本書のテーマは次の点に集約される。それはツールとしての電子メールで、自分の伝えたい情報をいかに「正確」かつ「簡潔」に相手に伝えるか、ということだ。「筆跡」という身体性が剥奪された電子テキストの交換によって成り立つメールは、速度と効率性が最優先されるメディアである。それゆえ、既存の文章表現術やライティング法をそのまま応用することはできない。たとえば、人間関係の機微が構造化されている敬語表現は、メール・コミュニケーションには不向きだ。
敬語がはらむ問題点の指摘に始まり、件名のつけ方のポイント、本文を書くための技術、指示や依頼をするときのコツ、箇条書きの効用、返信メールの書き方、記号や罫線の活用法、メーリングリストでの注意点など、実例を示しながらの解説はわかりやすく説得力がある。「eメール実例篇」と題された最終章では、友人や関係者との間に交わされたメールがコメントとともに示される。具体例として参考になるだけでなく、電子メールを通した作家の日常を垣間見ることができ興味深い。
村上龍はデビュー以来、一貫してコミュニケーションの問題を描き続けてきた。その意味で、コミュニケーションツールとしての電子メールについての実用書が、この作家によって書かれたことには大きな意味がある。電子メール論としてだけでなく、コミュニケーション論、電子時代の文章論、情報社会における日本語論としても読める1冊である。(榎本正樹)
(日経パソコン 2002/01/21 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ポスト村上龍はまだ現れていない。現れないかもしれない。,
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レビュー対象商品: eメールの達人になる (新書)
村上龍という人は異端の作家とか文豪とか駄作が多いとか言われてきていてカテゴライズされにくい人ですが、この人がやっていることは初期の作品を除いてずっと一つです。それは「コミュニケーションをとるということは一般に考えられているよりずっと難しい、ということを伝えること」です。 この本はいろいろなシチュエーションにおいてどのようにeメールを書いたらよいかわかると同時に、文字・言葉のコミュニケーションを試しつづけた稀有な作家の中間到達点をすっきりとした形でみせてくれる良書です。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
村上龍が好きなら買い,
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レビュー対象商品: eメールの達人になる (新書)
基本的なコンセプトは相手の事を考えて無駄の無いコミュニケーションをしようという事。具体的なノウハウとしては、文頭に相手の名前を書こうとか、文の切れ目では記号を使おうとか、引用は適切に行うといったようなこと。そういった事が氏の文体と豊富な事例で語られる。箇条書きにすれば、A4一枚くらいの内容を、これだけの分量に膨らませる事ができるのは、さすが作家。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
読み物として楽しめるかも,
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レビュー対象商品: eメールの達人になる (新書)
村上龍のメールに関する考え方を紹介した本です。読んでいて仕事にすぐに使えるという内容でもない感じはしますが、この本は読んでいるだけで楽しかったです。メル友がなんとも豪華。中田英寿、坂本龍一、宮本輝など。とくに最後の宮本輝が村上龍にあてたメールはすごくよかった。 しかし日本で、それもビジネスの上でこの本に書かれている内容のメールを送っても相手に本心を理解してもらえず、誤解を招く可能性が高いような気がします。
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