物質科学の世界から、境界を越えて生命科学の世界に入り込み、生命の神秘の解明に挑んだ著者による半生記。理科好きの少年だった著者が、国内外の著名な科学者らと親交を深めながら、文字通りフロンティア・スピリットを醸成させていった足跡が描かれている。
とりわけ示唆に富んでいるのは、装置によるDNA遺伝情報解析をいち早く提唱しながら、国際ヒトゲノム計画に6%しか貢献できなかった理由を分析したくだり。「日本の政策に先見性と国際性がなかった」ことと「日本の研究者社会にDNA解読の重要性に対する認識がなかった」ことを挙げ、政府には「世界のどこでも行われていない大プロジェクトを推進する勇気」を求め、研究者に対しては「学問に自分から壁を作ってしまう狭量さ」を指弾する。回顧録の枠を超えた主張に重みがある。
(日経バイオビジネス 2005/11/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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