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誕生日の子どもたち
 
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誕生日の子どもたち (単行本)

by トルーマン カポーティ (著), Truman Capote (原著), 村上 春樹 (翻訳)
4.8 out of 5 stars  See all reviews (13 customer reviews)
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Product Description

内容(「MARC」データベースより)

少年や少女の無垢さ=イノセンスをテーマにして描かれた物語を収録。純粋で強く美しく、きわめて脆く傷つきやすく、また毒を含んで残酷なカポーティの6編の短編小説を、村上春樹が訳出。

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95 of 101 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 待望の新訳, 2002/11/16
By トンボ天国 "84-84" - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
 龍口直太郎のカポーティの翻訳は(龍口訳の時代がずいぶん続いた)文章がゆるくて、カポーティの原作とは違うような気がしてならなかった。現在は川本三郎訳のものが新潮文庫で手にはいるので、これを機に、この三者をならべて読んでみることにした。

 そして結論。今度の村上訳はすばらしい。翻訳のうまさもさることながら、なにより小説家として鍛えあげた文章のセンスがいい。煩雑になるが、一例をあげてみようか。

「誕生日の子どもたち」の語り手は、アメリカの田舎町に住む少年である。きのうの夕方、ミス・ボビットがバスに轢かれた、という文章で小説は始まる。少女は、ちょうど1年前、やはり同じ6時のバスで、母親とともにこの町にやってきた。映画でいえばここがファーストシーンだ。やせっぽちの10歳の女の子ながら、もう大人のコケットリーをもっている彼女は、母親をしたがえて、バスが巻き上げていった土埃のなかから姿をあらわす。遊んでいた少年や少女たちは、このミス・ボビットの風変わりなようすに度肝をぬかれて、言葉もなく見守っている。

 そのときの少女の歩くようすを、龍口は「のっそりのっそり」と訳し、川本は「気取った歩きかたで」と訳す。「つんとすまして」というのが村上訳。のっそりのっそりはないんじゃないかな、と思う。

 娘の後ろからやってくる母親について、龍口は「痩せ細って毛深い女」と訳し、川本もまた「やせた、毛深い女」と訳す。村上はこの部分を、「ぼさぼさ髪のやつれた女」と訳す。「毛深い」と「ぼさぼさ髪」では、どうです、ずいぶんイメージが違うでしょう。

 母親の表情についても、「この夫人は物静かな眼を持ち、空腹そうな微笑をたたえ」と龍口は訳し、川本は「おとなしそうな目をして、お腹をすかせたみたいな微笑を浮かべて」と訳す。空腹そうな微笑というものを、私は寡聞にして知らない。しかし村上訳の「押し黙った目、ひもじげな微笑み」の「ひもじげな微笑み」ならば、精神的な卑屈さの混じったうすっぺらな笑いとして、イメージすることができる。小説を読みすすめていけば、「おとなしそうな目」より「押し黙った目」のほうがこの小説にふさわしいことがわかってくる。

 翻訳は時代にも左右される。「無頭の鷹」のなかに、龍口が「詩を引用して見せる妖精のような黒人の少年」、川本が「詩を引用してみせる美しい黒人の少年」と訳している部分がある。村上春樹はここを「詩を引用する若いゲイの黒人」と訳す。fairy の意味が「妖精の」から「美しい」、そして「ゲイの」へと時代を反映してかわっていった。ニューヨークの夕刻、町にたむろする人物という設定、ましてやカポーティなのだから、ここはゲイという一語がやはり適切。

 村上春樹の言葉の選びかたは、こんなふうに、じつに注意深くて繊細だ。まあ、小うるさいことはこのあたりにして、あとはあなた自身で、この奇妙で物哀しい物語をじっくりとお楽しみ下さい。

