第三の批判書『判断力批判』は、判断力の問題を反省的判断力、とりわけ美的判断力を通して探究する。この問いは20世紀になって、趣味判断や美学の問題にとどまらず、政治的判断力や決断主義の問題へと展開し、カントの批判哲学の新たな地平を開いた。
著者は、カントから現代思想のアーレント、リオタール、シュミット、デリダへとつながる文脈を踏まえ、美的な観点からは「崇高の思考」として、政治的な観点からは「決定の思考」として判断力をめぐる探究を特徴づけ、「美的なもの」と「政治的なもの」の関係を、原典の解読を通して明らかにする。
カントの理性主義の限界を考察し、カント美学の問題圏に胚胎していた判断(力)の政治への問いと射程を明確にするとともに、第三批判書の独自の現代的意義を示す、気鋭の研究者による意欲的な業績。
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