全体は「ネット」「ネット内に形成される『出会い系サイト』のような個々の領域(ドメイン)」「ネットで展開されるコミュニティ」をそれぞれ扱った3部に分かれている。特に第2部と第3部では「オンラインショッピングにおける信用は個々の店にではなくシステムにある」「引きこもりはコミュニケーション不足なのではなくネットでのコミュニケーション過剰」「ネット・コミュニケーションを規定するのは、回線容量やサーバーの速度といったコミュニケーションのための資源である」「ネットコミュニティは私的なままで公的に開かれた場だ」――などなど刺激的な言説が続出する。先鋭的なだけに違和感を感じる人も多いだろう。しかしそれ以上に、著者がインターネットの現場を理解するための核となる考え方を提示したことを評価したい。本書を読んだ者は著者に賛同するにせよ反対するにせよ、さらなる先を自分で考える方向に誘導される。自分の頭を使ってインターネットと社会の在り方について考えようという意欲のある人に、お薦めできる一冊である。
(ノンフィクションライター 松浦晋也)
(日経パソコン 2002/10/28 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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