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12 of 13 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars カポーティの魅力, 2002/5/27
 カポーティは私の好きな作家の一人ですが、バディーもの3作は特に、初めて読んだ際感じた、切なさ・儚さ・脆さ、といったものが読後ずっと尾を引いて、以来8年近く再読を避けていました(感傷的なものに心の中を支配されたくなかったのです。「おじいさんの思い出」は涙せずには読めませんでした)。改めて読み返してみると、意外にも先のような感情は湧いてきませんでした。それよりは、著者の生い立ちを思うと、自伝的な作品を描くことへの勇気(恐らく、簡単には触れられない部分であったのではないか)や、肉親やそれを取り巻く複雑な関係を浄化させ作品として描きあげる、著者の真摯な姿勢に打たれました。中でも「あるクリスマス」は、初めて読んだ時とは180度違う印象を受けました。大人よりも大人であり、より良い意味で寛容であり、柔軟性のあるこどもの視点で描かれている、爽やかな作品です。(以前の印象では、なんてどろどろとしているのだろう、「クリスマス」なんてタイトルだけではないか、と思ったものですが。)また、新たなカポーティの魅力を感じさせて下さった訳者には、感謝の意が絶えません。
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10 of 12 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars "永遠の少年"カポーティの世界, 2002/5/20
By A Customer
「ある意味で成長することの痛みを常に書き続けていた」カポーティの"イノセンス"をテーマに集められた短編集。心温まる『クリスマスの思い出』『おじいさんの思い出』などと、不吉な影の漂う表題作などの両方が集められ、これ一冊で作家カポーティが抱えていた心の二面性を見渡すことができます。村上春樹さんが高校時代に圧倒されたという『無頭の鷹』は、個人的に"村上訳"を待ち望んでいました!
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5.0 out of 5 stars 切なく辛い(からい)イノセンス
カポーティの作品は切なくからい。
彼の乾ききった物語は味わい尽くした後もボディブローのように効いてくる。... 続きを読む
Published 29 days ago by 羊の水

4.0 out of 5 stars もしも村上春樹氏が、今よりも冷ややかな文体に挑んだなら・・・
正直、これまでカポーティを天才だと思ったことはなかった。しかし『無頭の鷹』ひとつで、彼は天才と呼ぶべき作家だったと知る。「あとがき」にて村上氏も指摘していること... 続きを読む
Published 7 months ago by dindi

5.0 out of 5 stars 氷菓子
個人的にカポーティは一番好きな作家で、村上春樹にも思い入れがある、ということもあり
星6つつけたいくらいです。... 続きを読む
Published 9 months ago by capote

5.0 out of 5 stars 味わったことのない感情の広がり
「無頭の鷹」を読み終わって、言葉もなく、ただ、臨終の床についた人に、人生すべての後悔を懺悔させているような気分を感じました。人間の感情には今まで自分で気づいてい... 続きを読む
Published 10 months ago by clematis

5.0 out of 5 stars 大人になりきれない
イノセントな人物像に惹かれて片っ端から小説を読んでいました。
訳者の村上春樹言うところの、大人になりきれない子どもの心を持った... 続きを読む
Published 21 months ago by +fledge+

5.0 out of 5 stars 傑作!
いい作品ばかりだった。「無頭の鷹」一編を除いて他の作品はすべて郷愁をさそう、子供の無垢な気持ちをそのまま結晶させたような作品ばかりだった。それらの作品たちはカポ... 続きを読む
Published on 2007/4/27 by ベック

5.0 out of 5 stars 一貫して透明な文章。イノセンスな短篇集。
カポーティといえば「冷血」や凝りにこった「遠い声、遠い部屋」など、天才的な感性で人間の内面を鋭く捉え、かつ美しい文章でその内面世界を書いていく天才作家というイメ... 続きを読む
Published on 2007/1/28 by らいらっく

5.0 out of 5 stars うーん
 連作短編のようになっていますが、表題作だけでもこの本を書う価値があると思う。
 出だしの一行からしてすばらしい。... 続きを読む
Published on 2006/9/24 by するめいか

4.0 out of 5 stars 装丁かっこよすぎです
まず、装丁が文句無くかっこいいです。
もうこれだけでも、買いかもしれません。
勿論中身も期待をまったく裏切りません。
このイノセンスは、萩尾望... 続きを読む
Published on 2002/10/14 by g500

4.0 out of 5 stars 誕生日の子どもたち
本はいくつかの短編になっていて、とても読みやすい。またそれぞれに少年、少女のイノセンスが書かれていて、我を振りかえたりもした。心理の勉強をしている方なら、ぜひ読... 続きを読む
Published on 2002/6/22 by 宮本佳代

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