内容紹介
復讐相手として憎まれている限り、
お兄ちゃんが私から離れていくことはない――ゼロ年代カルチャーを牽引する劇作家&小説家の本谷有希子が、同タイトルの戯曲作品を、自ら小説化。恋愛小説以上に、切実で胸にぐっとくる男と女の濃密な物語。
<四年近くもの間、二段ベッドが置かれた六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬。奈々瀬は上下灰色のスェットにだて眼鏡姿で家に籠もり「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は一年前、天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、帰宅後、屋根裏に潜り込んでは“妹”を覗く、という行為を繰り返しているのだった……>
著者について
1979年石川県生まれ。2000年8月に自身が主宰・作家・演出を務める「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。第11回公演作『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。小説家としても活躍中で、現在5冊の単行本(『遭難、』の戯曲本を含む)を刊行している。新潮社から刊行された『生きてるだけで、愛。』が芥川賞候補作にノミネートされたほか、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(講談社刊)がこの夏映画化されるなど各界で大きな注目を集め、NHK『トップランナー』に出演したり『AERA』の表紙を飾ったりも。