妻デンを従えて東京を目指す愛。殺人、銃の乱射、強盗といった暴力がはびこる世界を旅する愛は、家族にうとましがられているご隠居さんや夫の暴力に耐える志津恵さん、両親を暴走族に殺された歌子さんらと出会いながら、次々と事件に巻き込まれる。

   本書は、SFやブラックユーモアなど幅広いジャンルにわたる筒井作品の中で、『時をかける少女』や『わたしのグランパ』などの少年少女小説に分類される。リアリズムの文体を用いながらも、犬と会話する主人公や空色の髪の少年、母親の幽霊といった非現実的な設定をふんだんに取り入れ、ひとりの女の子の成長物語を感動的に紡ぎ出している。荒唐無稽な作り話に陥らずに、逆に現実世界の不条理を浮き立たせているのは、かねてから「マジック・リアリズム」や「メタフィクション」などの実験的な文学の方法を模索してきた筒井だからこそできる力技だ。

 「現実の鏡として虚構が存在した時代は終わっている」と語る筒井が挑戦しているのは「現実が模倣し得ぬ虚構」(筒井康隆編『方法の冒険 21世紀文学の創造 3』より)の構築だ。野犬の群れと暴走族を従えて父親に会いに行くクライマックスでの愛の姿は、私小説を主流とした日本文学の固定概念から軽やかに飛翔している。虚構の楽しさを凝縮した本書は、子どもたちには小説のおもしろさを、大人たちには小説のさらなる可能性を示してくれるに違いない。(中島正敏)



出版社/著者からの内容紹介

幼いとき犬にかまれて片腕が不自由な少女,月岡愛.母を亡くした愛は,行方不明の父をさがす旅に出る.大型犬のデンとダン,不思議な老人や同級生サトルに助けられながら,少女は危機をのりこえてゆく.プロットのうまさが光る書き下ろし.

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5つ星のうち 5.0 勇気凛々, 2005/9/13
By ヤマボー (千葉県) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
子供のころ「時をかける少女」を何度も読んだ私にとって、実に30年ぶりの筒井康隆のジュブナイル。

犬に噛まれたことが原因で左腕が不自由になった主人公が、行方不明の父を探しに旅に出るという物語。この少女、やっぱり超能力(?)を持っていて犬と会話することができる。さまざまな事件や障害を乗り越えて波乱万丈の旅をするのだが、彼女には不自由なひだりがわに寄り添う人や犬が必ず現れるのだ。

近未来なのだろう、世の中は荒廃し、暴力や事件が続発する中、彼女は勇気と元気、そしてなによりも「学びたい」という高い意欲を持ってまっすぐに生きる。

バラバラに思われた事件や人々が最後に収斂して、大団円。子供のころにだけ持つことが許されるものがあるのだとしたら、成長することで失うものもある。でも考えてみればそれは、もうひだりがわに誰かが寄り添ってくれなくても、立派にひとりで生きられるということなのかも知れない。最後の一行で涙、涙。

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23 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 円熟味を増した「実験小説」, 2002/3/29
 筒井康隆期待の最新作である。一時期、小説技法に流れていた作者が円熟味を増し、実験から実践へと変貌した感がある。「虚人たち」のような実験小説に興奮を覚えたのも事実であるが、筒井本人は昔から本作のようなジュブナイルを得意としたのも事実である。「時をかける少女」(原作「タイムトラベラー」)がそうであったように、少女から大人に変わる様をすがすがしく書く能力を著者は備えている。本書でも主人公が不遇な少女時代から抜け出し、一人の女性へと変わっていく様がマジックリアリズムの手法で描かれている。南米のナンセンス文学などにみられる手法を用いることで、少女時代の幻想性が際だつこととなり、手法が単なる実験ではなく、実践的に用いられている。むしろ読後には、この手法でなければ思春期の不条理さは描けないのではないかとさえ思ってしまう。我々が失った思春期の不思議を思い起こさせて、すがすがしい寂しさを感じさせてくれる作品であった。
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20 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 バランス, 2002/4/17
筒井康隆が岩波書店? と思ったら、ジュブナイルなのであった。

清潔感のある美しい文章。漢字にはある程度ルビがあるので、小学校高学年くらいから読めるだろう。だが、使ってある言葉は子供向けに手加減したものではない。

もっとも子供向けと思われるのは、主人公が美しく、賢く、やさしく強い心を持っている少女だという点。近未来の日本と思われる荒れ果てた社会の描写が、妙にリアルなのだが、主人公の持つ不思議な能力など、ファンタジックな部分とのバランスを欠いていないのはさすがである。

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5つ星のうち 3.0 面白い本です。しかし
とんちんかんなことを言っていたらごめんなさい。あのう、美人でもなければ頭がよいわけでもなく、人当たりが絶妙でもなければ要領が素晴らしいわけでもない人は、いかにし... 続きを読む
投稿日: 2006/7/11 投稿者: hajic

5つ星のうち 5.0 おとなも読みたい冒険小説
筒井康隆さんのジュヴナイルは定評があるが、中でもぜひ世の少年少女に
薦めたい作品。映像的で飽きさせず、読後感、非常に爽やか。映画化する
ならば…と自... 続きを読む
投稿日: 2002/4/6 投稿者: あのぴ

5つ星のうち 5.0 出版界への挑戦?
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