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5つ星のうち 5.0
流行の"部下コントロール本"とは一線を画す本, 2004/11/10
著者の石井裕之さんはテレビでも何度か見たことがありますが、凄腕のセラピストです。新書版の本も出されていますが、NLP(神経言語プログラミング)というか、その元になっているミルトン・エリクソンの催眠療法への深い造詣が感じられる方です。結論からいうとお勧めなんですが、なんとも不思議な構成というか論理展開の本です。ちょっと流れをみてみましょう。 ●プロローグ ここでのメッセージは 「徹底的に付き合うリーダーしか(部下は)信頼しない」 ポイントは「徹底的に」 そして、「(優秀なリーダーは)チームの状況、それを構成するスタッフの個々の状況を観察し、心の状態まで把握しています」と、リーダーの部下に対する姿勢を強調しています。 もう一つは 「スキルがないとあなたの思いは伝わらない」 伝えるスキルの重要性が言われます。 ●FACT1【ドライブ】スタッフが自発的に動く潜在意識へのコミュニケーション このFACT1(つまり第1章)では、プロローグの主張とは打って変わって、「YESと言いたくなる潜在意識のテクニック」がこれでもか、これでもかと紹介されます。 紹介されているテクニック自体は確かに効果的なもので、とてもわかりやすく紹介されています。 ただこれが、「伝えるスキル」なのか? 「スタッフが自発的に動く」テクニックなのか? はたまた、「徹底的に付き合う」リーダーのテクニックなのか? とかなり疑問に思えます。 ●FACT2【ラポール】信頼されるリーダーの秘密は観察力 「YESと言いたくなる潜在意識のテクニック」に続いて紹介されるのが、NLPやコーチングでもおなじみの「ラポール」。 「信頼関係」などと表現されることもある「ラポール」ですが、私からすると操作主義の象徴のようなもので、この言葉を見てしらけましたが、「観察力」という言葉をみて、「やはり石井さんは違うな」と感心しました。 「ラポール」というと、よく紹介されるのが「ラポールをかける」テクニック。ペーシングやバックトラッキング(オウム返し)やミラーリング。 しかし、石井さんは「ラポールをかける」ことは一言も言いません。その代わりに「観察する」ことを強調しています。 「呼吸を観る」「視線を観る」「感受性のタイプを観察する」という具合に、観ることの結果としてのラポールを説いています。 ここらあたりは、他の類書とはレベルの違うところですね。 このFACT2で、プロローグとの整合性が見えました。 ●FACT3【カリスマ】リーダーのためのセルフコントロール 「カリスマ」という強い言葉を用いていますが、そこで目指されているのはなかなかオーソドックスで骨太のリーダーです。 とてもシンプルな方法で、しかも本質を突いた方法です。コーチングの訓練にもそのまま使えるものばかりです。 「走らない」「しゃべらない」「ジャッジしない」「感謝する」 「ありのままの自分を観る」「ありのままの自分を聴く」 ●エピローグ エピローグの中でも最後のページに掲げてある言葉が印象的です。 「スタッフを本気で愛せばテクニックなんかいらない」 FACT1で、さんざん部下を操作するテクニックを紹介したうえで、FACT2、FACT3と、リーダー自身のあり方の話に持っていって、最後にはこの言葉。 全体の構成としてみると、ちぐはぐな印象をもちかねないですが、これ自体が読者の潜在意識に石井さんの伝えたいことを伝える方法なのかもしれません。 単なるテクニック本を超えた本です。ページも少なく楽に読めます。 お勧めです。
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